ついにダイヤが曲がる日が来ました。
ダイヤモンドは天然石では最大の強度を持っていると言われていて、ちょっとでも曲がるとすぐに割れてしまいます。そんな最強強度のダイヤモンドを、ある物理学者チームが曲げることに成功しました。ちなみに指輪にあるような大きなダイヤの石をグニャリではなく、ナノレベルです。小さいミクロのダイヤモンドの針を作って、それを折ることなくビョンビョンと曲げることに成功したというわけです。
ナノレベルのダイヤモンドがこれほど曲がったり伸びたりすることにびっくりしています
こう話すのは、今回の研究をしたマサチューセッツ工科大学のMing Daoさん。
研究チームは、まずダイヤモンドを削り小さな針のような形状にします。一本のダイヤの針は2マイクロメートルの長さで、シリコンの台につけられました(一応、電子顕微鏡で針がちゃんとダイヤモンドであることを証明しています)。

そして、少し大きめのダイヤの針を曲げるほうの針の横に設置。そうすれば、曲げた後同じ場所に戻ってくるのか確認できるというわけです。そして結果は、しっかり戻ってきました。何回か繰り返して、最後は針の先がパキっと折れてしまうところまでやってみたそうです。
でも、どうして硬さで有名なダイヤモンドが折れずに曲がるのでしょうか? Daoさんいわく、曲げるという動作をするとき、小さいほうがより強度が高いんだそうです。さらにナノレベルまでいくと、硬度が高いからといってもろさが増すということはないんだとか。
「ナノレベルで素材が作られる場合、同じ素材でも大きく作られたものとは性質が変わって来るのです」とコロラド大学のHeidi Culverさんは教えてくれました。たとえば、ナノレベルの大きさのダイヤモンドと、私たちが宝石として身につけるダイヤモンドは異なる特徴を持っているそうです。まったく同じ素材なのに、興味深いですね。
ということで、ダイヤモンドも曲げられるということが判明したため、たとえば細胞に直接投薬するときに使用したりなど、いろいろな使用方法の可能性が出てきました。テクノロジーの進歩はダイヤまで曲げる!
Image: Andrey_Popov/Shutterstock.com
Source: Science
Ryan F. Mandelbaum - Gizmodo US[原文]
(岩田リョウコ)