iPad Proがイラスト機なら、こっちはテキスト機。
先日発表されたiPad 第6世代、これはApple Pencilに対応する初めてのProじゃないiPadです。私はApple Pencil=Pro専用というアタマになっていたので、税別3万円台のiPadで動く姿に、どこか不思議さすら感じてしまいます。
さて、3月28日のキーノート終了後に注文したiPad(ゴールド、32GB、Wi-Fi)が29日朝に届きました。今回は写真をまじえて、Apple Pencilとともに数時間さわった印象をお届けします。


デザインやサイズは昨年のiPad(第5世代)から変化はなく、手に持ったときの感触もまったく同じ。これは昨年のiPadでも言えることですが、やはりiPadと10.5インチのiPad Proを比べると、厚みに無骨さを感じます。

スペースグレー、シルバー、ゴールドの3色展開のiPad。なかでもゴールドカラーは、今までの黄色が強いゴールドから、銅色っぽいゴールドになりました。昨年発売されたiPhone 8と統一するかたちとなり、唯一、新型のiPadであることをドヤできるポイントです。


ちなみに新型iPad限定のiOS 11.3も確認できました。

気になるApple Pencilの書き心地については、まず、私が懸念していた「今回のiPadがフルラミネーションディスプレイではない」という点から話したいと思います。
フルラミネーションディスプレイとは、液晶面とカバーガラスを一体化して作られたディスプレイのことで、昨年のiPadからは低価格を考慮して、フルラミネーション加工が施されなくなりました。下の画像のように、フルラミネーション加工がないと、カバーガラスと液晶面に隙間が見えます。

つまり「少し浮いたガラスのうえでApple Pencilを使うことに違和感はないか?」という懸念があったのです。そして使ってみた結果、これは文字を書くときに限っては気になりませんでした。
たとえば、iPadに対して真正面を向き、純正の「メモ」アプリでペンを走らせるのであれば、何も違和感がありません。それが、プロ用のお絵かきアプリ「Procreate」になると話が変わってきて、絵を描くときは「ペン先をどこに置いて、どこまで走らせるか?」が重要な動作になります。iPad+Apple Pencilはその動作に適していなく、体勢が少しずれるだけで、ペンをタッチする位置と線が表示される位置が大きく変わってきます。なんと言いましょう、ペンを置く位置に思いどおりの線が気持ちよくかけないのです。

Apple Pencilで描いてからディスプレイに表示されるまでのレイテンシ(遅延時間)については、第1世代のiPad Proと同等といった印象。現行のiPad Pro(第2世代)は、120Hzのリフレッシュレートに対応しているため、60HzのiPadと同等とは言えません。でも、iPad Proの第1世代と同じというだけで上出来ですよね。そもそもApple Pencilの品質が高く、本来のなめらかなペン運びと筆圧感知はしっかり受け継がれています。


今回は数時間触った程度の感想にはなりますが、現行のiPad Pro(第2世代)+Apple Pencilの書き心地を100とすれば、レイテンシとフルラミネーションを引いて、90くらいの気持ち良さを実感しました。しかしメモ書き程度の使用に限っていえば、液晶の隙間も、レイテンシも気になりません。そもそも絵を描く目的でiPadを購入する方なら、それなりのプロセッサパワーを必要とするアプリを使うわけで、そこはiPad Proとの住み分けができていますよね。
今回のiPadによって、iPad mini 4を除けばすべての現行iPadでApple Pencilが使えるようになりました。これからは「Apple Pencilを使いたいから」iPad Proを選ぶのではなく、「Apple Pencilで書きたいもの(文字か、絵か)」に応じて端末を選べるようになるわけです。これこそが、今回のiPadで一番おおきな恩恵なのではないでしょうか。
Photo: ギズモード・ジャパン
(山本勇磨)