Galaxy S9レビュー:あらゆる意味で最強(細部を除く)

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  • author 福田ミホ
Galaxy S9レビュー:あらゆる意味で最強(細部を除く)

AR絵文字のセンスだけは好き嫌いが分かれます。

今年2月、恒例のMobile World Congressで、サムスンのフラッグシップスマートフォン・Galaxy S9と大きいサイズのGalaxy S9+が発表されました。米GizmodoのAndroidユーザー・Sam Rutherford記者がさっそく10日ばかり使ってみてのレビューをしています。以下どうぞ!

※このレビューはS9+だけを使って行われています。


正直、サムスンのGalaxy S9(以下S9)の外見はGalaxy S8(以下S8)そっくりです。それでもiPhone Xの登場によって「ノッチがない」デザインはそれ自体が意味を持ち、よりバランスが取れているように感じられます。

MWCではiPhone Xのコピーが続出しましたが、S9はそんな物欲しげな様子じゃありません。そしてS9に内蔵されたハードウェアは、今あるAndroidスマートフォンではベストなものばかりです。僕としては、好きにならざるをえません。

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価格:S9は720ドル(約7万6000円)、S9+は840ドル(約8万9000円)

これは何?:サムスン最新のフラッグシップスマートフォン

好きなところ:大きく改善したパフォーマンス、バッテリーライフ、暗い環境での写真のクオリティ

好きじゃないところ:AR絵文字は言うほどじゃないです


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S9の方がS8よりほんのちょっとベゼルが細くなってます。

ハードウェアは上々

まず簡単なところから。S9のスクリーンは、今ある中で単純にベストです。ピーク輝度はGalaxy Note 8の540ニットと比べて10%以上高い605ニットに達し、色も鮮やか、画質もくっきりしてます。もう他のスマートフォンを見たくなくなるほどです。唯一これに近いディスプレイはiPhone Xだけですが、それだってそもそもサムスン製です。

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S9+(左)とS8+(右)。

次にステレオスピーカー、これはGalaxyシリーズでは初めて搭載されました。他のスマートフォン同様、オーディオは本体下部のスピーカーと上部の耳当て部分とに分割されます。後者がツイーターのように機能することで、高音をよりリッチにするとともに中音のバランスを取り、下部のスピーカーは(スマホなりの)低音を押し出すことに注力させられています。ヘッドホンやスタンドアロンのスピーカーにはもちろんかないませんが、かなり良い音にはなっています。

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ヘッドホンジャックを残したサムスンの英断。
Image:Sam Rutherford (Gizmodo)

内部のハードウェアに関しては、Qualcommの新Snapdragon845を初めて搭載し、ハイエンドなAndroidスマートフォンの新たな標準を打ち立てています。アプリの立ち上げからホームスクリーン上でのページ切り替えまで、すべてがより素早く感じられます。

僕はこれ、サムスンがUIのアニメーションに小細工して速く感じさせているんじゃないかと思ったくらいです。でもベンチマークツールで判定した結果、そんな小技を使う必要がないくらい本当に速いってことがわかりました。

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計算・グラフィックス両方のテストで、S9は去年の端末たちの最高値を25%ほど上回りました。Geekbench 4でのS9+のスコアは8,414で、これはHuawai Mate 10 Proの6,766やOnePlus 5Tの6,752というスコアを優に上回っています。3DMarkのグラフィックス用テスト・Sling Shot Unlimitedでも、S9+のスコアは6,497で、OnePlus 5Tの5,143をやはり超えてきました。僕らのように仕事も生活もスマホ上でやることが多い人間にとっては、重いアプリの間を切り替えるときの素早さはただただうれしいばかりです。

S9+で搭載された新しいチップは、バッテリーライフにも良い意味で効いているようです。3500mAhというバッテリー容量はS8+と変わらないのですが、S9+の連続使用テストではそれより1時間半以上長い12時間27分持ちました。去年僕がレビューしたスマートフォンと比べると、ひとつを除く全端末より長くなっています。唯一、S9+より長持ちしたのは、バッテリー容量が取り柄で16時間13分持ったAsus Zenfone 4 Maxだけです。

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Image:Sam Rutherford (Gizmodo)

S9には、実際バッテリーライフ以外にもさまざまな特長があります。たとえばIntelligent Scanは、iPhone XのFace IDに対するサムスンからの答えと言えるでしょう。それは決して斬新じゃないかもしれませんがクレバーで、S8では別々だった顔認証や虹彩認証をS9では連携させたんです。つまり顔認証が何らかの理由で機能しない場合、S9では自動的に虹彩認証を走らせてくれます。僕は1週間と半分ほどS9+を使いましたが、これまで問題があったことはありません。

