恐竜と人間の関係性はさらに複雑に…。映画『ジュラシック・ワールド/炎の王国』コリン・トレボロウ(制作総指揮/脚本)インタビュー

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  • author 中川真知子
恐竜と人間の関係性はさらに複雑に…。映画『ジュラシック・ワールド/炎の王国』コリン・トレボロウ(制作総指揮/脚本)インタビュー
Image: (c)Universal Pictures

前作『ジュラシック・ワールド』で、ジュラシック・パークの生みの親、ハモンドが夢見た恐竜テーマパークを現実のものにしたコリン・トレボロウ。前回メガホンを握った彼は、続編『ジュラシック・ワールド/炎の王国』で製作総指揮脚本を担当しています。

ワールド』を始動させた時から3部作として全体を構成しているコリンは、本作にどんなメッセージを込めたのでしょうか。そんな彼にギズモードはインタビューしてきました。


作品に込められたオマージュ

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Image: (c)Universal Pictures, (c)Giles Keyte, (c)Universal Studios and Amblin Entertainment, Inc. and Legendary Pictures Productions, LLC.

──予告編を見ると、オリジナルのシリーズへのオマージュがたくさん感じられます。過去シリーズの懐かしい瞬間を彷彿させるイメージがたくさんありますね。あなたのジュラシック・シリーズへの愛について教えてください。また、この新作おいてのあなたのビジョンについて。今回もオマージュを捧げることにトライされたと思いますが…。

コリン・トレボロウ(以下、コリン):2作目を作ることのチャレンジの一つは、オマージュへのバランスをうまく取ることなんだ。なぜなら、僕らがこれまでのシリーズを全てまた再構築しているように感じて欲しくない。バヨナと僕は、観客にこれまでと同じような映像体験を与えることについてかなり話しあった。それは、人々があまり見なくなったとてもクラシックな映画作りだ。でも、ストーリーはとても新しい場所に進んでいく。僕らにとって、(これまでのクラシックな要素がある)映像を見て、自分たちが『ジュラシック』シリーズの中にいると感じることは、新鮮な場所に進んでいくことを手助けしてくれると思う。

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Image: (c)Universal Pictures

──それでも『ジュラシック』シリーズを作っているわけなので、おそらく自然と、このシリーズにオマージュを捧げることになるのではないでしょうか。本作でそういったことをどのぐらい目にすることになりますか? いくつかは無意識に起こるものかもしれませんが。

コリン:あなたの言う通り、多くの場合、(オマージュは)無意識に起きることだと思う。

前作における僕のアプローチとしては…あまり意識的にオマージュを捧げることはしなかった。なぜなら、それが自然に生まれることを信頼し、そして実際そうなった。バヨナも同じなのは知っている。

でも、脚本家のデレク(・コノリー)と共に映画をどう作っていくかを考えている時、僕らはファンを夢中にさせているこのシリーズの基本的な要素を失わないようにすることがとても重要なのは分かっていた。たとえ、僕らがこれまでと違う方向にストーリーを展開していくとしても、このシリーズは、人々を引き寄せるある特別な土台の上に作られている。そして、そういったことを新しくエキサイティングな視点からプレゼンできる方法もある。でも、僕はそれらをあまり壊したくはない。なぜなら、ファンたちは本当に僕らの最高の味方だ。だから僕らはこの映画を作るんだよ。

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Image: (c)Universal Pictures

──つまり、「過去のこの素晴らしいシーンを再現しよう」といったアプローチはしないわけですね?

コリン:そういうやり方はしないようにするね。僕は、(前にあったものと)あまり似過ぎたシーンがないことを期待する。なぜなら、そういったシーンは…もうすでにとても見事にスティーヴン・スピルバーグによって演出されている。僕らにとって、そこに入っていくことは、恥ずかしいものになるんだ。


恐竜と人間の関係=今の動物と人間の関係


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Image: (c)Universal Pictures, (c)Giles Keyte, (c)Universal Studios and Amblin Entertainment, Inc. and Legendary Pictures Productions, LLC.

──動物たちが今まさに直面している問題へのメタファーがあるように感じました。遺伝子工学などです。あなたはこの映画を通して、社会的なメッセージを伝えようとしていますか?

