「ネット中立性」撤廃の問題を体を張って説明した男性、みんなから(狙いどおり)嫌われる

  • author 塚本 紺
「ネット中立性」撤廃の問題を体を張って説明した男性、みんなから(狙いどおり)嫌われる
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警官も人々もおこです。

去年末、アメリカでは「ネット中立性」の撤廃が決定され、大きな批判と市民からの反対がおきました。連邦通信委員会(FCC)は「インターネットの自由を回復する」などと表現して正当化しようとしていますが、多くの人たちから「いやいや自由を奪ってるんだよ!」と怒りを買っています。ネット中立性が奪われることの意味を細かく知りたい方はこちらの記事を読んでみてくださいね。

しかしネット利用者でも「なんだか難しそう」とネット中立性についてあまり理解しないままの人がたくさんいます。そんな人々にも理解してもらうため「ネット中立性がなくなるって、こういうことだよ」と専門家を含めいろいろな人が簡単な言葉で説明しようとしたり、ファーストフード店でたとえてみたりと努力しています。ユーチューバーのRob Blissさんも、わかりやすい例を反対運動を使うことで話題になっています。

Rob Blissさんが考えた例は、道路を使ったもの。ネット中立性が存在していれば、誰であれすべての道路を走ることができます。ネット回線(=道路)は誰にとっても中立なわけですね。二車線あれば二車線とも、誰の車も通れるわけです。

ネット中立性がなくなれば、「(道路を運営する会社=ネットプロバイダが)ひとつの車線だけを誰でも使えるようにして、そこに渋滞を起こし、追加料金を払った人だけが素早く快適にもうひとつの車線を通ることができるようにする」といったことが可能になると。これがRobさんの例なんです。

なぜ話題になっているかと言うと、この例をワシントンD.C.にあるFCCの建物の真ん前の道路で実際に抗議活動として行動に移したことです。そうです、道路を防いで渋滞を起こし、本人は「この道路を高速で走りたければ、月額5ドル(約550円)の乗り換えサービスがありますよ!」という文字の書かれたジャケットを着て自転車でゆっくりと走行したのです。こちらがそのビデオ。

突然、車線をひとつコーンで通行不可能にし、もうひとつの車線のど真ん中を自転車でノロノロノロノロと移動して渋滞を起こす彼。自動車の運転手はクラクションや怒声で怒りを表明し、警察官もたくさん集まってコーンを除去し、「もう一回やったら逮捕するからな」と彼を怒鳴り散らします。

もちろん多くの人に迷惑をかけたわけですが、彼からするとそれこそがポイント。「渋滞を起こすな!」「トラフィック(交通)を遅くしてる!」「お前の道路じゃないんだ!」と、自動車の運転手たちがイライラを爆発させる様子こそが将来のアメリカのネットユーザーの反応そのものというわけです。以下は警官と彼とのやりとりです。

警官:これ以上交通の邪魔をしたら…

Rob:いや、普通のスピードで通過させたら、誰も僕のサービス(5ドルでもう一つの車線を通れる)を購入してくれないでしょ。

警官:いやいや…

道路という文脈で考えるとたしかにこれはかなりバカバカしい発言ですね…。

警官:なんでこんなことやってるんだ?!

Rob:僕は、自動車の自由を回復させようとしてるんです。

警官:ノー!!

交通をわざと遅くしてお金を儲けようとして「いやいや自由を回復させてるんです」と主張しているわけですから、警察官もほかの運転手たちも呆れてしまうのは当然のこと。このビデオでは多くの人が怒っている様子がたくさん紹介されています。ビデオを観ている私たちのなかにも「こんな自分勝手なことをしてふざけるな!」と怒りを覚える人がいるのではないでしょうか。

でも、これぞ彼の狙いなわけです。道路でこういうことをすれば、すべての利用者が不満を覚えて、警察官が呼ばれ、逮捕されてしまうような状況なんですよと。今や一般生活の欠かせないインフラストラクチャーとなったインターネットの中立性が奪われることに対して、なぜもっと怒らないのか、というわけです。

この動画で誰かが「でもこんな単純な話じゃないでしょ…」と思ったら、ネット中立性についてもっと知ろうとするわけです。あ、これはRobさんの狙いどおりですね。


Image: Rob Bliss/YouTube screenshot
Source: Rob Bliss/YouTube via The Next Web

Jennings Brown - Gizmodo US[原文
(塚本 紺)

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