ただIntelligent Scanの動作は、iPhone XにおけるFace IDの挙動ほどスムースじゃないです。またIntelligent Scanの方がお面とか高画質の写真とかにだまされやすいらしく、Samsung Payとかセキュリティフォルダとかには使えないようになっていることからしても、サムスン自身あまり信頼してないことがわかります。僕的にはオマケ機能だとは思ってますが、見せびらかすほどでもない感じです。

カメラはもっとすごい

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レンズの絞りがF値2.4になった状態。
Image:Sam Rutherford (Gizmodo)

次にS9の背面カメラを見ていきましょう。2018年、サムスンはカメラレンズの絞りを調整可能にすることで他社と差別化しようとしています。これは技術的になかなかクールで、暗くて光が最後の一滴まで必要なときはF値1.5、明るいときはカメラのセンサに当たる光の量をコントロールすべくF値2.4と、状況によって切り替えられるというものです。ただし、つねにカメラのマニュアル設定をいじっているような人じゃない限り、F値1.5と2.4の違いを見分けるのは難しいです。

条件がそろっていて被写体が遠すぎなければ、その違いは被写界深度の違い、つまりフォーカスが合うものの距離の違いとして意識できることがあります。でもオートに設定しているとS9が勝手に良く映る方のモードを選んでくれて、その選択がほぼつねに正しいので、たいていの人は絞りの設定が変わったこと自体気づかないと思われます。

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画像をクリックするとフル解像度の画像が見られます。
Image:Sam Rutherford (Gizmodo)

だからって、S9のカメラのすごさに気づかないというわけじゃなく、それはたしかに進化しています。まず光が十分な場面では、去年11月のベンチマークでスマホカメラのトップに立ったPixel 2と互角の勝負でした。それは、Google独自のHDR処理を使った写真と比べても同様です。それぞれの端末でロウワーマンハッタンの風景を撮ったとき(上の画像)、最大の違いは風景の動きだけで、写真自体はほぼ同じでした。

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画像をクリックするとフル解像度の画像が見られます。
Image:Sam Rutherford (Gizmodo)

なので僕は時間を変えて、まったく同じ場所で夜景を撮ってみたところ、S9+が抜きん出てきました。上の画像はどちらもHDRも含めてオートの設定にしていますが、S9の方が明らかにきれいです。デジタル画像処理技術がどんなに進んでもそこには限界があって、やっぱりレンズそのものの力に代わるものはないんだなと実感します。

Pixel 2 XLのF値1.8のレンズでは、F値1.5のS9+ほど光を捉えられなくて、それが画像の違いとなっていると思われます。右のPixel 2 XLの方が明らかに粗く、ぼやけた写真になっています。僕自身この違いには本当にびっくりしたので、両方の画像を家のデスクトップのモニタで確認してから、さらにもう一度撮り比べをしてみました。

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こちらもはっきり勝負がついてます。
Image:Sam Rutherford (Gizmodo)

こちらの暗い屋内の写真では、S9+のすごさがさらに際立っています。左と右で雲泥の差があります。サムスンの新しいカメラは、暗い環境で力を発揮するのがよくわかります。

その後、僕はもっと普通の写真を撮ってみたんですが、こちらはPixel 2 XLの方が彩度という意味でS9よりやや優れていると思います。ただその違いは、上の暗い環境の写真での違いに比べたら全然小さいです。実際最近のベンチマークでは、S9のカメラがトップになっています。というわけでこれから、写真を撮るのにひとつスマートフォンを選ぶとしたら、僕はS9を選ぼうと思います。

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理想的な環境ではPixel 2の方が彩度がやや高く、シャープネスもより良い場合がありました。
Image:Sam Rutherford (Gizmodo)

さらにS9の大きいバージョンであるS9+では、ふたつめの1200万画素カメラが搭載されていて、これによって2倍ズームが可能です。これはGalaxy Note 8で導入されたものと同じです。これはマストな機能じゃありませんが、ちょっとだけズームできるってことで、外出するとき本格的なカメラを持っていかなくても、まあいいか…と多少思えます。

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Image:Sam Rutherford (Gizmodo)

あとS9には、960fpsのスローモーション動画撮影機能があります。おかげで僕には一時、何でもスローモーション動画にするブームがやってきました。

うまくいくとすごく楽しいですが、何ができないかということは知っておいた方がいいです。というのは、960fpsということはシャッター速度は960分の1秒で、つまり十分明るいものしかちゃんと映らないということです。

Bixbyは良くなったけど、AR絵文字は大したことない

サムスンのデジタルアシスタント、本体左の専用ボタンで呼び出すBixbyも、カメラを使った新機能を取り入れています。S9ではBixbyを使って化粧品を試したり、食べ物のカロリーを推定したりできるようになりました。驚いたのは、どちらの機能もやりたいことがわかる程度にはきちんと機能してるってことですが、それほどサイエンス!って感じもしませんでした。

