発見に一世紀。魔球みたいな彗星の謎がついに解明されそう
Image: Kees Scherer/Wikimedia Commons via Gizmodo US

発見に一世紀。魔球みたいな彗星の謎がついに解明されそう

なにやら変わった動きを見せている彗星がいるそうです。

41P/タットル・ジャコビニ・クレサーク彗星。変なのは名前だけじゃありません。

なにせこの41P、最初に確認されたのが1858年(タットル氏)。その後1907年に再確認され(ジャコビニ氏)、また1951年に(クレサーク氏)…、と発見だけで100年近くかかってるそうです。ちなみに「41P」とは周期彗星に与えられた登録番号のこと。

41Pは木星の重力の影響を受けている木星族の短周期彗星で、直径およそ1.4キロメートルと彗星の中ではミニサイズ。太陽を起点とした楕円の軌道を描きながら、5.42年周期というせわしなさで太陽を回っています。また、41Pは不規則な明るさを放つ彗星としても知られています。1973年に観測された時は7等級から4等級に昇格されたほどの大きなバーストが確認されたそうですが、なぜ急に明るくなるのかはよくわかっていないそうです。

さて、この41P、2017年4月に近年でもっとも地球に接近しました。双眼鏡でも見えるぐらいの明るさだったそうで、全世界の天体ファンをわかせました。

米メリーランド大学のDennis Bodewits博士もまた星空に望遠鏡を向けていた天体ファンのひとりでした。ところが観測を続けているうちに、ある奇妙なことに気づいたそうです。2017年3月には20時間に一回自転していた41Pが、およそ60日後の5月には46~60時間に一回と、自転のスピードが激減していました。こんな短期間に3割近くまで自転のスピードが落ちた観測例は初めてだったそうで、Bodewits博士はさっそく調べにかかりました。

そもそもですが、彗星とは凍りついたガスと塵のかたまりです。軽いので重力の影響を受けやすく、重い天体の重力に引きこまれて太陽のまわりをグルグル回り始めます。それが太陽に近づくとすさまじい熱気をあびることとなり、凍っていたガスや塵が溶けて放出されます。この「脱ガス現象」と呼ばれるガスと塵の噴出が彗星がぼんやりと光る理由です。そしてその気化したガスや塵がすさまじい太陽風に吹きとばされ、太陽から遠ざかる方向へ尾をたなびかせます。

さて、ここからがBodewits博士らの仮説です。彗星も惑星と同様に自転しながら太陽のまわりを回っています。ところが、脱ガス現象が起きるとトルクが生じる場合があるそうです。噴出の度合いや角度によっては、トルクが自転速度を速めることも、遅くさせることもあります。例えていうならば、風車の先っちょに風船をくくりつけ、風車を回しながらその風船をいきおいよく割るようなもの。風船が割れた拍子に放出された空気(ガス)が風車の回る向きと同じだと回転速度は遅まり、逆だと回転速度が速まります。

Bodewits博士率いる研究チームは、アリゾナ州のローウェル天文台と人工衛星「スウィフト」に搭載されている望遠鏡を使って、41Pとそのたなびく尾をよくよく観察しました。その結果、ひとつの理論上のモデルにたどりついたそうです。仮に、脱ガス現象がちょうど41P の自転を相殺するような、いわば「スイートスポット」的な位置で起こったとしたら?

これが真実ならば、41Pは今回観測されるずっと前から自転速度を減速させていた可能性もあるとマックス・プランク研究所所属のJessica Agarwal研究員は指摘しています。そして、もし過去には高速で自転していたとしたら、1973年に観測された不規則な明るさも説明がつくそうです。

さらに41Pがこのまま減速していけば、コマのように求心力を失ってふらついてくる可能性だってあるそうです。もしその状態でまた絶秒なタイミングと位置で脱ガス現象が起これば、自転の軸が変わることだってありうるかもしれません

博士の研究成果は今月Nature誌に掲載されました。彗星の成り立ちと進化を説明するうえで有力な手がかりとなりそうです。

41P が次に地球に近づくのは4年後の2022年。はてさて、次回は一体どんな必殺技を見せてくれるんでしょうか。


Image: Kees Scherer / Wikimedia Commons via Gizmodo US
Reference: Nature, NASA(1, 2

Ryan F. Mandelbaum - Gizmodo US[原文

(山田ちとら)

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