羊のドリーから21年、ついに霊長類のクローン誕生。いまのところ成功率は127分の2です
Image: Chinese Academy of Sciences

羊のドリーから21年、ついに霊長類のクローン誕生。いまのところ成功率は127分の2です

霊長類のクローンが技術的に可能に...!

羊のクローン「ドリー」が誕生してから20年以上経ちました。そして先日、中国の研究チームが同じ技術を使い、猿のクローンに成功し大きなニュースになっています。クローンが作られたのはカニクイザルという種類の猿。同じ遺伝子を持つ2匹の赤ちゃん猿、Zhong Zhong(中中)とHua Hua(華華)がそれぞれ8週間前と6週間前に誕生したとのこと。霊長類のクローンが体細胞を使って作られるのは世界初となります。

ドリーが誕生したのが1996年、それ以降犬、馬、ウサギといった多くの哺乳類のクローンが作られてきました。しかしこれまでの実験では、同様のクローン技術を猿に応用するのは難しいということが分かっていました。それもあって、科学誌「Cell」に発表された中国の実験成功が話題になっているわけです。

同じ遺伝子を持つ個体が2匹存在することは、さまざまな分野の研究において非常に有益です。どんな実験であれ、実験に使われた個体の遺伝的な性質の差が結果に影響を与えてしまうことがあるからです。副作用や効果を確かめるための新薬のテストの性能を上げることができ、また特定の疾患と遺伝子の関連性を調べるのにも役立つでしょう。

中国科学院の上海の研究チームが使ったのは体細胞核移植という技術。核を取り除いた卵子の中に体細胞の核を移植するという方法です。研究チームは、クローン胚の発達を邪魔していた遺伝子を適切に無効化/有効化することで、これまで誰も成功したことがなかった霊長類のクローン作成に成功したとのこと。とはいえ、2匹の赤ちゃん猿を生み出すために127の卵子が使われたということで、成功確率はまだまだ極めて低いものになっています。またもともとの体細胞は胎児から取られたものであり、羊のドリーの時のように大人の個体の細胞からクローンが作られたわけでは無いようです。

近年の中国におけるバイオ医療研究の進歩は目覚ましいものがあります。たとえば米国では遺伝子編集技術CRISPRを人体に使い始めたところですが、中国ではさまざまな疾患の治療のためにすでに86人を対象としてCRISPRの活用が行なわれています。また昨年は中国で初めての人体の頭部の移植計画というニュースもありました。続報はまだ出てきていませんが、一体どうなったんでしょうね…。

もちろん技術時代の進歩があるのは間違いありませんが、中国における規制の少なさもこういった研究の大きな一因となっています。霊長類でのクローン成功というニュースで、「人間のクローンに一歩近づいた」と多くのメディアが警戒心を示しているのは、「中国ならもしかして...」という思いもあるからでしょう。今後の動きが要注目です。


Image: Chinese Academy of Sciences
Source: Reuters

Kristen V. Brown - Gizmodo US[原文
(塚本 紺)

こちらもおすすめ