ARアプリでニューヨーク近代美術館をゲリラハック。拡張現実アート集団「MoMAR」

  • author たもり
ARアプリでニューヨーク近代美術館をゲリラハック。拡張現実アート集団「MoMAR」
Image: MoMAR via Gizmodo US

ゲリラアートの会場は…MoMA!

ゲームなどに活用されているものの、それ以外ではいまいち実用性が思い当たらないAR技術。今回、そのテクノロジーを「権力に抗議する手段」として活用するアーティスト集団が現れました。

8人のアーティスト達は、ニューヨーク近代美術館(MoMA)で常設展示されている絵画に、デジタルの拡張現実上で自分たちの作品を重ねあわせた展覧会を開催。Motherboardによれば、このゲリラ的なインスタレーションはなんと、美術館には無許可で展開されていたとのことです。

展示を行なったアーティストグループ、MoMARによれば、このプロジェクト「Hello, we’re from the internet」は、「物理的な展示スペースや美術館、そこに展示されているアートのキュレーションの民主化を目指す非公式な展覧会のコンセプト」なんだそう。彼らのサイトには「MoMARは非営利、無所有で、民営化された建築物が一切ないところに存在する」と記載されています。

Video: Damjanski/Vimeo

今回のプロジェクトの目的は、同美術館のエリート主義と排他性に対して異議を唱えるという試みにあります。MoMARはサイトで、このようにつづっています。

メディアや教会、政府など、どんな組織であれ同じことがいえるが、もっとも大きなこの美術館は厳格化され、その度が過ぎてしまったことで、本来の役割や貢献力がただの受動的な観察に落とされてしまっている

肉眼では見ることのできないこのARアート。興味を持った訪問者たちがアプリをダウンロードすることで、スマートフォン画面を通した拡張現実を見られるようになります。MoMARは、美術館の訪問者に対しアプリをインストール済みのスマートフォンや、直接ユーザーのスマホにダウンロードするためのノートPCを用意していたようです。現在このアプリはGoogle Play Storeにはあるものの、App Storeにはまだないため、Androidのユーザーだけが手持ちの端末で閲覧できるということになりますね。

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Image: MoMAR via Gizmodo US

彼らがARで行なったアート作品は、インタラクティブなゲームやGIF、元々展示されている絵画に重ね合わせた現代アートなど、さまざまなもの。鑑賞者はアプリをダウンロードした端末でもって、MoMAの5階にあるジャクソン・ポロックの展示室でARアートを見られるようになります。MoMARいわく、常設展示であることと室内にベンチがあることがこの部屋を選んだ理由なんだとか。

アプリをインストールしたうえ、さらに正確な位置からスマホを掲げない限り、通りがかりの人はMoMARのアートを見ることはできません。そのことを踏まえると、抗議の表現手段としてARが使われるのは興味深いものです。彼らは米Gizmodoへのメールで「近接かどうかは重要な問題ではなく、そのゆえARは強力なんです」とし、さらには「テクノロジーが抗議という行為の新しい扉を開いた」と語っています。

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Image: MoMAR via Gizmodo US

このアートを楽しむには、鑑賞者は美術館に直接行かなければならないですが、作り手にはその必要がありません。Motherboardでも書かれているように、MoMARのほとんどのメンバーは展示が始まる日の直前まで顔を合わせたことがありませんでした。つまり、アーティストや活動家たちにとって、その場にいるかどうかは関係なく作品作りと拡散ができるんです。

重要な点は、公共財産あるいは私有の作品に直接手を加えず行動できてしまうというところ。さらに、MoMARのアプリは誰もが参加できるようオープンソースになっています。MoMARからは「自由にやりたいようにやってください」とのコメントまで。「我々へのリンクを貼る必要もありません。この先、何を見られるかワクワクしています」とのことです。

いっぽう美術館側が、拡張現実アートを美術館内でゲリラ的にパフォーマンスすることに対し、ポリシーがあるかについては現時点で不明です。

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Image: MoMAR via Gizmodo US

MoMARは現在「おそらくソロのショーになる」という5月の新作展示に向けて作業中であり、美術館でのショーとイベントも引き続きキュレートを計画中なんだとか。彼らもまた、MoMA側からは何も聞いていないようです。

テクノロジーと人々の好奇心をうまく活用した、なんともヒネリの効いた抗議運動。今後こういったテクノロジーを活用したアートの新しい形が増えていくかもしれませんね。


Image: MoMAR
Source: MoMAR via Motherboard , Google Play Store, Vimeo

Melanie Ehrenkranz - Gizmodo US[原文
(たもり)

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