新しいニキビの薬、副作用が少なく画期的らしい! 米国のバイオテック会社が研究中

  • author Rina Fukazu
新しいニキビの薬、副作用が少なく画期的らしい! 米国のバイオテック会社が研究中
Image: LBPics/Wikimedia Commons

あの頃ほしかった...!

10代の頃ニキビに悩まなかったという人は、なんてラッキーなことでしょう。世の中では、12〜24歳の85%もの人がニキビを経験しているといわれています。いっぽうニキビに悩んでいる(た)という人は、どんな治療薬を試したことがありますか? なかなか治らなかったり、副作用が出たり、新しい肌トラブルに直面したり...なんてこともあったのでは。

一般的な処方(死んだ皮膚細胞の除去を促すサリチル酸や、細菌を殺す過酸化ベンゾイル)でも多くの人に効果が望めますが、皮膚の乾燥、赤みや炎症を引き起こすといったケースもありました。対照的に、炎症を予防することによって作用するのが新たな化合物「SIG1459」。開発会社いわく、市販の既存製品よりも優れた効果が得られるうえに、副作用も少ないとのことです。

そもそもニキビは、死んだ皮膚細胞や肌から分泌された皮脂が毛包に詰まってできます。アクネ菌が余分な皮脂を分解し、細胞の受容体にぶつかることで炎症を引き起こすと考えられています。治療には、原因菌の殺菌、皮脂の分泌を調整、毛穴を洗浄し死んだ皮膚細胞の排出を促進などの方法が一般的にあります。これに対し「SIG1459」はアクネ菌を殺菌するだけでなく、受容体が炎症反応を起こすのを阻止することで炎症を軽減するというアプローチをとっているのだそう。

従来とは異なるメカニズムの働き方によって、レチノイドの単なるリブランドではない薬品ができたことについて「エキサイティングなこと」と語るのは、ニュージャージーの皮膚科開業医である Marc Glashofer氏。米Gizmodoに次のコメントを残しています。

ニキビは炎症過程であって、抗菌性を発揮しながら炎症を軽減できる薬があれば、それはじつに素晴らしい。

「SIG1459」は、これまで抗生物質や過酸化ベンゾイルといった経口薬で苦しんでいた人にとっても新たな選択肢となりえます。従来の経口薬はニキビを洗浄するのに効果的な反面、過酸化ベンゾイルは皮膚への刺激を与えることが多く、また抗生物質はマイクロバイオームを乱して健康に有害な影響を与えることがありました。とりわけ新たな薬であることから「SIG1459」の副作用についてはいまだ多くの研究が残されていますが、現時点で強い副作用は示されていないとのことです。

Experimental Dermatologyで先日発表されたところによれば、「SIG1459」のクリームは過酸化ベンゾイルよりもニキビ治療に効果的だと評価されています。35名の被験者が8週間「SIG1459」を1日2回塗布し、15名が過酸化ベンゾイルを1日2回塗布する実験を行なったところ、「SIG1459」の場合は平均77%、過酸化ベンゾイルは平均56%の改善がみられました。また過酸化ベンゾイル利用者のなかにはニキビの悪化を確認したというケースもあったようです。

ただしこの実験について注意したいことが3点あります。ひとつは、この研究が100人未満の被験者を対象とした小規模なものであったため、「SIG1459」が既存の実証された治療法に代わる準備ができているという証拠としては弱いことが挙げられます。これについて、クリームの開発元Signum Biosciencesの最高科学責任者であるEduardo Perez氏は、他のニキビ治療と比較しながらより大規模な実験を繰り返すことで有効性を確かめたいと語っています。

ふたつめは、理論的にはホルモン性と嚢胞性のニキビを含めて炎症を起こした吹き出物と戦う効果がありますが、「SIG1459」がすべての人に効果を発揮するとは限りません。被験者のなかには、使用中まったく改善が見られなかったというケースもあったようです。

そして最後に、被験者が使用した3%濃度の過酸化ベンゾイルについて、通常それより高濃度で使用されることが多いと指摘するのは、コロラド州AboutSkin Dermatologyの皮膚科医でディレクターのJoel Cohen氏。なお濃度が高くなる場合、皮膚への刺激も強くなる傾向があります。

Cohen氏はまた、Signum Biosciencesと契約関係にない第三者的立場から「SIG1459」について次のように米Gizmodoにコメントしています。

ニキビを治療するための外用剤が増えることはもちろん歓迎します。皮膚科医としてニキビにアプローチするには、多様な製品を揃えて診療計画を行なうことなどがあります。

実際のところ「SIG1459」はレチノイドと使いやすいのではないかと語るのはGlashofer氏。レチノイドが細胞のターンオーバーを促進させて毛穴を開けずに皮脂をコントロールさせるいっぽうで、SIG1459は殺菌および抗炎症が望めます。

ニキビはFDA(アメリカ食品医薬品局)によって病気と認定されていることを背景に、Signature Biosciencesは現時点で「SIG1459」のFDA認可を取得する計画はないといいます。Perez氏は、ニキビ治療薬と明示して販売されていない可能性があるとしつつ、「SIG1459」クリームを入手できるのは2019年前半になるはずだと述べています。

いままでニキビに苦しんできた人にとって「SIG1459」は副作用の少ない特効薬となるのでしょうか。もしそうならば、日本での取り扱いを含め今後の動向に引き続き注目したいものです。



Image: LBPics

Jessica Boddy - Gizmodo US[原文
(Rina Fukazu)

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