iMac Pro レビュー:このスペック、速すぎて素人には感じることができない
Photo: ギズモード・ジャパン

iMac Pro レビュー:このスペック、速すぎて素人には感じることができない

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Proの恩恵を受けるラインはどこ?

iMac Proをレビューする前に、「実際のところiMac Proってどんな人が買うの?」と気になって、SNSなどで検索してみました。すると、写真家、アプリ開発者、漫画家などなど、やはりプロユーザーが買っているようです。その中でも意外と多かったのが、DTMで作曲をしている方。あー、なんとなくわかります。DTMっていうと、iMacでワークスペースを構築している印象ですし、スペック的余裕を求めて買う方が多いんだなーっと。

一方で使ってみた今だから断定しますが、CPUにIntel Xeon、グラフィックカードにRadeon Pro Vegaを搭載しているiMac Proは、プロユース以外にはとうてい必要ありません。だってスペックが高すぎるゆえ、普段の作業ではiMac Proに見合ったパワーを感じることができないのです。使ってみてわかったのは、iMac Proはどこまで行っても「強靭なスペック」でしかありません。いい意味でね。

今回は購入を検討している方を意識して、検証を織り交ぜながらレビューします。

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Photo: ギズモード・ジャパン


iMac Pro

・これは何?:今買える一番ハイスペックなMac
・価格:55万8800円(税別)から
・特徴:27インチiMacと同じ筐体サイズに搭載した「Xeonプロセッサ」と「Radeon Pro Vegaグラフィックプロセッサ」。スペースグレイのボディ


レビューするモデル

・ディスプレイ:27インチ Retina 5Kディスプレイ
・プロセッサ:8コア 3.2GHz Intel Xeon W
・グラフィックス:Radeon Pro Vega 56
・メモリ:32GB DDR4 ECCメモリ
・ストレージ:1TB SSD
・価格:558,800円(税別)

ベンチマーク

CPUの性能でいうと、iMac Proは今あるMacの中で一番優れた性能を持つマシンです。Geekbenchで計測してみたところ、iMac Proのスコアは30,900。一方Geekbench上で公開されているスコアでは、黒いMac Proは25,816(共にマルチコアでの数値)とかなりの差があります。しかも今回使っているのはXeonの8コアモデルですけど、上を見れば10コアモデルが、さらに今後は14コア、18コアモデルにもカスタマイズ(CTO)できるようになるので、さらなるポテンシャルを秘めています。

iMac Proのパワーを実感するラインは?

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Photo: ギズモード・ジャパン

これほどのスペックを備えていると、iMac Proに見合った速さを感じるには相当なパワーをぶん回さないといけません。Google ChromeでYouTubeとかTwitterを見るくらいでは、iMac ProもiMacも同じようなものなのです。では、どこでiMac Proのパワーを実感できるのでしょう? いろんなソフトを回してみました。

・ベクター

まず検証に使ったのは、ベクターソフトのAdobe Illustrator(CC 2018)。私、普段制作をするときは2015年モデルのMacBook Pro 15インチ(Mid 2015、2.5GHz 4コア Intel Core i7、AMD Radeon R9 M370X、16GBメモリ)を使っているんですが、正直、作業の快適さは何も変わりませんでした。結構レイヤーを使ったはずですが。

もちろん正確に比較すれば、変形の数値を入力して反映されるまでは、コンマ何秒の数値で違いは出るのでしょうけど、GPUを使ったアニメーションズームはiMac Proでもレイヤーが多くなると重かったです。

・写真

では今度は、メモリとCPUが程よく使われる写真現像で試してみることにします。使うソフトはAdobe Lightroom Classic CCで、100枚のRAWデータをJPGに書き出します。比較するマシンは上のMacBook Proで、以下はシークバーを記録した動画です。

Video: ギズモード・ジャパン/YouTube

結果は、iMac Proが1分19秒で、MacBook Proが2分33秒。 1分ほどの違いはあるものの、まだ圧倒的な差ではありません。これが30秒とかだったら叫んでいたと思いますが…。

他にもLightroomユーザーなら、RAWデータのプレビュー読み込みのスムースさも気になるところですが、これもMacBook Proと体感は大きくは変わりません

