スマートグラスです。
今年のCESも盛況でしたが、その裏でテック業界の巨人たちが火花を散らせていた模様。Bloombergによると、Google、Apple、Facebook、AmazonのGAFAはもちろんのこと、思いつく限りのテック企業はARデバイスデバイスの開発に力を注いでいるんだそう。そして、CES来場者の目が展示に向いている裏でARデバイスの部品サプライヤーたちと話を重ねていたんだとか。その中にAppleのサプライ担当も紛れ込んでいたらしいですよ。
CES 2018でもっとも注目を浴びたARデバイスは、Google Glassの理想を実現したかのようなVuzix Bladeでした。視界にメニューを浮かび上がらせたり、スマホとつなげることで音声アシスタントを呼び出せたり、というものです。Vuzix Bladeが他のARやVR製品を押しのけて注目されたのは、「スマートグラス」としての資質が一部備わっていたことによります。抵抗感のない見た目と、スマホのような機能をAR表示を通じて操作できる点が注目を集めたわけです。Vuzixもスマートグラスの本当の理想にはまだ届いていませんが、スマートフォンの次がどういうデバイスなのか、という未来を垣間見せてくれました。
そういう展示が集まるCES会場に、スマートグラスをいち早く製品化したい企業の代表者たちが集まるのは必然ですよね。GoogleとFacebookはそれぞれGoogle GlassやOculusを開発していて、それを公表しています(これらの技術がスマートグラスに流用されるはず)。なので、サプライヤーと話をするのも「そりゃそうだ」という感じ。でもAppleが現れたのは驚きです。
これまでCESに出現することのなかったAppleがわざわざその慣例を破り、サプライヤーと話をするために代表者を送り込んできた… ということは、今まで噂しかなかったApple製のARデバイス(スマートグラス)が、生産体制を考え始めるレベルまで至っているのでは、と勘ぐれます。2019年登場の噂も現実味が出てきたのではないでしょうか。
ここで、Appleスマートグラスはこんな風になるんじゃないか、という希望的予測を1つ。スマートグラスのAR(拡張現実)技術は、だんだんとその完成形が見えてきましたよね。ガラス越しに見えている現実の景色を一部遮りながらそこに別の視界を写すことで、現実を「拡張」するというものです。
問題はその操作方法。VRなどは現在、手持ちのコントローラーで操作する形が多いですが、Vuzixは「メガネのツルの部分」をタッチに対応させて解決しています。ですが、どちらも正直面白みがありません。やっぱりマイノリティ・レポート的な、視界の中で手を動かす感じの操作方法を夢見てしまいます。
でもですよ。スマートグラスにはどうあったって必要となるのが、現実世界の詳細なリアルタイム認識です。たとえば、マグカップを顔の近くに持ってきたのにその部分の視界が遮られ続けたら不便ですよね。スマートグラスはそういうものを認識して、視界の遮り方を瞬時に更新する必要があります。だから手の挙動はそもそも検知されているはずなんです。あとはそれを操作方法に昇華させてくれたら…
Image: Getty
Source: Bloomberg
(西谷茂リチャード)