科学者が生み出した、AIで超リアルな動物の毛並を描写するCG技術

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  • author 岡本玄介
科学者が生み出した、AIで超リアルな動物の毛並を描写するCG技術
Image: JacobsSchoolNews/YouTube

効果的で実用的。しかもレンダリングが10倍速い!

これまでCGで毛を描写するってのは、レンダリング処理がコンピューターを重く遅くする頭の痛い作業でした。ましてや一本ずつの動きや光の反射を再現するだなんて、時間がかかるぶん制作コストもドカンと跳ね上がってしまいます。

そこでカリフォルニア大学サンディエゴ校と、バークレー校のコンピューター科学者たちが、動物の毛並みをリアルに再現する技術を編み出しました。もうちょっと詳しくいうと、毛に当たる光の反射や陰影が、従来よりリアリスティックになるのです。

Video: JacobsSchoolNews/YouTube

この方法だと従来の10倍も速く、正確な処理でレンダリングができるのだそうです。研究者のRavi Ramamoorthi氏はこうコメントしています。

私たちが初期に作った、毛並みの反射率モデルが受け入れられました。近く行なわれる演習に利用されることを期待しています

実は調査のために、剥製屋から毛の繊維を集めたという苦労話もあるそうな。そして2017年、タイ王国で開催された「シーグラフ・アジア」というカンファレンスでこの技術を発表したのでした。

これまでのレンダリングでは、毛をたくさんの円筒形として描写し、その表面に光が反射するよう作っていました。ですが本当の毛はもっと粗くなっています。しかも、これまでのCGは、人間の毛髪を想定して作られたシステムばかり。

これを解決するための技術が「サブサーフェイス・スキャッタリング」です。直訳すると「表面下の拡散」となるのですが、その名の通り技術的には、光が毛の表面ではなく毛束の隙間を反射/拡散して通り抜けるようにしたのです。たとえると、Tシャツを被せた懐中電灯から漏れる光が、繊維の隙間から外へバラバラに差すようなイメージ。

アニメーターたちは数学的な数値を操り、光をどんな状況下でどのように拡散させてレンダリングするのか、という方法を心得ています。ですがこの研究はAIにそれらの計算をさせるのです。

この方法はコンピューターで生成される毛並みなら、テレビゲームでもアニメでも実写でも利用することができます。ちなみに『猿の惑星』シリーズは従来の方法で毛並みを再現していましたが、もしこの方法を利用したら、もっとリアリスティックで、なおかつ公開日も早まることでしょうね。

次のステップは、この技術でリアルタイム・レンダリングをするそうです。もしこれが効果的であれば、役者の動きに即興で毛並みを生成してくれることになるでしょう。



Image: YouTube
Source: YouTube via UCSD
Reference: engadget
Ryan F. Mandelbaum - Gizmodo US[原文

岡本玄介


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