フロリダ警察が、葬儀場に現れ遺体の指紋でスマホを解除しようとする
Image: oatawa/Shutterstock.com

フロリダ警察が、葬儀場に現れ遺体の指紋でスマホを解除しようとする

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法的にはアリでも、倫理的には…。

地元紙Tampa Bay Timesは、フロリダ州のラーゴの警官たちが葬儀場に立ち入り、亡くなった男性の手を使って彼のスマートフォンを解除しようと試みたことを報じました。なお、この男性は3月末に職務質問中に別の警官によって射殺されています。

故Linus F. Phillipさんの婚約者Victoria Armstrongさんは、警察が葬儀場に入ってきてスマホ解除のためPhillipさんの遺体を使うのに立ち会ったあと「あまりに無礼で、踏みにじられた」ように感じたと同紙に語っています。警察のやったことは違法ではないかもしれませんが、Phillipさんの家族はその行動を冒涜だと感じたはずです。

Armstrongさん(28)は、ふたりの刑事がPhillipさんのスマホを持って現れた日に、クリアウォーターのSylvan Abbey葬儀場で居合わせたと語っています。彼らはPhillipさんの遺体の元へ案内されました。それから、遺体の手をスマホの指紋センサーへと持ちあげて、スマホを解除しようとしたのです。

Randall Chaney警部補いわく、Phillipさん(30)の死に関する捜査と彼が関与した別件のドラッグ絡みの調査に役立てるためにスマホにアクセスし、端末内のデータを保管しようとしたが失敗に終わったとのこと。Chaney警部補は、死後はプライバシーの尊重がないため(法の専門家数人が認めた意見)刑事たちは令状が必要だと考えなかったといいました。しかしその行動は、Phillipさんの家族にとっては受け入れがたいものだったのです。

Chaney警部補は、同署がこのやり方でスマホを解除しようとしたのは、彼が知る限りでは初めてのことだったと補足しています。Tampa Bay Timesの記事からはPhillipさんが所有していた携帯の機種はわかりませんが、iPhoneだとしたら指紋だけで解除できる48時間の期限は、だいぶ前に失効していたことになります。

警察が令状もなしにスマホを調べるのは憲法違反であり、もし警察がスマートフォンのパスコードを要求しても、生きている犯罪容疑者は修正第5条の自己負罪拒否特権を引き合いに出せます。しかし、指紋はDNAや筆跡のサンプルなどの生体認証と同じだという法的な理解から、修正第5条の保護は指紋に基づくセキュリティの端末には適用されないと裁判所は判断しています。

Tampa Bay Timesいわく、どんな場合であっても死者にはある程度の法的権利があります。フロリダ州では、葬儀場でのケアにおいて死者に近づいてもいい人を管理する法律もあります。

サウスハンプトン法科大学院のRemigius Nwabueze准教授は、同紙に対し、以下のように語っています。

法律は亡くなった人にとって、この上なく残酷で本当に容赦なかったのです。
死者に対しては何の資格や法的権利も提供されません

また、婚約者のArmstrongさんはこのようにつけくわえました。

そもそも、刑事たちが来ると知らせようと署から電話をかけてくる人すらいなかったことにとても動揺しました。
今はどの葬儀場に対しても、とても疑い深くなっています

モバイル端末に記憶される個人情報の量が増えるにつれ、米当局はとりわけアクセスを求めることに積極的になりました。10年以上もの間、FBIと司法省は暗号化について公然と苦情をいい、テック企業にパスワードセキュリティを回避する都合のいいバックドアを設計するよう要求してきました。そのいっぽうで、連邦や州政府、そして地元警察らは前述のバックドアなしでスマホのセキュリティを破るようデザインされたデバイスをひそかに購入しています。

Phillipさんの遺族は、彼が職務質問中に車を発進させて警官をひきづってしまったので発砲したという、彼の死についての警察の説明すらもはや信じていません。

Tampa Bay Timesによれば、Pinellas-Pasco州検事事務所とラーゴ警察がこの事件を調べているとのこと。Armstrongさんは、「何が起きたのかを知りたい。彼が警官を殺そうとしたと彼らがいうのなら、私はその証拠をみたい」と、痛切な胸の内を明かしています。


Image: oatawa/Shutterstock.com
Source: Tampa Bay Times(1, 2, 3), the Atlantic

Tom McKay - Gizmodo US[原文
(たもり)

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