Googleが参加する軍事プロジェクト「Project Maven」、社員たちが反対の請願キャンペーンを展開

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  • author 塚本 紺
Googleが参加する軍事プロジェクト「Project Maven」、社員たちが反対の請願キャンペーンを展開
Image: Benny Marty/Shutterstock

「戦闘目的じゃない、なんて言い訳は通じないよ!」

アメリカ国防総省とのパートナーシップを結んだGoogleに対して、何千人もの社員からこのパートナーシップを終了するよう請願キャンペーンが行なわれているようです。

先月、米Gizmodoの報道によってGoogleの関与が明らかになったプロジェクト・メイヴン(Project Maven)。これはドローン映像を分析するのに人工知能を活用するというペンタゴン(米国防総省)のプロジェクトとなっています。Google、取締役員、そして元執行役であるEric Schmidtたちは、Googleの関与は非戦闘目的の利用のみに限られていると強調しています。ちなみにEric Schmidtは国防総省が設置する「国防イノベーション委員会」にも参加しています。

とはいえ、非戦闘のみに限られているからと言って軍事プロジェクトであることには変わりません。多くの社員たちはこの点に対して懸念を表明しており、ニューヨーク・タイムズによると、CEOであるSundar Pichaiに対する請願書には3100人ほどが署名をしたようです。

請願キャンペーンは社内のコミュニケーション・システムにおいて数週間に渡り回覧されてきています。どうもその内容は戦闘目的の開発を避けながら軍事プロジェクトに関わる、というGoogleの姿勢を非難するのではないようで、むしろ非戦闘目的のものであっても、何らかの技術を軍に提供した場合、のちに軍によって改変されて別の目的のために使われてしまう可能性が問題だ、という指摘をしています。

また、軍事技術との関連がGoogleの評判にも悪影響を与えるという懸念も表明されているようです。人工知能は特に、今後の社会に与える影響に関して著名人を巻き込んで大きな議論を呼んでいるため、こういった関与が注目を集めることは確実です。

3100人の署名者たちの中には「何十人ものシニア・エンジニア」たちも含まれているとタイムズ紙は報じています。Alphabet(アルファベット:Googleの持ち株会社)全体では7万人以上のスタッフを抱えており、この署名者の数は大多数の意見とは言えないレベルではあります。請願書全文は下のようになっています(日本語訳は本稿訳者、太字部分は原文から)。

Sundar氏へ、


私たちはGoogleが戦争ビジネスに参加するべきではないと考えます。そのためプロジェクト・メイヴンが廃止されること、そしてGoogleやその契約相手が戦争目的の技術を一切開発しないことを明確に述べたポリシーを起草し、公に発表し、実行に移すことを請願します。

Googleはプロジェクト・メイヴンを実行しようとしています。それは米国政府ドローンによって捉えられた「広範囲動画」データと、カスタマイズされたAI監視エンジンを組み合わせることで、乗り物やその他の物体を検知し、その動きをトラッキングし、結果を国防総省へと提供するものです。

最近になり、Google社員たちはメイヴンに対する懸念を社内で表明しました。それに対してDiane Greene(Google取締役のひとり)は、この技術は「ドローンを操作することには使われない」、そして「兵器をローンチするのにも使われない」と宣言しています。これにより、直接(戦闘目的に)利用される、という狭い範囲での可能性は排除されました。しかし、技術自体は軍のために開発されていおり、この技術が軍に提供されさえすれば、上記のような任務の支援に利用するのも容易です。

このプロジェクトはGoogleのブランドと人材を確保するための競争力に、取り返しのつかない傷をつけるでしょう。兵器化された、偏見を持つAIに対する不安は大きくなっている中、Googleは既に一般社会からの信頼を得るのに苦労しています。この契約を結んでしまうと、Palantir、Raytheon、そしてGeneral Dynamicsといった(軍事技術開発に関わる)企業たちの同類として名を連ねることになってしまいます。

また、MicrosoftやAmazonといった他の企業も参加しているという事実は、Googleにとってのリスクを減らしてはいません。Google独特の歴史、Googleが抱える「悪にはなるな」というモットー、そして何十億人のユーザーたちの生活に直接関与しているという事実において、その他の企業たちと異なっています。

我々のテクノロジーに付随する倫理的な責任を第三者へと委託してしまうことはできません。Googleが公表している価値観はこれを明確に述べています。「すべてのユーザーが我々に信頼を置いている。それを台無しにしてはならない。決して」というものです。この(国防総省との)契約は、我々の価値観の中核と正反対に位置するものであり、これによってGoogleの評判はリスクに晒されます。米国政府による軍事監視を支援するテクノロジーの開発は、人命を奪う可能性もあり、受け入れられません。

Googleの倫理的な責任、そしてGoogleの名声が脅威に晒されていることを認識し、我々は次のことを要請します:


1. このプロジェクトを直ちに廃止すること

2. Googleとその契約相手が戦争目的の技術を一切開発しないことを明確に述べたポリシーを起草し、公に発表し、実行に移すこと


Image: Shutterstock
Source: New York Times

Bryan Menegus - Gizmodo US[原文
(塚本 紺)

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