Facebook危機。トランプのデジタル広告戦略会社の心理兵器に5000万人の情報を流用される

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  • author satomi
Facebook危機。トランプのデジタル広告戦略会社の心理兵器に5000万人の情報を流用される
Image: David Ramos/Getty Images News/ゲッティ イメージズ

矛先はFacebookへ。

トランプのデジタル広告戦略を請け負ったCambridge Analytica(ケンブリッジ・アナリティカ、CA)に、ユーザー5000万人分の個人情報を抜き取られていることを知りながら、何らの対策もとれないまま大統領選に流用されていたことがわかり、Facebook(フェイスブック)が創業以来のピンチです!

New York TimesThe Guardianが17日(土)、CA社員の内部告発を一斉に報じたもの。これを受けてFacebookはCA社とその親会社SCL、およびCA社上級幹部のAleksandr Kogan心理学者らのアカウントを凍結しました。

Facebook公式ブログの説明によりますと、米大統領選で不正利用された個人情報はKogan心理学者(別名Dr. Spectre)が性格診断アプリで回収したデータとのことです。アプリでデータを回収すること自体は本人同意を得たうえのことなので問題はなく、Facebookの幹部がツイートしているように、「不正入手でも情報漏えいでもなんでもない」のだとか。

ただ、これを第三者のCA社に無断で開示した部分はFacebookの規約違反となります。そのためFacebookは、規約違反を検知した2015年の段階で問題のアプリをFacebookから取り下げ、外部に渡った個人情報を完全に削除することをKogan氏と全関係者に誓わせました。あの誓約は嘘だった、騙されたと言っていますよ。

しかしまあ、誓約書1枚で解決済みというのも、世界最大の個人情報を管理するテクノロジー企業としては心許ない面もありますよね。今回は26万人が性格診断クイズに回答し、その友達の友達まで総勢5000万人の情報が本人の預かり知らないところで選挙選のプロファイリングとターゲット広告に利用されていました。

「ザルすぎる」ということで#DeleteFacebook運動がわき起こり、Facebook株は週明け10%以上下落。ダウとナスダックにまで影響がおよびました。事業の大局には影響はないという見方もありますが、米英両議会で捜査と規制を求める声が高まっており、業態そのものの根幹が問われかねない勢いです。

英国ではメイ首相も遺憾の意を表明したのをはじめ、英国議会メディア委員会Damian Collins委員長は、「不正入手した個人情報は一切使ってないとNix CEO(CA社)は先月証言したばかりなのに、あれは嘘だったのか」と苦り切っており、「これは誰かが責任をとらないことには収まらない。Facebookページの影に隠れていないで出てこい、ザッカーバーグ」と両社にラブコール。

米国でもミネソタ州選出Amy Klobuchar上院議員が、上院司法委員会聴聞会へのザッカーバーグCEO召喚を求めると息巻き、オレゴン州選出Ron Wyden上院議員は8つの公開質問状をザッカーバーグCEO宛てに送り、回答を求めています。どれも厳しい質問ばかりです。

さらに一部の専門家からは、2011年のプライバシー裁判で米連邦取引委員会(FTC)と交わした同意判決に違反する行為との指摘の声もあがっています。もし仮に、FTCが本気で同意判決を振りかざして追徴金を求めた場合、Facebookが被る金額はなんと「数兆ドル規模にもおよぶ」可能性もあるのだとか。兆ですよ、兆!!

「漏えいでない」とはいえ、個人情報の追跡と管理がまともにできていないというのは、それ以上の怖さも…。ハッカーに盗まれたのだったら、自社の責任と誰もが認めて謝罪し、対処に向け努力しますし、まさか幹部と法務が両方揃って「漏えいではない」と言い張ることもないですからね。…あ、まあ、とても大事な点なので、漏えいと間違って報じられているところはもちろん正さなければなりませんけど…。

この種の問題が起こるたびに長文投稿で誠意を見せるザッカーバーグCEOも今回ばかりは右腕のシェリル・サンドバーグCOOとふたり、ずっと黙して語らずでしたが、やっと水曜になって声明を発表しました。

一方、疑惑の渦中のCA社Alexander Nix CEOは英チャンネル4の覆面取材にまんまとはまり、「ウクライナ美人の工作員と賄賂を送れば対立候補を失脚させることぐらい朝飯前だ」と豪語する動画が公開され、CEOを停職処分となりました…。あっけない…。

今回の件を内部告発したChristopher Wylieさんはといえば、米議会情報委員会で証言し、証拠書類を提出する意向を明らかにしています。Cambridge Analyticaでは、トランプ選対責任者スティーブ・バノンの依頼で「心理兵器ツール」(The Guardian)を開発する責任者だったのだそうですよ。

心理操作の兵器をつくったのはWylieさんかもしれないけれど、そこに鉄、鍛冶場、ターゲットを提供したのはFacebookだった。そんな実相がだんだん明らかになってきました。


Image: David Ramos/Getty Images News/ゲッティ イメージズ
Source: The New York Times, The Guardian, Facebook(1, 2), YouTube

Rhett Jones - Gizmodo US[原文
(satomi)

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