・映像

最後の砦として、映像の書き出しでビデオカードをぶん回してみたらどうでしょう? 映像編集ソフトのAdobe Premiere Pro(CC 2018)で、3分の4K/60fps映像をH.264コーデックで書き出してみました。比較するマシンは、上のMacBook Pro。

Video: ギズモード・ジャパン/YouTube

さすがに映像だと圧倒的な差をつけてますね。書き出し中のシークバーを見てテンションがあがりました。

書き出しに29分かかったMacBook Proに対し、iMac Proはたったの5分! iMac Proの恩恵は、映像を書き出してみて初めて受けられることがわかりました。

どのソフトウェアでも一貫して言えるのは、作業しているときのサクサク感には大きな影響はありませんでした。もちろん、映像編集だとHDでもサクサクプレビューできるのですが、ソフトを使う上ではiMac ProでもMacBook Proでも、快適さに大きく違いがあるわけではありません。違いが出るのは、書き出しにかかる時間です。

ファンの動きにも納得

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Photo: ギズモード・ジャパン

現行のMac Proが排熱性能であまりいい評判を受けなかったことを踏まえると、ファン・排気まわりのチェックは外せません。iMac Proの排気口は、iMacと同じく筐体の裏側にあります(メモリ交換用のフタがないぶん穴が少し大きい)。

で、そのファンは、本当にパワーを使っているときにしかぶん回りません。私が使った限りでは、映像の書き出しをしているときしかファンの音は聞こえませんでした。スリープしているときに急にファンが回り出すなど、不思議な動きは一切ありませんでした。

スペック以外に言いたいことはある?

結論から言うと、スペック以外は27インチのiMacと同じです。ディスプレイの解像度も色域も同じですし、違いがあるとしても、マイクが4つになったり、USB Type-Cポートが4つになったり、FaceTimeカメラが1080pになったりと、どれも細かい変更ばかり。どれも特筆するほどではないです。

一点だけ、プロユースマシンとしてメモリを自分で換装できないことは、欠点までとは思いませんが気になるところ。

iFixitによれば、iMac ProのメモリはデスクトップPCでよく使われている288pinのもの。これは、iMacで使われているノートPC用の260pinメモリより2倍くらいの幅があるので、メモリを取り出せるフタをつけるのは現実的じゃなかったんでしょうね。ただしオンボードメモリではないので、海外情報では正規プロバイダーに頼めば換装できるとのこと。iMac Proを送ったり運んだりする手間はあるのものの、メモリ交換自体は不可能ではありません。

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Photo: ギズモード・ジャパン

実際のところ、iMac Proのスペースグレーのボディはシックでイケていて、別売りでは買えない黒いMagic KeyboardとMagic Mouseを使っている優越感はそこそこ高いものです。でもそれに惹かれて買うほどの金額でもないですし、多分1年も使えば、黒も銀も同じように見えるでしょう。iMac Proが必要のない人にとっては、Appleストアで拝むくらいの存在でちょうどいいです。

まとめ

iMac Proの特長はハイスペックの一点に宿ります。iPhone XとiPhone 8の関係のように、体験に明らかな違いがあったり、革新的な試みが取り入れられているわけでもないので、すごく真面目でお硬いマシンです。

しかしiMac Proがプロユースマシンであることを考えると、この真面目さこそが魅力です。デザインや新機能にこだわらず55万円のリソースをスペックに全振りしたことで、Mac Proよりも速いマシンが、フルスペックのiMac(*)から+15万円で手に入ります。

*CPU、グラフィックカードがフルスペック。メモリ、ストレージはiMac Proの最低構成にあわせた場合(32GB/1TB)。

また、iMacのフォーマットを崩さなかったという点で見ても、プロユースマシンとして理想的です。ユーザーからすればiMacと同じスタイルで使えますし、Appleがすでに設計し慣れていることにも意味があります。まさに2013年のMac Proは新設計にこだわった結果、ハイコストになり排熱の設計に無理がありました

一方iMac Proはそれを克服し、設計が安定していて、iMacと変わらない操作感で使える、今一番ハイスペックなMacを実現しました。現状不在だった「本命のプロユースMac」の枠をガッチリ抑えにきたマシンなのです。


Photo: ギズモード・ジャパン
Source: Apple, YouTube(1, 2), iFixit

(山本勇磨)

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