挙動も音もハンドメイド感も、全部が可愛らしい。
モジュールを繋ぐだけで簡単にオリジナルの回路が作れる電子工作キット「littleBits」。これを使って『スター・ウォーズ』のR2-D2を作ってしまおうというのが、「Droid Inventor Kit」です。Amazon(アマゾン)ではベストセラー1位にもなっており、電子工作ファンやSWファンなど、いろんな角度のユーザーをしっかり満足させているんだなーと思ったり。
その尽きぬ魅力をこの手で感じてみるべく、実際に自宅で「Droid Inventor Kit」を作って数日間過ごしてみました。ドロイドとの共存生活で感じたエモい点などをお伝えしていきましょう。
Droid Inventor Kit
・ これは何?:littleBitsで組み立てる、R2-D2制作キット。アプリで動かせるよ
・価格:1万4580円
・好きなところ:可愛いし、アプリ操作も楽しいし、存在感もあるし、可愛い
・好きじゃないところ:思ってたより拡張しづらい(できなくはない)

「Droid Inventor Kit」にはドロイドを構成するための最低限のモジュールが同梱されており、専門的な知識が無くても簡単に自作電子工作的なロボットが作れる、というのがウリです。R2-D2型のロボットやラジコンというだけなら他にも選択肢はありますから、こちらを選ぶ時のモチベとしては、ハンドメイド感やlittleBitsならではの拡張性、あるいはアプリ要素といったところでしょう。
僕はというと、まぁ人並みにR2-D2は好きだけどラジコンを買うほどではないかなという一般ピーポー的なスタンス。でしたが、いざ組み立ててみると「おぉ…R2-D2がウチにいる…動いてる……!」と、一気に好きぃいってなりました。その理由は、大きさと自作感、これです。外装がことのほか大きくて、存在感がすっごいんですよ。このスケールのものを自分で作ったという達成感も相まって、愛着レベルは相当のものです。しかもコレが動くってんですから!

作り方も結構ユニークで、説明書がついて無いんですよ。代わりにR2-D2を動かす専用アプリ「littleBits Invent」が説明書になっていて、初回起動時は組立てから指示してくれます。順を追って組み立てていって、ほどほどのところで動作チェックなんかもさせられるので、回路の流れや役割を把握できるようになってるんですね。

設計図も3Dで、IKEAの1192倍見やすい。全く詰まらず完成まで持って行くことができました。基本形を覚えれば配線やモジュールの位置の変更もできるので、まずはここからといったところでしょう。

自分で組み上げたR2-D2を動かせた時の感動といったら! 繰り返しになっちゃいますが、自分で作ったモノを動かしているという感覚は、やっぱりワクワクのレベルが違いますね。我が子感がある。
littleBitsといえば拡張!
これでR2-D2の基本形が整いました。littleBitsといえば拡張ですから、ここからはモジュールを足したり引いたりしてどんどんカスタマイズしていきまっしょう。今回は光センサー、モーションセンサー、音センサーをセットにした拡張キット「SENSE IT」と、ほかにも色んなセンサー系モジュールを用意してみました。やっぱり外部刺激で動いたほいうがそれっぽいなーと思いまして。全部使うかはわかりませんが。
完成したR2-D2は前後左右に動かせる&ピロピロ的なSEが多数出せるんですが、もう少し動きにバリエーションが欲しいなとも思ったんです。たとえば首振りや、アームの前後動作とか、そういうのができたら可愛いなーと。そのためにはそれらを動かすサーボモーターと、動くきっかけとなるセンサーが必要になります(アプリでは操作できないため)。

たとえばモーションセンサーは、一定範囲内に動体反応があるとオンを流します(けっこう敏感)。これを利用して、「R2-D2が動いた時にその視界変化でサーボモーターを回す」みたいな反応を起こさせることもできるワケですな。アイディアと検証が要されるところですが、むしろ楽しい作業ですしモジュール付け替えも楽なので、これがlittleBitsの魔力かぁと感じたり。あのセンサーで駄目ならこっちはどうだ、みたいに考え始めたらもう沼への入り口です。
ただ、モジュールを固定するマウントボードが思いのほか小さいというのは誤算でした。実際にセンサーを取り付けるとなると分配モジュールは必須なので、横幅を取っちゃうんですよ。さらに首振りや腕振りをさせるならサーボモーターの位置は動かせない。となると、自由度は結構下がっちゃいます。最終的には音センサーを組み合わせて、アプリ側でSEを出したら首振りをさせるというパターンを作ってみました。センサーの組み合わせ次第でいくらでもバリエーションは思いつきますが、それが筐体に収まるかどうかは別ってところですねぇ。
ちなみに、車輪に繋がっているサーボモーターを首や腕に繋げば、アプリ側でそっちを動かすこともできます。その場合はR2-D2が置物化しちゃいますが、玄関やリビングに置いて、お客さんが来たらセンサーやアプリで動かす、みたいな遊び方をするならこういうパターンもアリ。ずっとラジコンするワケでもないなら、クラスチェンジ先としては一考できます。
実は最初は、CloudBitを使ってIoT的にR2-D2を動かそうと思ってたんです。でもCloudBitは9V電池じゃなくてUSBポートorプラグからの電源供給じゃないと動かないと、使って初めて知りまして……。よくよく考えたら常時電源オンで待機するIoTモノなら電池はさすがにダメですよね。先ほどの置物化パターンなら電源も取れそうですが、ラジコン時にはCloudBitの組み込みは諦めましょう。残念。

このCloudBitの設定も、Amazon EchoのWi-Fi設定みたいで楽しかった。
万能の自由度とまではいかず。でも十二分に楽しい
拡張がしづらいとはいえできないワケでもないですし、R2-D2の外装をハズしてオリジナル外装をペットボトルや段ボールなんかで自作して、そこにモジュールをくっつければマウントボード立地問題も解決できるっちゃできます。R2-D2外装を活かしたいならそれなりの自由度減は覚悟せねばなりませんが、★1個分のマイナスにもならないレベルの問題かなとも思うので、いってもそんな深刻じゃないです。
なんせ一番感動したのは、この大きさの電子工作モノを自分で作ってアプリで動かせる。再三ですが、これに尽きます。映画でもおなじみのSEとカタカタ動くその様子だけで、感情表現も充分です。実際、可愛い。うちでは我が子やペットのようにR2-D2を動かして楽しんでましたし、基本キットだけでも十二分に遊べると断言しましょう。アプリ、良くできてます。
で、もっとこうしたいああしたいという気持ちが生まれてきたら、他のモジュールを漁ったりするというのが王道な沼ルートではないかなと。「光センサーとモーションセンサーを組み合わせてうんたら」みたいな構想を練り出したら、見事にlittleBitsの魅力に捕まったといえましょう。

総じて、自作R2-D2ラジコンが楽しめると思ったらいつの間にかlittleBits沼にハマっていた、みたいなことになりかねない魅力溢れる逸品です、「Droid Inventor Kit」。自分で作ったロボットへの愛着とか、エモくないですか?
Photo: ヤマダユウス型
Source: DROID INVENTOR KIT, AppStore
(ヤマダユウス型)