コリン:少しだけね。この映画では、動物たちと僕らがどうやってこの地球を共有していくかについて扱っている。そして、恐竜をそのためのメタファーとして使っているんだ。でもそれが、僕らが誰かを教育しようとしているとか、誰かに説教していると感じられないやり方であるといいね。

でも今、僕らは最後のシロサイたちを見ている。アメリカでは、ちょうど象牙の法律が改正された(※オバマ前大統領が禁じた象牙の輸入を昨年トランプが解禁したことついて触れています)。動物たちと私たちの関係や、私たちがどう彼らを扱うかはとても重要な問題だ。何かに注目を集めさせる一番良い方法は、フィクションを通してやることなんだ。時として、それはサイエンス・フィクション(SF)だったりする。だから、答えはイエスだ。

今回採用したアイデアがどんなにクレイジーに聞こえようとも、それは子供達に届くかもしれない。(この問題について)レクチャーするということでは決して出来ないやり方でね。

──動物と人間の関係と言えば、あなたたちは、人々が恐竜を食料として見るようになるというアイデアを考えたことはありますか?

コリン:(笑)それは多分、タイムライン(年表)の中では、もう少し後になって出てくるだろうね。でも人間と動物の間に存在するあらゆる種類の関係を、僕らは恐竜を相手に考えた。そして、このシリーズが続いていく間、僕らは忍耐強く、こういったことを、一度に一本ずつ測って挑戦していくんだ。でも、その関係は毎回、作品ごとにどんどん複雑になっていくよ。


シリーズの伝統「女性キャラ=トラブルメーカー」を打ち破る

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Image: (c)Universal Pictures, (c)Giles Keyte, (c)Universal Studios and Amblin Entertainment, Inc. and Legendary Pictures Productions, LLC.

──このシリーズでは、昔の作品では、ジュリアン・ムーアやティア・レオーニが演じたキャラクターのように、女性たちは多くの問題を引き起こします。

コリン:オッケー(笑)。

──この映画では、クレアを含む女性キャラクターたちで、恐竜について正しい知識を持っていて、正しく行動するキャラクターは登場しますか?クレアも前作では多くのトラブルに陥りましたね。

コリン:もちろんだ。古(生物)獣医ジア・ロドリゲスというキャラクターがいる。恐竜獣医のね。映画の中で、彼女が恐竜を手術する姿が見られるよ。彼女は大学院の学生でこれまでとは異なる新しいタイプのキャラクターだ。彼女は、恐竜たちの生物学をすべて学んだ人だけど、本物と関わったことはない。そして、彼女は現場に出て、突然、手術しないといけなくなるんだ。それはとても強烈なシークエンスだよ。

キャラクターたちが間違いを犯すことに関して話すと、この映画では、クレアとオーウェンは目の前の状況に対して一緒に責任を抱えている。その世界の状況は、ジュラシック・ワールド(テーマパーク)の崩壊によるものなんだ。

恐竜たちが危険な状況下にいることに関して、クレアは責任を感じている。そして、彼女はキャラクターとして非常に変化する。今は恐竜保護団体(DPG)を運営していて、恐竜たちを救おうとする活動家だ。そして、オーウェンは映画を通して、ラプトルたちが(自分の)指示にちゃんと従うことが分かって、自分も多くのことに対して責任を負っていることに気づく。

そして僕らにとって重要なのは、この2人たちが映画の最後までに、より深い形で、今回のストーリーと繋がるようにすることなんだ。彼らはこの新しい世界に対して責任を感じている。そして、彼らは今、それを修復する人たちにならないといけないんだ。


J・A・バヨナ監督について


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Image: (c)Universal Pictures

──この作品には新しい監督として、あなたたちは、J・A・バヨナを選びました。どうやって彼を選んだのですか?また、どんなリクエストを出しましたか?

コリン:僕は、バヨナが語りたいと思うストーリーを作り出さないといけない、という責任のようなものを感じていた。彼は素晴らしいフィルムメイカーだ。彼にこの作品を作りたいと思わせるストーリーをもたらすことが、感情的にも、物語的にも十分に中身の濃いものを生み出すというチャレンジになった。だから僕らは、フィルムメイカーとしての彼の技量に合わせたものを書いたんだ。

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Image: (c)Universal Pictures

この映画のすべては、僕が彼に監督としてやってもらいたいものを考えながら作られている、もうひとりのフィルムメイカーへのファン・ムービーなんだよ(笑)。だから、映画の後半になるとダークな要素が増えていく。家の中にモンスターがいるホラーのようなね。彼がそういった部分にとても優れているのは分かっていた。だから、物語はほとんど彼に合わせたものだったんだ。

──つまり、あなたがストーリーを書いているとき、すでにバヨナ監督のことを考えていたわけですね。

コリン彼が僕の選択だったんだ。


シリーズへの思いと今後

──このシリーズは、今年で25周年を迎えます。全ての『ジュラシック』シリーズで、あなたのお気に入りの作品はなんですか?

