SF小説『ユナイテッド・ステイツ・オブ・ジャパン』の続編『メカ・サムライ・エンパイア』が日本先行発売!

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  • author 岡本玄介
SF小説『ユナイテッド・ステイツ・オブ・ジャパン』の続編『メカ・サムライ・エンパイア』が日本先行発売!
Image: John Liberto

「心の続編」の続編がリリースされます。

2016年10月に早川書房の新☆ハヤカワ・SF・シリーズから刊行された、ピーター・トライアス作『ユナイテッド・ステイツ・オブ・ジャパン』。その続編となる『メカ・サムライ・エンパイア』の日本先行発売が決まりました。

前作はSF小説の巨匠フィリップ・K・ディックが書いた、『高い城の男』に影響された「心の続編」。でありながらも、日本では2017年度の「本屋大賞」で翻訳小説部門の第2位と、「第48回星雲賞星雲賞」では海外長編部門(小説)を受賞。星雲賞では、トライアス氏が自ら来日してドンブラコンLL(第56回日本SF大会)授賞式に参加。海外の作家による登壇は初めてのことらしく、会場は大いに盛り上がりました。

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来日時には小説の舞台になった日本を目の辺りにし、映画『ロスト・イン・トランスレーション』の舞台となった歌舞伎町周辺や巨大ゴジラ像に感銘を受け、さらには小島秀夫監督のコジプロを訪れて親交を深めたトライアス氏。

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『ユナイテッド・ステイツ・オブ・ジャパン』は当然ながら英語で書かれ、アメリカとイギリスで発売。そして日本語スペイン語、さらにはチェコ語中国語にも翻訳されました。チェコ共和国では最近やっと出版されたばかりで、中国ではまだ数カ月先になるとのことです。ですが、すでにスペイン、コロンビア、メキシコ、アルゼンチンでは発売されており、上記の国々でベスト・ブックスとして紹介されまくったのでした。

まずはおさらいとして、『ユナイテッド・ステイツ・オブ・ジャパン』のあらすじをどうぞ。

第二次世界大戦で日本とドイツが勝利し、アメリカ西海岸が日本の統治下におかれて、40年。巨大ロボット兵器「メカ」が闊歩するこの「日本合衆国」で、検閲局に勤める帝国陸軍の石村大尉は、特別高等警察の槻野(つきの)課員の訪問を受ける。槻野は石村のかつての上官、六浦賀将軍の消息を追っているという。高名な軍事ゲーム開発者の六浦賀(むつらが)は、先の大戦でアメリカが勝利をおさめた改変歴史世界を舞台とするゲーム「USA」をひそかに開発し、アメリカ人抵抗組織に協力しているらしい。石村は槻野とともに六浦賀将軍を捜索することになるが――


Source: (C) Hayakawa Publishing Corporation All rights reserved. via Hayakawa Online

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Image: John Liberto

前作のおさらいをしたところで、続編となる『メカ・サムライ・エンパイア』のあらすじをご覧ください。

『メカ・サムライ・エンパイア』あらすじ

もし日本合衆国がドイツ・アメリカのナチスと戦ったら?

カリフォルニア州で育ったマコト・フジモト。だがカリフォルニアは日本合衆国の領土である。第二次世界大戦でドイツと日本が勝利したのち、アメリカ合衆国は統制を失った。この世界で成長するマック(マコトの愛称)は政治的なゲームをプレイし、帝国の試験を手当たり次第に学んでいく。彼の夢はメカ(巨大ロボット)のパイロットなのだ。ただひとつ問題は、彼の成績はヒドいものだった。彼の望みは軍学校の試験に合格し、バークレー・ミリタリー・アカデミーで名のある操縦士訓練を受けることだった。

彼の友人ヒデキの受験計画は大失敗だった。マックもまた軍学校の試験で不合格に。もしかしたら、彼は民間の操縦士になることで夢が叶うかもしれない。だが日本帝国とドイツ間の緊張は高まり、協力者と裏切り者の噂が多く飛び交う中、マックは少しでも長く生き残ることを優先しなければいけなくなったのだった……。

なるほど、世界観は前作から受け継がれた話になっていますが、新キャラクターが主役なのですね。前作のキャラやメカと絡みもあるのか? その辺りも気になります。%!(EXTRA string= )

トライアス氏からのコメント

いろんな意味で、私にとって『ユナイテッド・ステイツ・オブ・ジャパン』は1984年の『高い城の男』に近いディスピア歴史改変ユニヴァースを紹介する第一打となりました。ですが個人的にはオリジナルよりもっと話を広げたかったのです。この世界をもっと詳しく掘り下げたかったのですが、物語に謎を残したまま急転直下したことでわかるように、それは叶わなかったのです。


