東京五輪で導入される予定の顔認証技術と懸念点

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    東京五輪で導入される予定の顔認証技術と懸念点

    2020年の東京オリンピックでは、何十万人ものアスリートや報道陣、職員たちの本人確認に超大規模な顔認証技術を使う予定であるとThe Japan Timesが報じています。 なお、関係者いわくその技術は観客には使われないとのこと。

    顔認証技術の導入によって、IDカードが発行されている人たちを規制エリアの入場口へと迅速かつ安全に案内できる一方、偽造IDの使用者を捕まえられると組織委員会は考えているそうです。2016年のリオ五輪では、IDカード所持者に対して警備員が物理的にIDカードの顔写真と照合していました。しかし報道によれば、東京五輪ではソフトウェアが入場者と登録された顔写真との照合を行うとのこと。

    この規模の顔認証システムを使用するには、IDカードを発行されると予想される職員、報道陣、警備員そしてアスリートといった30万~40万人分の膨大なデータベースを組織委員会が構築する必要があります。同分野における大手のNECが五輪に向けて技術を開発すると報じられています。NECの顔認証製品「NeoFace」テクノロジーは、すでに合衆国の国土安全保障省からハンバーガーチェーンのCaliBurgerに至るまでさまざまな場所で使われています。

    ただし、プライバシーの専門家たちは国土安全保障省が国際線の搭乗ゲートで使用している顔認証システム(多くはNECが開発)を強く非難しています。

    ジョージタウン大学プライバシー&テクノロジーセンターの研究者たちは先日、出国時に搭乗者たちの顔スキャンを求める生体認証出国プログラム経由で得られる顔データの政府の扱い方について、未回答の疑問を伝えるレポートを発表。データの保有期間はどのくらいなのか? 誰がそのデータにアクセスできるのか? それは共有されるのか?だとしたら誰と? といったことが彼らの懸念点でした。

    研究者たちは、顔認証のデータが最後には法執行機関の手に渡るのではという点も懸念しています。NECのソフトはハーツフィールド・ジャクソン・アトランタ国際空港マイアミ国際空港そしてニューヨークのジョン・F・ケネディ国際空港など複数の空港の生体認証出国プログラムに使われています。さらにNECは、シカゴ警察のために顔認証を含む生体認証データベースを構築しています。これらの懸念にオリンピック開催側がどう対処するつもりなのか、そして顔認証システムが任意なのか、それとも委員会には生体認証データ収集を義務付ける権力があるのかということも現時点では不明です。

    昨年のリオ五輪では、日本のビジターセンターへの入場者チェックに東京五輪で使われると予想されるプログラムに似た顔認証システムが試用されました。しかし、このプログラムがいつ、公式に発表されるかは不明です。

    東京オリンピックは2020年7月24日から8月9日にかけて開催予定。


    Source: Japan Times, BusinessWire, NEC(1 & 2), Delta, AmericanSecurityToday, The Verge,
    Image: Youtube

    Sidney Fussell - Gizmodo US[原文

    (たもり)