HomePodレビュー:完璧なアップル製プロダクト(悪い意味で)

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  • author 塚本直樹
HomePodレビュー:完璧なアップル製プロダクト(悪い意味で)
Photo: Adam Clark Estes/Gizmodo US

Appleファンじゃないとね…。

Apple(アップル)が他社に遅れて投入したスマートスピーカー「HomePod」は、今ところ音質面ではほとんどのメディアで高い評価を受けています。しかし音質以外でいうと、米GizmodoのAdam Clark Estes記者の目には厳しく写ったようです…。


Appleが投入した350ドル(約3万8000円)のHomePodは美しく、きちんと機能します。しかしその動作は他のApple製品との連携や、そのサービス内に限られ、私をいらだたせるのです。2017年6月にフィル・シラーが発表したHomePod。しかし、その参入は遅すぎたようです。製品は数度の延期後に先週発売されましたが、そのリリースは静かなものでした。

HomePodは単に、ほとんどの人にとって非常に便利ではありません。私が4日間テストした間、Siriを搭載したHomePodはうまく動作し、音質にも満足できました。私の場合はApple Musicに加入し直す必要があり、実際にボイスコントロールで利用できるのはApple MusicとiTunes、Beats 1だけ。まぁAirPlayを使えばSpotifyやGoogle Playも再生できますが、Bluetoothには対応していません。

私には正直、数千ドルも支払って複数のHomePodで部屋を満たそうとする人がいるとは信じられません。またSpotifyと同じことをしようとするには、まるで2006年頃のようにiTunesのプレイリストをいじくり回す必要があるでしょう。

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Photo: Adam Clark Estes/Gizmodo US

HomePodのセットアップはワイヤレスイヤホン「AirPods」と同じく、iPhoneを近づけるだけでスタートし、とても簡単です。問題はここからで、私は純正の音楽アプリを消してしまっていたので、それをインストールし直し、Apple Musicのトライアルに加入し、もしSiriでSpotifyのRelease Radar(最新リリースのプレイリスト)を再生できたら…と思って、数時間格闘する羽目になりました。これは普段からApple MusicやiTunesを使っている人には関係のない話ではありますが。

音楽再生機能に話を移しましょう。まず言えるは、これは自宅で音楽を再生するためのデバイスであるということです。Sonosキラーなんて言われることもありますが、(Sonosが得意とする)マルチルームオーディオやステレオ再生機能は年内のアップデートを待つ必要があります。また個人的には、HomePodが「Sonos One」に迫る音質だという意見にも疑問がわきます。ただし、これには個人の好みの差もあるでしょう。

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Photo: Adam Clark Estes/Gizmodo US

音質面としては、確かに下向きに備え付けられた動作が可能な20mmウーファーは、このクラスでベストなベース音を奏でてくれます。さらに、耳障りな低音でないのも好印象です。ビートルズの『Eleanor Rigby』では、深くて情調の豊かなチェロを奏でたのです。

そしてウーファーの下には7個のツィーターが搭載され中高音を担当しているのですが、ビートルズの『Let It Be』を聞いたときにはまさにポールと一緒にスタジオに入っているような、極めてピュアな音楽再生が楽しめました。またアコースティック系の音楽再生も実に見事でした。

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Photo: Adam Clark Estes/Gizmodo US

一方では、中音域の再生には疑問を感じるケースもありました。いくつかの楽曲では中音が全く聞こえず、エレクトリック系の音楽にはマッチしないケースも多々見受けられます。『The Wilhelm Scream』ではJames Blakeがバスドラムと一緒に立ち、空のガレージから空虚に歌っているようでした。どうも、HomePodは低音を強調しすぎる傾向があるようです。

ただそのような癖を考慮しても、HomePodはこれまでテストしてきたスマートスピーカーの中ではほぼ最高な音質を実現しています。ほぼといったのはSonos Oneも同等の音質を備え、さらに200ドル(約2万2000円)で購入できるからです。また500ドル(約5万4000円)が払えるのなら、HomePodより5倍は音質がいいと個人的に感じる「Sonos PLAY:5」も購入できます。

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Photo: Adam Clark Estes/Gizmodo US

スマートホームのハブとしては、HomePodは極めて不足していると言わざるを得ません。HomePodはHomeKitと連携して動作するのですが、Amazon(アマゾン)の「Alexa」やGoogle(グーグル)の「Googleアシスタント」で対応製品の過去互換性が確保されているのと異なり、HomeKitの場合は新型の購入が必要となります。例えばPhilips(フィリップス)はスマート電球「Hue」をリリースしており、私も持っているのですが、これが旧式製品で対応せず。スマートホーム機能を利用するには、60ドル(約6,400円)の新型を購入する必要があります。これは私が所有するセキュリティカメラ、スマートスイッチ、というかその他のすべてのスマートホーム製品でも同じ事態が発生。Appleが認めた新型の製品を所有していないために、HomeKitによるスマートホーム機能が体験できないのです。

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Photo: Adam Clark Estes/Gizmodo US

さらに、Siriがこんなにも使えないとは! これは単にSiriの理解力が低いからではなく、その機能が極めて限定されているのが原因です。Siriがサポートしているのは株価アプリやニュース、メッセージ、天気、リマインダー…以上! 母親に電話をかけようとしたら、「すみません、それはHomePodからはできません(まずiPhoneから電話をかけて、HomePodに転送してね)」と言われてしまいました。

HomePodは素晴らしいハードウェアですが、ソフトウェアのひどい制限によってその価値が損なわれています。つまり、これは究極のApple製プロダクトなのです。もしあなたがApple製品で固めているなら、素晴らしい経験ができるでしょう。しかし一般の人は違います。Sonosのような柔軟性のあるセッティングがしたいし、多様な音楽サービスも利用したいし、そもそもAmazon EchoやGoogle Homeは新型のスマート電球を買いに走る必要はありません。

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Photo: Adam Clark Estes/Gizmodo US

正直、AppleはHomePodをどうしたいのでしょう? 初代iPhoneやiPadのようにApple製のソフトウェアだけを使うか、新しいハードウェアを買わせるのでしょうか? また今後はiOSのようにプラットフォームを開放し、制限の中でアプリを開発させてHomePodを使いやすい製品へと育てるのでしょうか。その答えは、時が経てばわかるはずです。

まとめ

・350ドルの価値がある素晴らしい音質
・Apple MusicやHomeKitなど、Appleサービスでのみ利用可能
・ベースとトレブル(高音)はいいが、中音域は不足している
・Siriはあまりにも機能が限定されている


Photo: Adam Clark Estes/Gizmodo US

Adam Clark Estes - Gizmodo US[原文
塚本直樹

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