仲良きことは美しきかな。
何か新しい技術、方式が世に生まれると、ガジェット好きはワクワクします。ただ、同時にヤキモキハラハラさせられるのが、業界内でのスタンダード争い。どこのどういう方式が基準になるのか、これがハッキリしないことには、いち消費者はなかなか購入に踏み切れないもの。数年前から話題にあがるも、やっとこさ技術が追いつき今年大ブレイクしそうなワイヤレス充電、スタンダード争いは激化することなく落ち着いたのでご安心を。
ワイヤレス充電のスタンダードとなり得たのは2つ。ワイヤレス充電機メーカーのPowermatか、Qiを開発したWireless Power Consortium(WPC)。「PMAかQiか?」なんて話を耳にしたことがある人、このことでした。さて、両者の戦いは、先日、PowermatがWPCに歩みよると発表したことで終焉を迎えました。業界スタンダードはQiに決定!
2016年のGM Insightsによるレポートでは、Qiが業界過半数を占めており1歩リードしていました。残りのシェアはPMAだったので、もちろん第三者が参入するスキマはなし。さて、ここで鶴の一声、Appleの登場です。Qiという言葉を初めて耳にしたのは、Appleの発表会だったとう人も少なくないはず。Appleが、自社プロダクトのワイヤレス充電方式に選んだのはQi。ただでさえ押されていたPMAにとって、Appleの決断はとどめになったのでしょう。
スマートフォン市場を見ると、Androidシェアの方がもちろん多いです。ただ、USA Todayによれば、iPhoneは、2017年最も売れた端末で2億2300万台を記録。サムスンのGalaxy S8とNote 8が、その次につけており合わせて3300万台。AppleもサムスンもQiスタンダードを採用していました。一方、Powermat最大のパートナーは、スターバックス。多くの店舗でPMAのワイヤレス充電ステーションを導入していました。しかし、押され気味のPowermatは、スターバックスのワイヤレス充電ステーションのソフトウェアをアップデートしてQi対応にするという話もでていたので、今回正式に白旗をあげる前から、うすうす予感はあったのでしょう。Appleとサムスンを持って行かれたら、そりゃ苦戦しちゃうよ。
最後の最後まで何がなんでも戦いぬいてやるという決断を、PMAがしなかったおかげで、消費者にとって、ひいては業界にとってワイヤレス充電の未来は早い段階で明るいものとなったのです。Qi勝利おめでとう、そしてPMAありがとう。
Image: Apple
Source: Powermat via Engadget
Rhett Jones - Gizmodo US[原文]
(そうこ)