核ミサイルで地球に迫りくる隕石を爆撃する実験、小規模ながらロシアで(ほんとうに)行なわれています
Illustration: Hubble/ESA (Flickr)

核ミサイルで地球に迫りくる隕石を爆撃する実験、小規模ながらロシアで(ほんとうに)行なわれています

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核ミサイルで地球を隕石から守ると。

地球に迫りくる隕石を核ミサイルで破壊する...そんなストーリーは映画やマンガだけだと思っていませんか? ところが、それを大真面目に実験している国があります。ロシアです。ロシアでは小型隕石を模した物を研究所で爆発させ、隕石を破壊するにはどれだけの火力が必要なのかを導き出しています。

科学誌「Journal of Experimental and Theoretical Physics」に発表された論文の翻訳によると、「スケール因子と実験結果を考慮すれば、直径200メートルのコンドライト小惑星を完全に破壊するためには3メガトン(広島に落とされた原爆の200倍)以上のエネルギーを有する核爆発があれば可能だということがわかりました」と述べられています。フットボール球場の2倍ほどの大きさの小惑星が近づいてきたら、3メガトンのエネルギーを持つ核爆発で粉砕…… もはやスケールが大きすぎて想像するのも難しいですね。

彼らはもちろん、実寸の小惑星を無重力空間で核ミサイルで爆撃したわけではありません。モスクワ物理工科大、ロシア連邦核センター、そしてROSATOMの研究員たちによって行なわれたこの実験では、代わりに隕石の破片の組成に基づいた4ミリメートルの隕石モデルを200ジュールのレーザーパルスによって熱したとのこと。ちなみに、200ジュールは4ミリメートルの物質にとってはものすごく高いエネルギーです。

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プレスリリースに添付されていた楽しげなイラスト: Elena Khavina (モスクワ物理工科大)

さすがロシア、発想が大きいな...と思ってしまいそうですが、地球に接近する隕石を核ミサイル攻撃する、というアイデアは実はロシアに限ったものではないようです。Universe Todayの報道によると、NASAもまたHAMMERと呼ばれる「緊急対応用超高速小惑星緩和ミッション」において同じような構想を練っています。Universe TodayのEvan Gough記者が述べているように、これはもちろんまだ一つのアイデアに過ぎません。

とはいえ、完全に空想的なアイデアというわけでもなく、実際にNASAは何らかの災害を引き起こす恐れのある天体のトラッキングを行っております。たとえば、隕石が接近していても、それが100年ほど前から予測ができていれば、核ミサイルよりもシンプルな方法で隕石の軌道を変更させて、地球に衝突しないようにできるかもしれないからです。しかし、NASAは半径140メートル以下の隕石に関しては全てをトラッキングできていません。

なので、トラッキングされていなかった直径140メートルほどの隕石が突然明らかとなり、地球に衝突する可能性もあるわけです。それどころか20メートルほどのチェリャビンスク隕石程度の大きさでも、大都市に衝突すれば大災害となる可能性があります。

ノースキャロライナ州大学のKaren Daniels教授は「ロケットで迎撃するとしても、どれほど直前でも間に合うのか、そして大気圏で完全に燃焼させるには隕石の破片はどれほど小さくならなければいけないのか、といった実用的な側面からの問題解決方法を研究者たちは考えています」と米Gizmodoに説明してくれました。

「今回発表された研究は今後、どのような状況であれば隕石を核ミサイルで爆発させることで危機を免れることができるのか、について知るための調査に多大なる貢献をしてくれるでしょう。また、このミッションは何が原因で失敗する可能性があるかについて知るきっかけにもなります」。

もちろん、隕石の爆撃を成功させるためには今後さらなる研究が必要です。というのも、隕石はその組成が非常に多様なんです。欧州宇宙機関が説明するように、ひとつの大きな岩の塊であったり、様々な種類の小さな塊が重力によってくっついている場合もあります。

研究者たちは今後、他の種類の隕石モデルでも実験したいとのことです。宇宙空間に向かって核ミサイルが発射されるのはまだまだ先のことになりそうですが、その小さな一歩として、研究所の中で小さな隕石に強力なレーザーを当てる実験は今後も繰り返されそうです。


Illustration: Hubble/ESA (Flickr), Elena Khavina (MPIT)
Source: Journal of Experimental and Theoretical Physics

Ryan F. Mandelbaum - Gizmodo US[原文
(塚本 紺)

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