続編『メカ・サムライ・エンパイア』で、またこの世界を訪れられ、文化や日々の生活、それにもっと重要なメカについて触れられることを光栄に思っています。本作の草稿は前作の2倍の量がありました。しかし編集で削っていくあいだ、風呂敷がもっと広くなってしまったのです。前作はディストピア社会でのミステリーでしたが、今作はメカが主軸です。世界は日本合衆国とナチスを中心に回るのです。


主人公は前作とはまったく違う5人の候補生。物語もあまりに違うので、前作を読むことなく単独で楽しめるくらいです。作中では私の好きなゲームや映画、書籍などのトリビュートが満載なこともあり、個人的により強い繋がりを感じています。マックが夢を追う姿は、よくある「選ばれた者」として普通の人が突然ヒーローになるアレに対抗しています。彼と仲間の候補生たちは、操縦士となる夢のため逆境に立ち向かい苦戦します。

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Image: John Liberto

私は現実味にもこだわり、戦車戦やジェット・エンジン工学、それに珍妙な武器、40年代のメカの歴史などの研究に、信じられないほど膨大な時間を割いてきました。それらの科学技術なども整理し、物語に反映させたのです。メカの整備士は戦車のそれと同じく5~10人を用意。操縦士のほかに航海士、技師、軍需品主任などが協力します。彼らはかつて人類が対面したことがないほどの脅威にさらされているのです。それがナチスがメカへの答えとして作った、生体兵器バイオメカなのです。


メカのシーンで自分の実体験を描くのはとても楽しいものでした。カリフォルニア大学バークレー校から就職したゲーム業界の2社で学んだメカの操縦や説明、複雑なアニメーションや物理演算にコーディングなどなど、知識や歴史や候補生たちが行なう儀式なども、仕事で得た経験が反映されています。しかしマックが候補生となる道のりはとても長いのです。もちろんキャラクターの旅路が長いほど、人々はより親近感を深めていきます。なので、本作には私の好きな前作の少年パイロット、久地楽(くじら)が帰ってきます。後半は彼が多く登場するのですが、相変わらず反抗的な荒くれ者です。彼の存在が、続編でメカを描く核となったのです。


本作を書くにあたり、ハヤカワ文庫の東方 綾さんと、翻訳者の中原尚哉さんと膝を詰めて仕事をするのは非常に特別な経験になりました。特に編集段階で結末が大幅に変更され、そのためのやり取りがとにかく多かったのですが、中原さんの本当に素晴らしい助言に大変満足しています。

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Image: John Liberto

メカへのトリビュートは、私の好きなものをたくさん詰め込んでいます。たとえば『パトレイバー2』、『ロックマン2』、『クロノ・トリガー』、『ZONE OF THE ENDERS』、『新世紀エヴァンゲリオン』、『バイオニックコマンドー』、『マイクタイソン・パンチアウト!!』、『シドニアの騎士』、『天空のエスカフローネ』に『ファイナルファンタジー』。そして小島監督の『メタルギア』シリーズはストーリー・テリングで私にメカの存在を再考させるものでしすし、トリビュートとして第1世代のメカには「Fox」というクラス名を設けています。その他の大きなトリビュートは、ゲーム『ペルソナ』の特に日常生活の社会的な繋がりに焦点を当てたところで、『メカ・サムライ・エンパイア』のオープニングは日本合衆国での生活が書かれています。大学へ進む準備をしつつ友だちとツルむなど、そこも書いていて楽しい場面でした。


それに本作でまた表紙のアートを担当してくれた、ジョン・リベルトの新作。これらは私ですら想像していなかった世界に生命を吹き込んでくれました。彼によるカニ型メカは中盤の物語に大きな影響を与えてくれましたし、人型メカとの戦いは息を呑む描写でした。類まれなる才能を持った彼と仕事ができた私は幸運だと感じています。

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Image: John Liberto

去年は私にとって初めての訪日でした。星雲賞のためでしたが、訪れた街や光栄にも出会えた驚くべき人々、ファンや読者の皆さんとの出会いなど、とにかく目を見張る体験の連続でした。それらは私の中で貴重な財産になっています。この新作を、日本で先行して読んでもらえることに興奮を禁じ得ません。ぜひとも『メカ・サムライ・エンパイア』を楽しんでもらえたら嬉しく思います!

日本のファンに向けてビデオ・メッセージ

最後に、トライアス氏から動画で日本に向けて映像によるメッセージを作って貰いました。内容は上記のコメントを濃縮したものなので、英語がわからなくても大丈夫です。

Video: TieryasXu/YouTube

『メカ・サムライ・エンパイア』は、アメリカでの発売が9月18日。ですが日本はそれより5カ月も早い4月18日(水)に発売されます。どうぞお楽しみに!



Image: John Liberto
Source: Hayakawa Online(1, 2), 2017年 第48回星雲賞, Twitter(1, 2), Amazon, YouTube

岡本玄介

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