未来風ワイヤレス・マウス「Logicool PowerPlay」システムレビュー:必要とする人がニッチすぎる

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  • author 塚本 紺
未来風ワイヤレス・マウス「Logicool PowerPlay」システムレビュー:必要とする人がニッチすぎる
Photo: Alex Cranz/Gizmodo US

誰得、ってやつですかね?

Logicool(ロジクール)が新発売した、ワイヤレスマウスと充電パッドがセットになった「PowerPlay」、一見するとかなりクールなSF風システムなのですが、米GizmodoのAlex Cranz記者によると、考えれば考えるほど「これは誰のために開発されたのだ」と理解に苦しむプロダクトのようです。


非常に、残念です。Logicoolによるワイヤレス・マウスの「PowerPlay」システム、最初は非常にクールなテクノロジーだと思ったんです。それも、空飛ぶ車やロボットの執事といったレベルのSFデバイスかと。何といってもプラグインする必要がまったくない、ワイヤレスのマウスです。コンピュータへのデータ転送もワイヤレス。そしてなんと充電もワイヤレス。電池はもちろん、ケーブルやドックでの充電も必要もありません。

1988年にタイムマシンで過去に遡って、小さい頃の私に「レーザーを使ってカーソルを動かすマウスで、磁石を使って充電して、完全にワイヤレスなデバイスだよ」と披露すれば、腰を抜かすに違いありません。きっとくわえているオシャブリも吹き出すと思います。しかし、2018年を生きる私にとって、このプロダクトはあまりにニッチすぎました。

PowerPlay Wireless Charging System

・これは何?:完全にワイヤレスなゲーミングマウス

・価格:200〜250ドル(約2万1000円〜2万6000円)

・好きなところ:動くところ!

・好きじゃないところ:高額で、マウスパッドが巨大なところ

このPowerPlayワイヤレス充電システム、ストライクゾーンど真ん中なユーザーは一体誰だ、と考えたときに、最初は「私かな?」と思ったんです。理想的なユーザー候補、私じゃん?って。

私はゲーマー、かつ根っからのガジェットオタクです。ワイヤレスのマウスはこれまで、動作に遅れが生じるという問題を抱えてきました。ゲーマーにとってこれはかなり致命的な欠陥だったんですが、ここ10年間でかなり改善され、ほとんどの人にとっては十分便利なデバイスとなりました。それにくわえてPowerPlayの場合、充電をする必要がまったくないというコンセプトも夢のようです。

その仕組みとは、マウスパッド自体が充電用のパッドになっているというもの。パッドの上に乗ったマウスを、操作しながら充電もしてくれるんです。現在、LogicoolはPowerPlay G903とG703というふたつのマウスを売り出していますが、今回のレビューにあたって私はおもにG903を使いました。こちらはどちらの利き手でも使えるデザインになっており、ボタンの数も11個と多めです。いくつかを切り替えることで、機能をカスタマイズすることもできます。そんな充実した機能面には高級感すらあります。

しかし、何より一番高級感があるのが、残念なことに値段そのものなんです。150ドル(日本価格2万1130円)(Amazonでは約113ドル(約1万2000円)で買うことができるようです)と、マウスにしては驚きの価格。G703のほうは右利きのユーザーを対象としており、値段も少しだけお手頃な100ドル(日本価格1万1880円)となっています。ボタンの数も少なく、6つ。マウスの値段が高いとはいえ、これだけであればかなりクールなデバイスですね。充電をする手間もいりませんし、充電を忘れてしまってゲームに支障をきたすこともありません。しかし、問題はマウスパッド。こちら、別売で100ドル(約1万円)なんです。

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Image: G703(左)G903(右)
Photo: Alex Cranz/Gizmodo US
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モジュールも簡単に交換できます
Photo: Alex Cranz/Gizmodo US
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このスロットにPowerPlayモジュールが入ります
Photo: Alex Cranz/Gizmodo US
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さまざまなボタンがついています
Photo: Alex Cranz/Gizmodo US
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G903
Photo: Alex Cranz/Gizmodo US
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G703
Photo: Alex Cranz/Gizmodo US

