これは...神の視点か。映像内のユーザーに話しかけてくれる監視カメラ開発

  • author 塚本 紺
これは...神の視点か。映像内のユーザーに話しかけてくれる監視カメラ開発
Image: Simba Lab/YouTube

ビデオゲームだとゲームマップの外に落ちてしまいそうになると画面に「危険です。マップの外に出ないでください」なんて警告メッセージが出て、危うくゲームオーバーを免れる、なんてことはよくありますよね。現実世界でもこんな神の視点からの忠告を受け取ることができたら...なんて考えたことはありませんか。アメリカ、インディアナ州のパデュー大学がそんなテクノロジーを開発してくれました。

パデュー大学の研究者たちが開発したのはカメラに写っている人々を特定して、その人にプライベートにメッセージを送るというシステム。このシステムは「プライベート・ヒューマン・アドレッシング」の頭文字を取って「PHADE」と呼ばれています。IPやMACアドレスを使わないうえ、ユーザーの個人データを集める必要もなく、プライバシーにも配慮されています。

とは言えユーザーはカメラの中を動き回るわけです。それをIPアドレスやMACアドレスを使わずにトラッキングして特定するために、人々の動きのパターンに基づいて「アドレス・コード」を生成するとのこと。

このシステムの仕組みでは、まずそれぞれの人のアドレス・コードにリンクしたメッセージを配信します。ターゲットのユーザーはスマートフォンにPHADEの受信側のテクノロジーを搭載している必要があります。そして受信側のPHADEもまたユーザーの動きに基づいた第二アドレス・コードを生成し、送信側と受信側のアドレス・コードが一致すれば、メッセージを受信するというです。

つまり送る側が「あなた、こういう風に動いている人ですか?」とコードを送り、受信側が「わたし、こういう風に動いている人です」と反応してそれぞれのコードが一致すれば、ターゲットが特定できたわけなのでメッセージを表示すると。確かにこの仕組みなら動き以外の情報を入力せずに使うことができますね。

スマートフォン自身からは何のデータも抽出しないため、PHADEはプライバシーを守ることができると開発者は説明しています。以下は、研究の内容を要約したビデオです。美術館のシチュエーションを模した実験会場でPHADEシステムをデモンストレーションしています。マッチ率は90%だったとのこと。

Video: Simba Lab/YouTube

この実験では、会場のどこにいるかによって、近くで展示されているアート作品の説明をメッセージとして送っています。

しかし美術館以外にもたくさん応用方法が考えられますよね。AmazonGoのような未来型スーパーマーケットに導入すれば、歩き回るだけで自分が購入する商品の情報を表示してもらうことができるかもしれません。PHADEはまだ開発段階ですが、買い物客の店舗内での動きをトラッキングする技術多くのリテーラーが探っています。そして間違いなく、警察もこの技術に興味を持つこと間違いないでしょう。

研究の共著者であり博士課程のSiyuan Cao氏はプレスリリースの中で「PHADEは政府機関によって公共の安全性を高めるために利用することも可能です。たとえば犯罪率の高い地域や事故の多い地域にカメラを設置し、怪しい人が後から追いかけている、といった潜在的な危機に関して警告を送ることができます」と語っています。

それ以外にも、テロリストによる攻撃があった際やショッピングモールで子どもが迷子になった時などに、付近の人々にだけ詳細情報を送信するということが可能ですね。しかし一度スマートフォンにこの技術が搭載された場合、公共のメッセージと私企業によるメッセージはどう区別されるのか、といった疑問は浮かびます。既に開発者が政府機関を潜在的なクライアントとして挙げていることからも、運用に関して慎重に注目しておく必要はありそうです。


Image: YouTube
Source: TechCrunch, YouTube

Sidney Fussell - Gizmodo US[原文
(塚本 紺)

gather round 特集ページ

こちらもおすすめ