コリン:僕はそれぞれの作品に大好きな瞬間がある。僕は『ジュラシック・パーク』が大好きだ。でも、特に、『ロスト・ワールド/ジュラシック・パーク』いくつかのシチュエーションは、史上最高だよ。でも、それら全ての中で僕のお気に入りは、『ロスト・ワールド』の中のものだ。トラックが崖からぶら下がっていて、ジュリアン・ムーアが窓ガラスの上にいるところだよ。実に見事に演出されたシチュエーションだ。僕は、そういったすべてのことからインスピレーションを得ているんだ。そして、僕らがやろうとしているのは…それらの作品とはちょっと違かうアクション色がある。前作は、他の作品よりアクション映画寄りだ。さまざまなシチュエーションがテンポよく出てきて、多くのアイデアがあって、常に変化している。それに対して、今作は、サスペンス色が強くなっている、(映画の)後半はね。前半はアドベンチャー映画だ。

人々を崖から飛び降りさせずとも、新しい場所に連れていく方法があるんだよ。

──あなたが監督した前作と比べて、本作のどんな点がよりパワフルになっていて、どんな違いがありますか?

コリン:最新作はキャラクターを中心にした作品になっている。そして、前作よりもっとエモーショナルな映画になっているね。

──それが狙いだったんですね?

コリン:もちろんだよ! 僕には、ストーリーやキャラクターたち、オーウェンとブルーの間にある関係が変化していく様子に、人々が感情的に引き込まれるのを期待するしかできない。

クレアと恐竜の関係や、彼らに対する彼女の責任といったことにね。前作で彼女は、本質的に恐竜たちをビジネスの資産として見ていたところから、彼らが命のある生き物であることに気づかされる。そして、今回の作品では、その変化がとてもエモーショナルな場所まで続いていく。僕らが思っているように、そういった部分が観客に対しても効果的であるのを期待しているよ。

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Image: (c)Universal Pictures

──前作よりも(数的な意味で)もっと多くの恐竜を見ることになりますか?

コリン:そうだね。もっと恐竜が出てくる。火山のシーンには、たくさんの恐竜がいるよ(笑)。彼らはみんな、一度に煙であぶり出されるんだ。

──恐竜は、道を見つけるのでしょうか?

コリンそうだといいね。それを期待しているよ。僕らは、自分の人生において見てみたかった映画に向かって進んでいるんだ。僕は2本の映画を使うことで、納得し、リアルに感じられる世界に向かって次を組み立てているんだよ。僕らに与えられている贈り物のひとつは、何かを考えたり、計画したり、J・Aのような監督と関わって、そのインスピレーションを異なる作品にも与えながら、継続しているように感じさせる能力だよ。僕らが3作目に行く頃、人々は、また新しい世界を見ることになるよ。

──今回、スティーブン・スピルバーグとは、どのぐらいコンタクトを取りましたか?

コリン:彼は今回、僕らのことを前回以上に信頼していた。前作においての僕とスティーヴンは、まだ自分たちの関係を築き上げている状態だった。彼は今より指導者のようだった。そして今回、彼は僕らが語っているストーリーを信じていて、とても興奮していた。彼は、僕とJ・Aをとてもサポートしてくれたよ。

彼は、僕たちの中にいるクレイジーな子供達を解き放たせ、自分たちの映画を作らせてくれたんだ。僕らはそのことをとても幸運に感じている。とても特別だったね。


『ジュラシック・パーク』=永遠の名作で至高、『ロスト・ワールド』=まあまあ、という認識でしたが、バヨナ監督もトレヴォロウ氏もシリーズで最も素晴らしいと思っているのは、ジュリアン・ムーアが窓ガラスの上にいるシーンなのですね。

『炎の王国』を楽しむなら、『ロスト・ワールド』のこのシーンを事前に徹底的にチェックしておく方がいいかも。なんらかの形でオマージュが出てくる可能性大かな、と。

トレイラーでも一切明かされていないダークさがウリの『ジュラシック・ワールド/炎の王国』は7月13日ロードショー。


Image: (c)Universal Pictures, (c)Giles Keyte, (c)Universal Studios and Amblin Entertainment, Inc. and Legendary Pictures Productions, LLC.
Source: 映画『ジュラシック・ワールド/炎の王国』公式サイト

中川真知子

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