小さいは正義。
360°カメラメーカーのInsta360は、1月8日、新型の360°カメラ「Insta360 Nano S」を発表しました! Insta360は先日、新製品のものと思われるティーザーを公開しましたが、その動画で予告されていたのがこちらのInsta360 Nano Sだったという流れですね。
Insta360 Nano Sは、2016年7月発売の「Insta360 Nano」の上位モデルにあたり、iPhoneやiPadに接続して使うiOSデバイス専用の360°カメラ。Nanoから大きく進化して、4Kの360°動画と、約2000万画素の360°静止画が撮影できるようになりました。本体サイズはInsta360 Nanoから変わらず、カラバリにブラックが追加されました。

今回のNano Sには、Insta360 ONEに搭載されているバレットタイム撮影機能はありませんが、それでもNanoと同じ小さな筐体サイズで4K撮影ができるのは、360°カメラ市場で見ても少なめですよね。以下、比較も兼ねたスペック表をとうぞ。

4K撮影ができるようになったことも大きな進化ですが、さらに手ぶれ補正機能も強化されているようです。先代のNanoは、本体に手ぶれ補正の機構はなく、iPhone内蔵のジャイロスコープを使って3軸の手ブレ補正をしていました。Nano Sでも、iPhone内蔵のジャイロと同期して手ブレ補正をしているとのことですが、リリースには「まったく新しいスタビライゼーションのアルゴリズムを使用」と書かれており、ソフトウェア側での処理が改良されていると思われます。こちらも期待。
またInsta360といえば、撮影後の編集に強いブランドですが、今回のNano S用アプリにも豊富な編集機能があります。1つは、Insta360 ONEで登場した「フリーキャプチャー」機能で、撮影した360°動画の見せたい角度を自由に編集できます。

そしてNano Sで初登場するのが、「マルチビュー」という編集機能。こちらは360°動画から、複数のアングルを自動で切り出して、平面の映像に編集してくれるというもの。動画のほかにも、この機能を使ってLINEのビデオ通話やFacebookのライブ配信もでき、Nano Sの目玉機能としてフィーチャーされています。 後ほど、デモ動画でも紹介します。

さて今回、ギズモードは発売に先立ち、Insta360 Nano Sをお借りしました。実際に撮影してその威力を見ていきたいと思います。
静止画
Nano Sの静止画撮影の出力解像度は6,272×3,136。以下、作例です。

こちらは、360°写真から切り出したもの。やはり、切り出してある程度拡大すると、解像感の粗が目立ってしまいます。しかしカメラ自体の出力解像度は高いので、これは撮影後のソフトウェア処理が問題なのかな?と思います。

Nano Sで静止画撮影をする場合は、なるべく切り出しや拡大しない編集で写真を完成させる使い方がメインになってくるでしょう。たとえばリトルプラネットの編集なら、このように解像感の低さは気にならず、綺麗な写真が撮影できます。

夜景撮影に関しては、あまり期待しないほうがいいかもしれません。こちらの写真は、iPhoneをスタンドに立ててISO100 1/5秒で撮影した360°写真から切り出しています。が、空は真っ黒に、電灯は真っ白に写り、ダイナミックレンジが狭い印象です。
動画
Nano Sの動画撮影で楽しみにしているのが手ブレ補正。うえで説明したとおり、今回は新しいアルゴリズムでiPhoneのジャイロスコープと同期させているので、手ブレ補正が進化していると思われます。
こちらの動画はNano SがiPhoneのジャイロと同期しているようす。端末を上下左右にひねっても、カメラは常に同じ方向を撮影していることがわかります。大まかにはこの仕組みを利用してブレを補正しているわけです。
こちらがInsta360 Nano Sで撮影した動画。Nano SをつけたiPhoneを手に持って撮影し、フリーキャプチャー編集で切り出しています。切り出す前の出力解像度は3,840×1,920です。
歩く振動は抑えきれていないものの、細かな手ブレは補正できており、わりと実用的なラインではないでしょうか? 本体に6軸の手ブレ機構を搭載しているInsta360 ONEには敵わないものの、この本体サイズでこの補正性能なら御の字です。
そして画質に関しても4Kさながら、フリーキャプチャーで編集してもかなり綺麗なまま切り出すことができました。
最後にこちらが、マルチビュー機能を使って編集をした動画です。360°動画から決まった角度を切り出すプリセットフレームが5種類あり、枠に映る映像の角度は自由に変更することができます。
Insta360 Nano S、結局どうなの?

4K撮影に対応しただけに、Insta360 ONEに置き換えられるのでは?と期待してしまいますが、このInsta360 Nano SはあくまでもInsta360 Nanoの上位版というポジションです。やはり、バレットタイム撮影のブレを補正するほど強靭な補正機能を内蔵したONEには太刀打ちできません。
とはいえiPhoneと同期したNano Sの手ブレ補正は、カメラ本体のサイズを小さくするための策であって、こんな小さな360°カメラで4K撮影ができるのは、かなり魅力的です。
加えてフリーキャプチャー機能で、撮影後の編集もすごく簡単にできるようになったのは大きなアドバンテージです。本体は小さいのに、4K撮影ができて、すぐに編集できる。このスタイルは他のメーカーにはないでしょう。この運用スタイルの良さが、Insta360 Nano Sを使う一番の理由だと思いました。





Photo: ギズモード・ジャパン
Source: Insta360, YouTube
(山本勇磨)