どこまで行ってもデコボコの岩山だらけ。
世の中のデータを元にすると、いろんな情報を想定したり読み取ることができるわけですが、地球から遠く離れた火星でも同じことがいえます。
火星の周回軌道では、マーズ・リコネッサンス・オービター(MRO)が地表を探査しています。そして、これに積まれているHiRISEカメラが上空からとらえた画像データを元に、実際に火星を飛んだらどんな景色になるのか?というシミュレーション映像が作られました。
こちら、記事からは動画が再生できない設定になっていますが、YouTubeから見ることができます。作者はSeán Doranさん。HiRISEのデータ調査は、アリゾナ大学の月惑星研究所LPLによって行なわれています。断片的な画像はLPLのサイトで公開されていますが、彼はそれらを参考にしてこの航空映像を作りました。
米Gizmodoのインタビューに、Doranさんはこう答えてくれました。
HiRISEからのデータが持つ画質と正確性のおかげで、火星の地表へ連れて行ってくれるバーチャル・フォトグラフが可能になりました。
現地で実際に見るほど最高ではないにせよ、準ずるくらい良いものになりましたよ!
LPLで掲載されているのは、たとえば地上320mで撮られたこんな画像です。

ここは火星の南半球にある「ゴルゴナム・ケイオス」と名付けられた地区で、探査機が着陸する場所として選ばれたこともあります。上から見ると、おそらく過去に水流で削られたような筋が多く見られますね。
火星を地表からグルっと眺めると、ただの砂漠に見えなくもありません。2020年7月には、NASAが開発中のマーズ・ヘリコプターが出発する予定で、もっと細かいデータから地表の様子がさらにハッキリと浮かびあがるようになるかも。
Doranさんは、この映像制作のため3DソフトのBlenderを使って画像を3Dメッシュに起こしたそうです。そこからテキスチャーと詳細をPhotoshopで加工し、3DS Maxですべてを合体させてレンダリング。さらにPhotoshopで空も作り、After Effectsでアニメ化。作者の常識と直感といったセンスでソレっぽい雰囲気を生み出すの、きっと大変な作業だったに違いありません。
かつて見た木星の乱気流のように、宇宙が織りなすアートは人間の想像力を超えた美しさがあります。DoranさんがFlickerで公開している他のイメージも、またアートを感じられるかもしれません。宇宙好きはチェックしてみてくださいね。
Image: YouTube
Source: YouTube, HiRISE, Flicker
Ryan F. Mandelbaum - Gizmodo US[原文]
(岡本玄介)