技術が社会を変えていく。
CES 2018を直前にしてサムスンの研究機関C-Lab(Creative Lab )が「柱になっている3つのプロジェクト」を発表しています。C-Labからは他にも7つものスタートアップが登場するとのこと。新しいイノベーションの芽をたくさん蒔いているのが伝わってきますね。
特に、3つのプロジェクトのうち「Sound-Ray」は普及すれば多くの人の日常生活に影響を与えそうです。
Sound-Ray
ポータブルデバイスや音声アシスタントの普及で、街を歩く多くの人が音楽やナビ、ポッドキャストといったサウンドを個人的に楽しむようになりました。それに合わせてイヤホンもどんどんと進化し、今やかなり付け心地がよく、音質もよく、かつワイヤレスなものもたくさんマーケットに出てきていますよね。ただやっぱりイヤホンは無くしてしまったり、取り出したり外したりが面倒だったりします。筆者もそうですが、耳に長時間のイヤホンを入れるのが不快に思う人もいます。

そんなサウンドと人間の関係を改善してくれそうなのが「Sound-Ray」です。これは空気の振動である音の伝わりを一方向に限定するというテクノロジー。上の紹介ビデオを見てもらると分かりますが、ちょっとしたナビやYouTube動画、ビデオチャット、通話なんかは自分の方向にだけ音が届けばいいわけです。


小さなスピーカーデバイスをパソコンの上に付けたり、首元にかけることで快適に周囲の環境の音も聞こえる状態でありながら、サウンドに集中できるようになります。

他にもスーパーで棚ごとに頭上から説明のアナウンスが流れてきて、棚に並んでいる商品を見ている客にだけそれが聞こえる、ということも可能になります。同様に美術館で一つひとつの作品の前に立ったときにだけ説明の音声が聞こえるなんてことも可能です。ヘッドフォンの順番を待ったり、音声ガイドをレンタルする必要がなくなりますね。

今年のCESではこのテクノロジーを応用したスマートフォンのケースや、首にかけるタイプのスピーカーなどが発表されるとのこと。他の人が聞いているサウンドが聞こえてきてしまう、なんて迷惑も少なくなりそうです。
GoBreath
さまざまな理由による肺のダメージを修復するための手術を受けたあと、患者は肺の回復のために呼気測定計などを使いながら呼吸、深呼吸、咳を日常的に行なわねばならないケースがあります。しかし、術後の患者にとっては痛みを伴うので、こうした呼吸運動は困難です。GoBreathはポータブルなデバイスとアプリを使ってその肺のリハビリをサポートするというコンセプトをもつプロダクトだそうです。また、クラウド上のデータを医者とシェアすることで術後の経過を遠隔で確認してもらえます。
Relúmĭno
視覚に障がいのある人々のためのサポート用アイウェアが「Relúmĭno」です。本を読んだりテレビなどの一点を眺めたりするときに、より明るくクリアな映像をRelúmĭnoを通してユーザーに見せるという仕組みになっています。


スマートフォンを差し込んで使うVRヘッドセットのように、スマートフォンを活用することでアイウェア自体を軽く、小さく、持ち運びもしやすくしているとのこと。


新しいコンセプトを実用化へとつなげる社内インキュベーションとして2012年に立ち上げられたC-Labですが、着実にイノベーションを生み出しているようですね。CESでの発表が楽しみです。
Images: YouTube (1, 2, 3)
Source: Samsung
(塚本 紺)