検挙すればするほど休暇とボーナス支給…米警察の悪習是正に指紋認証タイムカード導入へ

  • author 湯木進悟
検挙すればするほど休暇とボーナス支給…米警察の悪習是正に指紋認証タイムカード導入へ
Image: Skyward Kick Productions/Shutterstock.com

こんなこと、日本ではまかり通ってないよね?

いまアメリカでは、警察組織の不正をめぐるスキャンダルが相次いでいます。渦中のメリーランド州のボルチモア警察署では、警官の不正対策に指紋認証方式で勤務実態を把握する新制度の運用が始まることになりました。「誰よりも正直で頼れるのが警察官」というイメージが崩れつつあるアメリカにおいて、警察の信頼回復に不可欠な管理システムと考えられているようです。

事の発端は、ボルチモア警察署で異様に多く申告された警察官たちの残業手当。昨年の予算では、勤務時間外も任務にあたる警察官たちに、1600万ドルの残業代を支払うように取りわけられていました。ところが、実際は予算を大幅に上回る4490万ドルもの大金が警察官の残業手当の支給だけに使われたことが明らかになったのです。警官たちはそんなに残業してるの…?

実は現在までに、ボルチモアで銃器の摘発任務にあたるGun Trace Task Forceの警察官たちが、次々と裁判で残業手当を不正に受け取ってきたことを認めています。

もし勤務時間中に違法な銃器の所持者を検挙し、武器の押収に手柄を立てたとしましょう。すると、銃1丁につき1日分の残業手当を割り増しでもらえる、という報奨制度が暗黙のうちに存在しているというのです。もし拳銃を5丁押収すれば、働かなくても5日分の残業代を手にできるというわけです。

これは署内ではよく知られている、公然の秘密でもある。なにか悪いことをしているという意識はなく、圧倒的大多数の部長たちが、部下を励ましてねぎらうために、当たり前のこととしてやってきた。

あるボルチモア警察署のOBは、匿名でこんなふうに悪しき慣習の存在を認めているようです。実際は働いていなくても、もらえる残業代を目指して検挙に励む警官たち。クリーンなイメージの警察官が、ウソの申告で堂々と報奨金を支払われている実態を知り、市民はあきれたり、怒りの気持ちに駆られたり。当局もイメージ回復に必死です。

苦肉の策で、犯人を取り締まるために使われることが多かった指紋認証システムを、毎回の出退勤のタイムカード代わりに警察官たちに通させ、本当に時間通り働いているのかどうかを調べなければならない世の中。まったく、もう誰を信じてよいのかわからなくなりますよね?

今回の告発は、紙ベースで署名さえ入っていれば「残業した」と認められ、時間外手当が支払われる仕組みの組織なら、どのようにでも悪用可能だという意識さえ人々の間で高まるんじゃないでしょうか。もしかしてほかの地域でも、こんな不正が公然とまかり通っているのでは?

スピード違反を多く取り締まったら休みが増えて、信号無視を多数検挙でボーナス支給! …のような制度で日本の警察組織が回っていないことだけは信じたいものですね。


Image: Skyward Kick Productions/Shutterstock.com
Source: Baltimore Sun

Sidney Fussell - Gizmodo US[原文
(湯木進悟)

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