公開直前の『ブラックパンサー』をはじめ、大ヒット続きのマーベルのヒーロー映画シリーズ「マーベル・シネマティック・ユニバース(以下、MCU)」。これまでの10年間で公開されたシリーズすべての興行収入が、120億ドル(約1.3兆円)越えというすさまじいプロジェクトです。
今回は、そんなMCUを立ちあげたプロデューサーであり、マーベル・スタジオ製作社長のケヴィン・ファイギさんにインタビューしてきましたよ!
10年前と今の状況の違いや、コミック原作者にお金はどう支払われているのか…など、たくさん聞いてみました。
これまでも、これからもMCUを支える人々
──ファイギさんは1998年の『ブレイド』や2000年の『X-MEN』など、MCU立ちあげ以前からマーベル系の映画に関わっていますが、当時と2018年の今とで変化を感じていますか?
ケヴィン・ファイギ(以下、ファイギ):本当に大きく変わっています。20年前、DCの映画『バットマン』や『スーパーマン』は多くの人たちが知っているいっぽうで、マーベルの映画はほとんど知られていませんでしたから。観客はまだ半信半疑の状態でマーベル作品を観にきていました。
それらの映画で学んだことを活かし、2008年映画『アイアンマン』を打ち出してからすべてが変わったんです。
この成功のおかげで、今私は日本に来てインタビューを受けることができています。20年前は『アベンジャーズ/インフィニティ・ウォー』みたいな映画を作れるとは夢にも思っていませんでしたよ(笑)
今は、大勢の観客がマーベルの映画にワクワクしながら観にきてくれています。かつてなら観客を驚かすことは簡単でしたが、今はすごく期待されているのでそれを越えなければなりません。それが、以前と現在の違いですね。
──MCUの成功の陰には、ほぼすべての作品に関わり、数々の名キャラクターを配役してきたキャスティング・ディレクターのサラ・フィンさんの力も大きいのではないでしょうか?
ファイギ:サラは本当に最高です。彼女とは『アイアンマン』でロバート・ダウニー・Jrを配役して以来、ほとんどずっと一緒にやっています。新作を作るときにまず話し合いをするうちのひとりでもありますね。我々がアイディアを交換するなかで、彼女は候補者のリストを作っていくんですよ。
MCUに登場する俳優は、かならず彼女が選んでいます。ぴったりの俳優をキャスティングするのは本当に難しい仕事で、『アイアンマン』のロバート・ダウニー・Jr以来、彼女にはかなり高い水準の配役を求めています。
が、クリス・エバンスに、クリス・ヘムズワース、スカーレット・ヨハンソン、ジェレミー・レナー、マーク・ラファロ……と、サラは素晴らしい俳優をそろえてくれました。

──彼女はこれからもMCUの映画づくりで活躍していきますか?
ファイギ:もちろん、これからの映画でも一緒にやっていきます。MCUの鍵をにぎる人物ですからね。
実は私の携帯電話には、サラから新たな映画のキャスティングのメールが来ているんですよ……内容を教えることはできませんけど(笑)
──日本では、漫画原作の映画で原作者に支払われる原作使用料が一時期話題になりました。マーベルの場合、キャラクターの権利は会社が持っていますが、コミックライターに対し原作使用料を支払っているのでしょうか?
ファイギ:以前は問題だったのですが、状況は毎年変わっています。今では映画に登場するキャラクターを1人でも生み出したらクレジットが入るようになっていますし、お金に関してもマーベル・コミックスが彼らの基準で支払いをするシステムができあがっています。
歴史の浅い最近のキャラクターの場合、いろいろなケースがありますが、多くのキャラクターを生みだしたジャック・カービーの遺族やスタン・リーのようなクリエイターにはしっかりお金が支払われています。
とにかく、我々はマーベルに遺産を残し、映画に貢献した人を知ってもらいたいと思っています。
『アベンジャーズ/インフィニティ・ウォー』以降作品で、MCUは新境地へ
──今後、MCUの映画とドラマシリーズの世界が繋がっていく展開はありえるのでしょうか?
ファイギ:いずれ、ありえるとおもいます。たくさんの人がこのことに関して質問してくるので、うまいやり方を考えなければなりませんね。
以前、私は「ドラマにはドラマのスケジュールがあって、映画には映画のスケジュールがある」と発言しましたが、たとえば『アベンジャーズ/インフィニティ・ウォー』はドラマシリーズが始まる前から準備をしていたものです。なので、今後のプロジェクトには可能性があるでしょう。
──『アベンジャーズ/インフィニティ・ウォー』の次に公開される第4作目の『アベンジャーズ』シリーズには、日本が舞台として登場するそうですが、撮影は海外で行なわれたという記事を読みました。やはり、日本での撮影は難しいのでしょうか?
ファイギ:大きなシーンなのですが、時間としては短いものなので、予算的にも日本国外で撮ることにしました。
日本での撮影は、日本のディズニーをふくめていろいろと相談しています。素晴らしい撮影ができるでしょうが、やはり実現するのは難しいと感じていますね。東京の道路を映画の撮影のために封鎖して、そこをスーパーヒーローが走り回るっていうのは厳しいみたいです(笑)。
それでも、日本で撮影するのは夢なので、いずれ実現したいですね。
──MCUでは、今後も新しいキャラクターをどんどん映画に出していくのでしょうか?
ファイギ:もちろん、既存のキャラクターも登場します。が、新しいキャラクターを登場させるのが好きなので、まだ映画化していないコミックのキャラクターもどんどん出していきますよ。これからもたくさんの機会があると思いますね。
MCUの最重要人物たるケビン・ファイギさんが日本に来てくれたというのは本当に嬉しい限り。残念ながら、日本で映画の撮影が行なわれるようになるのはもうちょっと先になりそうですが、そちらも実現が楽しみです。
また、原作使用料についても語ってくれましたが、これだけヒットが続いているマーベルでも、問題が解決し始めたのが最近というのは興味深いところ。
映画『ブラックパンサー』は3月1日(木)公開予定。その後、『アベンジャーズ/インフィニティ・ウォー』は2018年4月27日(金)公開予定ですよ!
Image: ©Marvel Studios 2018
Source: COLLIDER, Screen Rant
(傭兵ペンギン)