「ノッチ」のクールさがたったの半年で消滅した理由

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「ノッチ」のクールさがたったの半年で消滅した理由
Image: Sam Rutherford/Gizmodo US

良いと思えたのはほんの一瞬だった…。

Essential(エッセンシャル)が切り開き、Apple(アップル)が一般的にしたスマートフォンのノッチ(凸部)。目新しく、時にはクールに見えましたが、ここ最近で同じようにノッチのついたスマートフォンが雨後の筍のように登場したために、斬新さがなくなってしまったようです。米GizmodoのSam Rutherfordが、ノッチがわずか半年で魅力を失ってしまった理由に迫ります。


EssentialがPH-1で初めてノッチのついたディスプレイを発表したとき、それはそれまでのスマートフォンのデザインに対する大胆で、賛否両論を巻き起こした挑戦状でした。そしてAppleがiPhone Xにノッチを採用したことで、いくらかの人はそれでも理解できなかったものの、大多数の意見は混乱から興味、さらには憧れにまで発展しました。ところが、今年のMobile World Congress(MWC)においてほぼすべてのメーカーがノッチを取り入れたのに気づいた途端、ノッチのクールさはほぼ完全になくなってしまったのです。

ノッチを取り入れたのは、適当なコピー品のようなスマホだけではありません。Zenfone 5において、AsusはiPhone Xのノッチを真似しただけでなく、それ以外のXのデザインもコピーしました(縦配列のデュアルカメラなど)。さらに、現在世界5位のスマートフォンメーカー、OppoによるR15もあります。LGですら、G7のノッチデザインをプレス関係者に公開したと言われています。それだけでなく、ヨーロッパやアジアのみで展開されているスマートフォンも今年はノッチだらけです。HuaweiOnePlusも同じ路線を行くという噂もあるので、そうなると邪魔のない長方形ディスプレイなのはPixelGalaxy、それにもしかしたらMotorolaだけということになります(編集者注:日本ならXperiaとかあるけどね…)。

世界中がノッチフィーバーしていますね。素晴らしい。これに対して、私たちは二通りの反応を見せることができます。まずは怒る。それもいいでしょう。しかし、なぜこのシフトが起きたかを考えてみてはどうでしょう? 最近のスマートフォンのトレンドとして、「フルビュー」とか「エクストラワイド」とか名乗ったディスプレイでベゼルをなくそうとする動きがありますが、それによってノッチは避けようのない次の進化になったのです。

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Image: Sam Rutherford/Gizmodo US
上のツイートに含まれていなかった、WikioのView 2 Pro。

フロントカメラを取ってしまったら、セルフィー狂がソーシャルメディアでデジタル口角泡を飛ばして反発するでしょう。でも、カメラの両サイドのスペースを削ることはできる、というのがそもそもノッチが誕生した経緯です。Zenfone 5のそれは決して新しいものではありませんが、スクリーンがボディに占める比率を90%にまでもってきたことはAsusを評価すべきでしょう。iPhone Xですら82.9%、Galaxy S9は83.6%です。

そこに気付くと、「なんでAndroidメーカーはiPhone Xのノッチをコピーしたんだ」なんてAndroidファンとして絶望するのがバカらしいとわかるはずです。そもそも最初にノッチを生み出したのはAppleではないんですから。それに、ノッチを採用することと、携帯メーカーがAppleをコピーすることを一緒にするのは無理があります。

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Image: Sam Rutherford/Gizmodo US
Ulefone T2 Pro。そろそろノッチに飽きてきました?

iPhone Xは、ただスクリーンが変な形なだけのスマートフォンではないのです。そのノッチにはかなり優秀な顔認識テクノロジーが隠されており、ただのコピーというなら、Androidでもそれをコピーしなければなりません。それに製品の品質も、少数のAndroid携帯メーカーを除いて殆どが太刀打ちできませんし、自社製のプロセッサはスピードの観点から言えば未だにQualcommのチップを凌駕しています。確かにZenfone 5はiPhone Xのクローンですが、それはAppleのデザインを丸ごとコピーしたからです。他のメーカーは単に、より大きくて没入感のあるディスプレイを目指した結果、ノッチを採用しただけなのです。

クールさについて話を戻しましょう。考えてみれば、ノッチはあくまで実用性から生まれた妥協であり、実用性とスタイルが相反することは誰もが知っています。Utilikiltという服をご存じですか?(ちょっとした笑いを求めるならリンクをクリックしてください)。腰から下がオープンだから脚を動かしやすいし、コットンとポリエステルの生地に金属のはと目金は非常に長持ちしそうですが、クールかと言われば「ノー」です。

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Image: Utilikilts
「Utilikilt」これぞ至高のエレガンス

あるいは、郊外に住んでいる人お気に入りのミニバンはどうでしょう。大騒ぎする子供達をサッカーの試合に連れていったり、やんちゃなワンちゃん達を獣医につれていくには最適ですが、中年の方が、あえて2シーターのスポーツカーを選ぶのには理由があるのです。

スマートフォンメーカーが本当にクールさを狙っていたなら、もっと努力したはずです。Vivoなら良いヒントをくれたかもしれません。とにかく、カメラをうまく隠す方法が見つかるまで、これからはノッチがスタンダードになっていくでしょう。そして、ノッチがスタンダードになることこそが問題の核心なのです。つまりEssentialとAppleがノッチをクールにしてから、他のメーカーも即座に真似してクールさを台無しにしてしまいました。これは言わば、自分と全く同じ服を着た人とバッタリ会ってしまうようなものです。なんとも言えない苦々しさに包まれますよね。


Image: Sam Rutherford/Gizmodo US
Source: Droid Life, Utilikilts, Weibo, Ynetnews, Engadget, Mashable

Sam Rutherford - Gizmodo US[原文
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