バクテリアのタイムカプセルです。
高速道路に橋にトンネルなど、高度成長期にガンガン作りまくった社会インフラが、老朽化の問題に直面しているというのは聞いたことありますでしょうか?
通常のコンクリートは、30年もすると劣化が始まります。そしてヒビ割れなどを埋めなければ、ボロボロになって剥落や倒壊する危険性がでてくるのです。海岸沿いで塩気がある地域ではなおさら…。
そこで北海道にある會澤高圧コンクリートが販売を始めたのが、オランダ・デルフト工科大学のヘンドリック・ヨンカース准教授が開発した「自己治癒コンクリート」。
これはバクテリアと、エサとなる乳酸カルシウムが入った茶色い粒を予めコンクリートに混ぜ込んでおき、劣化したコンクリートに染み込んだ雨と空気でバクテリアが目覚め、乳酸カルシウムを食べて炭酸カルシウムを排出するよう設計されたものとなっています。
その炭酸カルシウムがヒビ割れを埋めることにより、コンクリートを補修するのです。しかもヒビが埋まって中が乾燥状態になると、バクテリアは自らを殻に包んで再び休眠。そこからまた200年間ほど生き続け、コンクリートに亀裂が入ると同じことを繰り返すというからまたビックリ。
たとえば0.3mm幅の亀裂にこのバクテリアを流し込むと、およそ2ヶ月で白い炭酸カルシウムによる治癒が完了します。人間の皮膚が傷口にかさぶたを作るようなイメージで、コンクリートのヒビが塞がれるのです。
いま日本では補修剤が販売されており、1~2年の間にはバクテリア入りの生コンクリートも市場に登場する予定とのこと。人間より長寿となるコンクリートは、環境にもお財布にも優しいものになりますね。