サウジアラビア市民ヒューマノイド、ソフィアさん。CESでも不気味さを高めています

  • author 塚本 紺
サウジアラビア市民ヒューマノイド、ソフィアさん。CESでも不気味さを高めています
Image: Gizmodo US

歴史を切り開くヒューマノイド、ソフィアさん。

これまでも人類滅亡宣言サウジアラビアの市民権取得などで話題を読んできたHanson Robotics社の人工知能ロボット、ソフィア。今年のCESにも登場し、圧倒的に存在感を放っていたようです。米GizmodoのAdam Clark Estesさんがレポートしています。


今年のCESで、例のサウジアラビア市民のヒューマノイド、ソフィアと対面して会話をする機会をいただきました。まず率直な感想としては、テック展示会でプレゼンテーションされるプロダクトの多くがそうであるように、ソフィアもまだまだマーケットに売り出される段階ではない、という印象でした。そもそも、まず最初にソフィアと同じ部屋に入って気付くのはウィーンという機械音。古い90年代のPentiumプロセッサーがビデオをローディングしているかのような音なんです。

今回ソフィアと話してみて一番印象に残ったのは、彼女の視線です。文章だとロボットを「彼女」と呼ぶことに抵抗があるかもしれません。が、彼女に対面してみるとなんとも言えない強烈な感覚を覚えるんです。顔はまぎれもなく人間の顔に似せたものがついていて、上半身もあります。もちろんあらゆるパーツが動きます。しかし上半身しか無く、また頭蓋は透明なケースになっていて、中にワイヤーがたくさん見えるというデザインは...まるで人間であることよりもロボットであることがメッセージのような印象です。

残念だったは、ソフィアの会話スキルはそれほど高くなかったこと。ソフィアとは数分ほどしか話せなかったんですが、それでも「うーん、この程度か...」という感想をはっきり持った次第です。事前に担当者からは基本的な質問に答えるのがベストだろうと言われていたんですけどね。

Video: Gizmodo US / YouTube

「ラスベガスはどうですか」「世界中を移動していますが疲れませんか」といった類の質問をしたのですが、返答はあまりしっくり来ません。そして表情をグワッと動かして、死んでいるかのような目でじっと見つめてきました。ちょっとしたホラー映画です。文学的に表現させていただくと「白内障にかかった野良犬がこちらの弱みを探るかのように見つめてきている」という感じでしょうか。そうです、怖いんです。あ、私処刑されるのかな、と思ったほど。

あとソフィアは笑顔も作れるのですが、どう見てもSF映画の冷血なラスボスにしか思えませんでした。フィリップ・K・ディックの小説にでてきそうな感じです。ソフィアたん、電気羊の夢を見るのかな、なんて貧血気味に想像してしまいました。

しかし彼女のクリエーターであるDavid Hanson博士は、ソフィアの前のバージョンのロボットにフィリップ・K・ディックから名前をとって付けたということを後で知ったんですが、感心というよりは背筋が凍った感じです。

私はこれまでも人工知能を持ったロボット(Alexaはカウントしてませんよ)と何回かコミュニケーションをとったことがあるんです。なのでこのインタビューに関してもヒューマノイドと会話をする、という点にすごくワクワクしていました。質問をいくつか準備していたのですが、まずはソフィアのことを見ずに会話をしてみようと決めていたんです。男女同権を信じていないサウジアラビアが市民権を与えるくらいなんだから、このマシーンには何か特別な点があるはず、と思ったんです。

しかし結果としては何も特別な点はありませんでした。正直言って、ソフィアは中途半端にしか完成していないプロジェクトにしか思えませんでした。開発チームは事前に質問を提供してくれと頼んできたのですが、私は拒否しました。事前に入力された回答を受け取っても、リアルタイムに自然な会話ができるかどうかは全く分からないからです。

私とのデモの間も、ソフィアの横にはラップトップを使って何らかの操作をしている人がずっといました。しかし彼が一体何をしているのかははっきりとは説明されず。結局、シンプルな質問に回答するのも一苦労という具合だったんです。

とは言っても開発チームを批判しているわけではありません。リアルタイムで会話をするヒューマノイドという課題自体が非常に複雑かつ難しいチャレンジなわけです。AlexaやSiriはユーザーからの直接的なコマンドのみに対応しています。一方のソフィアが目指しているのは人間のようにナチュラルに会話をし、さらに表情まで作るという高みです。私とのデモの前日に、ソフィアは初めて歩いたのですが、これも大きな前進です。

現時点では、会話をするとユーザーを不安にさせるロボット、という以上のことはソフィアには求められません。そもそもヒューマノイドと会話をする、ということ自体が不気味な気分を湧き起こすものなわけですが、ソフィアの場合は特に、妙な間や唐突な表情の攻撃力が高くなっております。中東における女性の権利のシンボルのような扱いを受けているのも何とも妙な話ですし、なぜサウジアラビアの市民権を取得したのかも謎です。想像するに、ロボティックスとAIにもっと社会の注目を集めようと影響力のある人物が決めたのでしょう。

インタビューが終わってソフィアと別れる時も、ソフィアは特に別れの挨拶を言いませんでした。変わりに担当者の1人が「オーバーヒートしてるみたいです」と告げました。何ともシュールかつ、妙に適切なエンディングでした。


Image: Gizmodo US
Source: YouTube

Adam Clark Estes - Gizmodo US[原文
(塚本 紺)

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