自動運転のその先へ。
あれだけ流行った自動運転技術、実は自動車業界では下火になってきているんです。え、どういうこと、と思うじゃないですか。技術開発はもう終わっていて、どこのメーカーでも出来ちゃうからウリにならないんですって。じゃあ次はどうする、だってもうドライバーいらないんだよ、ということで色々と各社趣向を凝らしているわけです。
無人カーを使ったハイヤーサービスを行なうEasyRideはDeNAと日産自動車が共同で取り組むサービス。自動運転のEVは日産が開発、スマホを中心としたユーザー体験は経験豊富なDeNAが担当し、まったく新しい移動体験をしようというものです。
EasyRideが横浜みなとみらいの公道で実証実験を期間限定でやっているというので、今回特別に乗せてもらいました。
スマホで予約
EasyRideの面白いところは、普通は行先を住所や地図から選ぶところを「何がしたい」と聞いてくるところ。目的は場所じゃなくて、体験なんですね。だから例えば「ハンバーガーが食べたい」「ラーメンが食べたい」みたいな目的を入れるとそれに合致するお店をオススメしてくれるんです。しかも音声認識だからタクシーの運ちゃんに「近くのおいしいラーメン屋、ない?」って聞くような感じですね。
その候補の中から選ぶと自動的にルート設定、時間を予約して準備完了。あとは乗車場所で待つだけです。
おお、きたきたきた。もうこの時点から完全自動運転、運転席には安全のためにスタッフが乗車していますがアクセル、ハンドルは操作していません。

ドアロックをスマホで解除したら、乗り込みます(今回は実証実験のためスタッフが開けてくれました)。
地理に不案内な観光客でも大丈夫
観光などはじめての場所に行ったとき、周りがよく分からないですよね。あれなんだろう、と思ってもわざわざ運転手に聞くほどのこともないし、通り過ぎていくだけ。

EasyRideは車内にタブレットが装着してあって、そこに地図だけではなく、近くのスポットやイベント情報が見られるんです。しかもお店の情報ではクーポンをダウンロードして実際にそのお店で使うことも可能。



タブレットの情報をみているうちにあっという間に目的地、ワールドポーターズへ到着。

あとは降りて、お店にいくだけです。
乗車体験の様子をほぼフル動画でもどうぞ。
マイカーでもハイヤーでもない、あたらしいモビリティサービス
現在は4ドアベースの自動車ですけど、完全無人運転になったら運転席も不要。そうなるときっとクルマの形が変わり、たぶん電車みたいな感じになるんじゃないでしょうか。乗客はデジタルサイネージを見たり、スマホをいじったり居眠りしたり。寝ていても安全に目的地に着いちゃいます。
気になる自動運転技術ですが、雨がひどくなると白線が認識できなかったり、乗降場所に路上駐車があるとスタッフが運転を代わったりする場面もあるということですが、今回はスムースに運転できていましたよ。多少粗削りですが、不安はまったくありませんでした。
自動運転になると単純に運転手がらくちん、というだけではなく、まったく新しい移動サービスが作れるはずという未来像を元に開発されているEasyRideですが、まだ手探り状態です。今回のサービスは土地勘がない観光客をターゲットに作られて、飲食や観光案内に注力した印象でした。
高齢化社会の日本では、アクセル踏み間違いによる事故が多発しています。地方ではどうしてもクルマが必要なので、EasyRideのような自動運転サービスが普及してもいいんじゃないですかね。「病院ダッシュボタン」を押すとEasyRideが来て病院まで送ってくれる、そういう感じのシンプルなもの。
体験していてちょっと気になったのは音声認識。これはスマホ側の問題なのですけど、ハイヤーを呼びたいときってだいたいうるさい店内や屋外で環境騒音が多いところなので、なかなかうまく認識してくれないんですよね。あと車内ではもうちょっとAIときさくに会話が楽しめるといいなあと思います。運転は代われても、まだまだタクシーの運ちゃんのトークの代替になるには時間がかかりそうですね。
Photo: 野間恒毅
Source: Easy Ride
(野間恒毅)