AR絵文字のGIF
AR絵文字でこんな気持ちになりました。
Image:Sam Rutherford (Gizmodo)

とはいえ僕的には、Bixbyの翻訳機能はすごく良いと思いました。カメラを外国語のある風景とか文書とかにかざすと、その上に翻訳した言葉をオーバーレイしてくれて、それもそんなに時間がかからないんです。完ぺきとは言えませんが、バルセロナの空港にスタックしたとき、スペイン語がわからなくても自分のランチに何が入ってるのか理解する助けになりました。

スピード、バッテリーライフ、カメラのパフォーマンス…とてんこ盛りのS9ですが、良いことばかりじゃありません。サムスンが後追いになった機能、AR絵文字のこともお伝えしておくべきでしょう。S9ではフロントカメラで撮った自分の顔画像を元にアバターを作り、服を着せ替えたり髪型を変えたり、自分の動きを元にGIFを作って共有したりできます。でもこれは正直、単なるギミックです。マンガっぽさが任天堂のMiiみたいな感じですが、服装の選択肢がすごく限られてて、しかもひどい服しかありません

AR絵文字とAppleのアニ文字どっちがいいのか知りたいって人がいるかもしれませんが、僕にはわからないし、どうでもいいと思っています。とにかく違うってことは確かですが、ARのギミックだけでスマホを選ぶ人はあんまりいないと思います。

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Tシャツに謎の「Boundless」ってロゴが入ってたり、ズボンの丈がみんな妙に短かったり…。
Image:Sam Rutherford (Gizmodo)

素晴らしい端末。ただし…

AR絵文字はさておき、S9/S9+は素晴らしい端末です。が、アップグレードする価値があるかというと、それは人によって違います。これまで同じ端末を2年以上使っていた人なら、たしかにオススメします。でもS8を持っている人には、それほどはっきりしたことは言えません。

僕自身について言うと、去年はS8とPixel 2 XLを代わる代わる使ってきました。S9でアップデートされた部分はすごく良いと思いますが、これから1年のために720ドル(約7万6000円)も払うことを正当化するのは難しいです(1年でアップグレードすることに関しては、誰でも同じことが言えると思いますが)。だから1年前の電話を持っている人がS9を買うとしたら、本当に欲しい!という人だけだと思います。

そしてS9が本当に欲しいという人に対しては、S9は持つべきものをほぼすべて持っています。GoogleがAndroidに詰め込んだクールな機能はほとんど使えるし、デュアルカメラや賢くて、前より役に立つBixby、そして超速の新世代チップといったフラッグシップならではの良さが満載です。

僕は今までいろいろな点でPixel 2 XLがお気に入りだったんですが、S9+をしばらく使ってみて、Pixel 2 XLに戻る理由を見つけるのが難しくなってきました。たしかにIntelliigent ScanはFaceIDほど安全じゃないし、AR絵文字もなんだかイマイチです。でもS9+のバッテリーライフや暗い環境での写真画質の高さ、最高のディスプレイといったもので、欠点は簡単に補って余りあります

サムスンは明らかに、Appleからリードを取り戻したようです。

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Image:Sam Rutherford (Gizmodo)

まとめ

・S9は基本的に去年のS8と見た目同じですが、背面の指紋リーダーは中央に移動しました。

・S9のパフォーマンスは全体的に前年比25%向上していますが、バッテリーライフはさらに増強されてます。

・暗い環境では、S9のF値1.5のカメラ性能はこれまでトップにいたPixel 2すら超えました。

・Bixbyの新機能はちょっとギミック風ですが、すごく便利なこともあります。

・S9とS9+のサイズ以外の最大の違いは、後者のほうがRAMが2GB大きいことと、背面カメラがデュアルで2倍ズームが可能なことです。

・AR絵文字はビジュアル的にかなり好き嫌いが分かれます。

スペックまとめ

・OS:Android 8

• プロセッサ:Qualcomm Snapdragon 845

• RAM:S9は4GB、S9+は6GB

・ディスプレイ:6.2インチ、解像度 2960 x 1440、AMOLEDディスプレイ

・前面カメラ:800万画素

・背面カメラ:1200万画素、F値1.5または2.4

・セカンダリ背面カメラ:1200万画素、2倍ズーム

・960fps・720pでのスローモーション撮影が可能

・ステレオスピーカー

・microSDカードスロット

・防水性能IP68

・サイズ:S9 147.7 x 68.7 x 8.5 mm 、S9+ 158.1 x 73.8 x 8.5 mm

・重量:S9 163g、S9+ 189g

・色:ブラック、ライラックパープル、コーラルブルー、チタニウムグレー


Sam Rutherford - Gizmodo US[原文
(福田ミホ)

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