しかも、充電パッドは高価なだけではありません。巨大なんです。なので、パッド自体が非常に大きなスペースをとってしまいます。一体どんな場面で必要なのか…頭を悩ませてしまうくらいのサイズです。シューティング・ゲームで遠くの敵キャラをスナイパーで狙撃するとき、細かい動きが必要になるため、マウスの敏感さを落としたりしますが……そんなスナイパー向けなのかな?とも思えてしまうほどの大きさです。縦32センチ、横34センチという大きさがデスクにスッキリとおさまるなんてことは、なかなかないのではないでしょうか。この大きさのせいで、ユーザーのデスクを一気に狭めてしまうように感じます。

少なくとも私のデスクでは、このパッドを簡単に載せることができません。一部がデスクの横から垂れてしまったり、地面に置くなどしなければいけませんでした。もしくは、オフィスの別の広い場所にわざわざマウスとパッドとコンピューターを持って移動するしかありません。

この大きさは非常に気に入らないものの、パッドの表面を選べるのは素晴らしいと思いました。ソフトな生地のマウスパッドを好む人もいれば、硬いプラスチックを好む人もいるでしょう。

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データ転送用のデバイスを装着しています
Photo: Alex Cranz/Gizmodo US

しかし、これほど広いマウスパッドを必要としてない私のようなユーザーにとっては、ただ「常に充電してくれるワイヤレス・マウス」だけではちょっと弱いんですよね。ちなみにパッドには、データを転送してくれるトランシーバーも接続されています。

さらに残念なことに、充電できるのはこのマウスのみです。これは、正直言ってもったいない。PowerPlayが採用している充電システムは、安いけれどもちょっと古い磁界共鳴方式を使っています。Qi規格は磁界共鳴で充電することができますが、PowerPlayとは違う周波数に設定されているため、皆さんのスマートフォンやAppleデバイスを充電することはできません。また、電磁誘導方式で充電するワイヤレス・デバイスを充電することもできないんです。

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重さを追加するモジュールをPowerPlayモジュールと取り替えることもできます。
Photo: Alex Cranz/Gizmodo US

グダグダとパッドの大きさについて不満を並べて、くだらない批判をしているなと思う人もいるかもしれません。しかしワイヤレスで充電ができるマウスというのはそもそも「便利さ」を追求しているはずです。それなのに、パッドがこれほど大きいのでは辻褄が合いません。このプロダクトを気にいる人は誰だろうと考えたときに思いつくのは、シューティング・ゲーマーかつデスク上にスペースがたくさんある人です。しかしこういった人はそもそもワイヤレスの性能について懐疑的であったりするため、非常に悩ましいところ。

つまり、このプロダクトはゲーム向けのマウスであるにもかかわらず、ハードコアなゲーマーたちは使いたがらなさそうな出来になっています。ワイヤレスのマウスには動作の遅れがつきものだと考える人が多いからですね。

カジュアルなゲーマーたちにとっても、その大きさと値段の高さから魅力的とは言えないでしょう。同様にワイヤレスのマウスとパッドのコンビネーションを今年発売すると約束しているRazer(レーザー)も、マウスパッドが同じくらい大きくなるようですから、そちらも期待薄です。デスクスペースが余っており、贅沢なマウス体験をしたい人は200ドルから250ドルでも購入したいと考えるかもしれませんね。

その他大勢である我々は、これよりもよい商品が出てくるのを待つほうがよさそうです。

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Photo: Alex Cranz/Gizmodo US

まとめ

・それほど動作にズレのない、完全にワイヤレスなゲーマー向けマウス(ハードコアなゲーマー向けではない)。

・脅威のまな板サイズ

・スマホを充電することができません。

・パッドだけで100ドル(約1万円)します。

・マウスは100ドル(日本価格1万1880円)もしくは150ドル(日本価格2万1130円)します。


Image: Alex Cranz / Gizmodo US
Source: Logicool

Alex Cranz - Gizmodo US[原文
(塚本 紺)

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