EVシフトが鮮明です!?
昨今経済紙では「EVシフトが鮮明」と言うのがバズワードになってるので使ってみました。が、実際のところ、ジュネーブモーターショー2018でもかなーりのEVが出ていました。今回EVに力を入れる日産さんにご招待していただき初ジュネーブショー取材。ということでEVフォーミュラからEVコンセプトカー、そして発売間近のEVまでまとめますよ。
EVレースが熱くなる!

フル電動のフォーミュラといえばFormula Eが2014年から開催され、かなりコアな人気を博してきています。2018年の新型はフルモデルチェンジ(Formula Eは全員が同じシャーシを使うワンメイクレース)、最先端の空力デザインを投入しEVシステムを刷新。これまで1レース中に2台目に乗り換えるちょっと不思議な方法でレースをしていましたが、新型は1レースを走り切るだけの高密度大容量バッテリー搭載へと進化。

デザイン面ではF1でも導入されるドライバーの頭部を守るハロの採用や、左右に分割されたリアのXウィングが特徴的。これはかなり面白くなりそうです。
そしてリーフでEVシフト先行を自認する日産が、ジュネーブモーターショーで満を持してFormula E参戦を表明。F1の観客は平均年齢55~56歳に対し、Formula Eは27歳と超絶若いんだそうで、その理由はソーシャルを中心とした情報展開に、すべてのレースが市街地レースなので目に触れやすいこと。確かにEVレースなら排気ガスや騒音の問題はないので、都会にマッチしていますもんね。日産にはぜひ日本グランプリとして横浜で開催できるよう、引っ張ってきてほしいです!
EVコンセプトカーがめじろ押し
つい数年前までヨーロッパといえばクリーンディーゼルだったのですが、フォルクスワーゲンのディーゼルゲート事件以来すっかりEVシフト。



EVコンセプトを3車種ラインアップするほどの力のいれよう。同時にパーソナルモビリティとの組み合わせも提案していて、まさにフルラインアップです。

パーソナルモビリティは2輪タイプのローラースルーゴーゴーみたいなものと、3輪タイプ(奥)の2種類を用意。3輪タイプは、スティックを操縦かんのように左右に傾けると曲がる構造です。
テスラキラー
EVシフトの原動力は、ポッと出のテスラが業界の話題をかっさらっていることに、老舗自動車メーカーがカリカリ来ているからでしょうか。VWグループのポルシェも対抗車種「Mission E」を投入していましたが、今回はそのSUVバージョン「Mission E Cross Turismo」を公開しました。

デザイン的にはカイエンやパナメーラの中間くらいのいかにもポルシェらしい流麗なプロポーションにまとまっています。これが市販化されたら人気でるんじゃないですかね?

アストンマーチンは「Lagonda Vision Concept」を公開。
観音開きドアとルーフトップが開いて後席の乗り降りがしやすそう。テスラ「Model X」を意識してのことでしょうか。


中国メーカーのLVCHI AUTOは「Venere」を公開。AWDで1,000馬力を発揮、ボディはアルミとカーボンでできているから相当速そう。デザインはイタリアのI.DE.Aが担当しているので、言われなければ中国車とは思えませんね。

そっちが1,000馬力なら、こっちは1,914馬力。Rimacが送り出すのはスーパースポーツEVですが、馬力のインフレが激しいですね。
ちっちゃカワイイEVカー
1,000だ、2,000だと言われてもピンときませんので、身近なEVはないかと物色するとあるじゃないですか、カワイイのが。

「Microlino」は前から乗り降りできる小型EV。実は昔出ていたイセッタとほぼ同じデザインで、折れ曲がるハンドルのリンケージまで当時そっくり。これは当時のイセッタを知っている人からは大人気。安定性を増すために後輪は1輪ではなく2輪タイプの4輪です。

イギリスメーカーのモーガンといえばクラシックカーで有名ですが、このEV3は後ろ1輪の3輪EV。ちょっとオフセットされたヘッドライトがメカメカしくて、カッコいい!


ダイムラー傘下のスマートからはフルEVのマイクロカーEQコンセプトと、現行スマートをEVにコンバートした「smart EQ」を展示。もともとシティコミューターとして設計されたスマートは航続距離の長さやパワーは求められないので、EVにバッチリ合いますね。


自動車工学を学ぶ学生もEVです。こちらは学生EVフォーミュラレース用のマシンで完全に自作。アクティブサスペンションがついていて、1周走るとそのコースの特性を全部把握、分析してコーナー毎に最適なサスペンションセッティングにするのだとか。ある意味、F1よりも進んでいますね。
あっちもこっちもEVだらけ
いやほんと、EVだらけで紹介しきれないくらいですよ。

ルノーのコンセプトカー「EZ-GO」は完全自動運転でハンドルなし、フロントがあいて乗り降りできる、渡し船みたいなEV。

三菱「e-EVOLUTION CONCEPT」は得意のオフロード4WDの技術をつかったEV 4WD。ルノー、日産グループの一員となってより役割分担やブランディングが加速しそうです。

韓国・ヒュンダイによる「KONA Electric」(市販車)。ひっそりとしていますが、着実にEVシフト。

SEAT(セアト)「Cupra e-Racer」。セアトは日本ではあまり有名ではありませんがVWグループで、こちらのベース車両はフォルクスワーゲン「Golf」。そのレースカーとなり、しかも670馬力のモーター搭載。静かに熱いツーリングカーレースが展開されそうです。見てみたいですね。
ということで全部はご紹介しきれなかったかもしれませんが、まさに「EVシフトが鮮明」なジュネーブモーターショー2018でした。
Photo: 野間恒毅
Source: 88th Geneva International Motor Show
(野間恒毅)