中国のSNSで「ディズニー」が禁止ワードに

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  • author 中川真知子
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中国のSNSで「ディズニー」が禁止ワードに
Image: Feng Li/Gettyimages

中国はどこに向かおうとしているのでしょうか…。

来月、中国は憲法を改正して国家主席の任期を撤廃する予定です。つまり、現国家主席の習近平氏による「独裁政権」の可能性がでてきたわけです。不安が高まる中、中国のインターネット検閲官が「ディズニー」や「腕まくり」といった新たな禁止ワードを中国版ツイッターのWeiboや、中国版LINEのWeChatから削除しはじめたようです。

China Digital Timesという中国国内のニュースを中心に伝える英語サイトが禁止ワードを紹介しているので、少し抜粋して紹介しましょう。

The Emperor’s Dream」:1947年公開の35分尺のアニメーション人形劇映画で、毛沢東率いる共産党に敗れ、台湾に逃げた蒋介石を描いた物語。


Disney(ディズニー):2013年に中国のネットユーザーが習近平国家主席を「くまのプーさん」にそっくりだと茶化したことが原因で、「プーさん」は反体制派扱いされています。しかし禁止が「ディズニー」という言葉にまで及ぶとは…。


roll up + sleeves(腕まくり+袖):習近平国家主席が新年の挨拶で「13億を超える人々が共通の目的に向かい、党と人々が共に袖を巻き上げて頑張る限り、今世代の「長征」を成功させることができる」とスピーチしたことからきています。


Chinese Emperor stock(中国皇帝株式):China Digital TImesによると、国家主席の任期撤廃の発表のあと、中国の株式市場は「皇帝」という言葉のつく株式を買い漁ったそうです。


oppose Qing, restore Ming(反清復明):清王朝に反対する人たちのスローガン。


personality cult(個人崇拝):権威主義的指導者がどうやって礼拝や疑いなき忠誠を抱かせるイメージを作ったかに言及。


the wheel of history(歴史の輪):宗教や文化といった、時間が繰り返されているように見える用語で、中国の自由化の制限への反体制的な文脈の中で使われます。


Dream of Returning to the Great Qing」:2006年に中国で出版されたJin Zi氏による著書タイトル。


change the law(変法):任期撤廃を覆すことに言及。


Big River, Big Sea 1949」:2009年に台湾で出版された本のタイトル。中国政府が危険視している。

これらは新たに追加された禁止ワードの数々であって、China Digital Timesに行けば、他にも理解しかねる厳しさのワードを見ることができます。

それにしても、香港と、最近上海にテーマパークをオープンさせたばかりのディズニーはこの決定に不満を持っているでしょうね。だいたい、国民の財布であり貴重なコミュニケーションツールでもあるWeChatで「ディズニー」と言えなかったら、どうやって友だちを「ディズニー行こう」と誘うのでしょう。というか、ディズニーに限らず、やりとりするのにこんなに言葉に気をつけないといけないなんて生きづらいなぁ…。

ちなみに、この記事は中国人の友だちの家で執筆していたので「なんか、すごいことになっているよ」と言ったら、「禁止用語だけじゃなく、WeChatがつながりにくくなることもあるし、ネットする気が失せる。ほんとうに意味不明」と呆れ果てた様子でした。この「ネットする気失せる」には私も完全同意です。去年、北京で党大会が開かれていた時期に上海に数日間滞在しましたが、中国サイト以外ほとんどつながらず、日本語を入力するとほぼ100パーセントの確率でエグいエロサイトにつながってブチ切れそうになりましたからね…。



Image: Gettyimages

Matt Novak - Gizmodo[原文
中川真知子