死亡事故、静止中の車に突入…Teslaが集団訴訟でオートパイロット実現の遅れを認め一部返金

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  • author satomi
死亡事故、静止中の車に突入…Teslaが集団訴訟でオートパイロット実現の遅れを認め一部返金
Video: BC7 News - SF Bay Area/YouTube

54万円のうち数千円から数万円戻ってきますよ!

テスラの愛を広めるためModel 3で25か国を回っていた米国男性がギリシャでぶつかったり、ユタの女性が赤信号で停車中の消防車に突っ込んだり、今月も事故続きのオートパイロット。「使えなくて危ない」とオーナーから集団訴訟されていた件でTesla社は和解金で示談に応じました。

和解金はまだBeth Labson Freeman地裁判事の承認待ちですが、500万ドル(約5.5億円)以上になる見通しです(Reuters)。「危ない」というところは認めず、約束したオートパイロット機能の実現が遅れている部分は認め、2016年10月から翌年9月までの間に半自動運転(運転アシスト)機能付きのモデルSとモデルXを購入&リースしたオーナーに1人20~280ドル(2,170円~33,60円)の補償を支払うことで合意しました。

昨年4月に提訴された当初は「事実と異なる」、「誠意がない」、「センセーショナリズム」と大反論していたTeslaも次第にトーンダウンし、今は「2016年の第2世代システム導入でオートパイロット機能は大幅に改善したが、当社の期待や予想より機能の導入が遅れたのは明白だ」と認める姿勢を示しています。

補償されるのは「使いものにならない」と訴状で書かれたオートパイロット機能のパッケージに5,000ドル(約54万円)支払ったオーナーのみなさんです。もう3,000ドル上乗せして「完全自動運転」のパッケージを購入したオーナーにはまだお金は戻ってきません(実現時期が明記されていないため)。 和解の内容が承認されれば、「全世界のカスタマーに同等の補償を行う」と同社は発表していますよ。

オートパイロットはTeslaが大々的にPRしていた看板機能で、「これを導入すれば事故率が40%激減する」とPRしてきましたが、この数値についても「高速道路交通安全局(NHTSA)のエアバッグの事故の調査からの都合のいい引用」と批判されており、イーロン・マスクCEOも「単に事故率が下がるだけだ」と慎重に言葉を選ぶようになっています。消費費者団体からの圧力で連邦取引委員会も「詐欺的で不当」な宣伝がなかったか調査に動いていますからね…。

実際、オートパイロット機能は宣伝の謳い文句通りには実現できていません。何か月もアップデートがないままのこともあるし、少なくとも3人のドライバーが死亡してもいます。

1件目は中国の高速道で2016年1月23日に起こりました。清掃徐行中の作業車にモデルSが追突し、23歳の青年が死亡。会社の跡取り息子を亡くした父親が長い長い裁判を継続中です。

2件目は同年夏にフロリダの交差点で起こった元海軍SEALのJoshua Brownさん(48)の死亡事故。「人類最初の自動運転死亡事故」と言及されることも多い事例です。オートパイロットを手放しで絶賛する動画をYouTubeに投稿していたのですが、事故原因は「左折する白の大型トレーラーの側面に光が反射し、オートパイロットもドライバーも障害物と認知できずブレーキが作動しなかった」(Tesla)ことでした。

Video: Inside Edition/YouTube

3件目はGoogle本社前の高速道で今年3月23日に起こったWalter Huangさん(38)の死亡事故。EAからAppleに転職した記念に買ったモデルXで通勤中、中央分離帯に吸い寄せられるように突っ込んでブレーキが作動しないまま即死しました。消火の6日後にバッテリーが発火する新しい現象も確認され、大きなニュースになった事例。

Video: BC7 News - SF Bay Area/YouTube

後日夫人はTVのインタビュー(動画上)に答えて、「あの中央分離帯の前を通るたびに、車線と勘違いして向かっていく不具合がある」と生前よくこぼしていたので、ニュースを聞いてすぐ夫とわかったと語っています。兄弟によると、そこを通ると10回のうち7回ぐらい不具合が起こるので、ディーラーに車を持ち込んで調べてもらったんですが、そのときには不具合が再現できずそのままになっていたんだそうですよ? そんな危ない場所ならブレーキに絶対足はかけていたんじゃ…と思ってしまうのですが、怖いですね…。そのときの模様を再現しようとしたTeslaが危うく中央分離帯にぶつかりそうになっている動画もあります

オートパイロットにはほかにも停まっている車に突っ込む奇癖があります。ユタの事故では、前の車のペースに合わせて追尾していたら、急に前の車が車線変更し、前方に停車中の消防車に突っ込んでいます。中国の死亡事故も清掃中の車、フロリダの死亡事故も左折のトレーラーで、「ほぼ停止状態」という共通項があります。今年1月にはLAでも事故現場に停車中の消防車に突っ込み、「また消防車!? あんなにデカくて派手なのになぜ見えないの!?」と騒がれました。

この静止中のものを無視する致命的弱点は、マニュアルにも明記されています。

(車間距離を保つ)トラフィック・アウェア・クルーズ・コントロール(TACC)は障害物を全部は識別できず、停止中の車があっても減速やブレーキが作動しない場合があります。これは特に時速80kmを超えるスピードが出ており、追尾中の車が前方から消え、その前に停車中の車や障害物が現れると起こりやすい現象です。

まあ、いちいち急ブレーキかけていたら前に進めませんからねぇ…。こういう大事なことを免責条項に細々と書いてちゃダメじゃん…。マスクはレベル4や5に今にも到達するようなことを言い続けていますが、光の反射や分離帯や静止中の車で騙されるんじゃ、まだまだレベル2.5の車なのかもしれないですね。

Telsaはオートパイロットの改善を改めて誓い、マスクCEOも「改善は絶対必要」だと認め、「毎日改善する」とツイートしました。安全性を四半期ごとに報告することを今月の四半期決算コールで明らかにしてもいます。トップがコロコロ変わってチップ神も先月インテルに転職しちゃったし、ソフトウェア総責任者も今月Lyftに転職したりして、流動的なTeslaオートパイロット部門ですけれど、徐々に改善に向かうといいですね!



Image: YouTube
Video: YouTube (1, 2)
Source: Reuters, The Verge, Wired

AJ Dellinger - Gizmodo US[原文
(satomi)

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