中国で発見された「200万年以上前の石器」が意味すること

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  • author Rina Fukazu
中国で発見された「200万年以上前の石器」が意味すること
中国で発掘された石器のひとつ

アジアでは最古の記録となります。

中国の商城(Shangchen)エリアで、考古学者らによって多数の石器や化石が発見されました。最古のものは210万年前までさかのぼり、アフリカ以外の場所にヒト族が拡大していた可能性を示しています。

200万年以上前の石器がアジアで発見されたのは今回が初

Natureで発表された新たな研究によると、中国広州市にある中国科学院のZhaoyu Zhu氏が率いる研究チームによって130万〜210万年前の石器が計96点が見つかりました。同地域は上海から西に約660km、そしてヒト族が誕生した地として知られるアフリカからは約14,000km離れた地点に位置しています。このことから、想定よりもずっと前に人類がアフリカから中国にたどり着いていた可能性が指摘されています。

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Image: Zhaoyu Zhu et al., 2018/Nature

黄土高原で発見されたのは、石核、剥片、削器、尖頭器、ハンマーストーンをはじめ計82点の打製石器、14点の加工されていない状態の石など前期更新世の道具。おそらくネアンデルタール人の一種である古代人類が商城エリアに存在していた可能性を示唆しています。

さらに同研究では、多くの骨の断片のほか、鹿の下顎の断片やウシ科の生き物の化石なども発見されました。こうした動物の化石からは、破損箇所や切った形跡など食肉処理にみられる直接的な証拠は見つかっていません。

これまでにアフリカ以外の場所で古代人類の存在を示す証拠が見つかったのは、ジョージアのドマニシという地域。185万年前のホモ・エレクトスの一種と考えられる古代人類の骨や道具が発見されています。また、150万〜170万年前の道具が中国やインドネシアのジャワ島で発見されたこともありました。

ただ、今回のように200万年以上前のものがアフリカ以外の地で見つかったのは初めてのこと。収集された証拠によって、いわゆる旧人類が我々ホモサピエンスよりも130万年前にアジア地域で生息していた可能性が示唆されています。

85万年の長きにわたってヒト族が住んでいた?

研究では、こうした化石や石器などの遺産が見つかった地層にも着目。堆積層のうち、80点の石器が発見された11の連続した地層は温暖で湿度の高い環境、残りの6層からは比較的少ない数の石器が見つかり、寒冷でより乾燥した環境であったことが推定されています。

Zhu氏の研究チームによれば、この17の堆積層は約85万年という長期にわたって、継続的ではないにしろヒト族が占有していた地だという見解を明かしています。

またこうした年代をどのように測定したのかというと、N極とS極が逆転する地球磁場の法則を利用した古地磁気年代が用いられたそうです。これは堆積物や黄土がこうした反転の方向を記録し、当時の年代を分析するのに役立つ手法とされています。

アフリカ以外でもっとも初期の人類の存在を証明するかも

ヒト族の祖先がアフリカで誕生したのは600万年以上前、考古学的な記録によると発見された最古の道具は300万年前までさかのぼります。Natureでは、テキサス大学オースティン校の人類学者John Kappelman氏が次のような見解を示しています。

東アフリカから東アジアへの約14,000kmという距離は、相当な規模への拡大を意味します。ヒト族が分散したのはおそらく人口の増加によって新たな土地の開拓枯渇した資源の調達が必要となったことに起因する可能性があります。しかし、たとえ近代的な狩猟採集民の日々の行動範囲である5〜15kmが年間の進度であっても、アフリカとアジアの距離では1,000〜3,000年で到達できるでしょう。

正確な進度やどの道を歩んだかといったルートについては今後さらなる研究が必要でありそうです。

ドイツの研究機関「Senckenberg Center for Human Evolution and Paleoenvironment」の古代人類学長であるKaterina Harvati氏はこの研究の実地調査や時代測定、分析結果について評価しています。以下は、米Gizmodoに寄せたコメント。

この研究では特に、発見場所をさらに採掘するなどさらなる実地調査が必要だったかと思います。しかし、著者は200万年以上前の東アジア地域での人類の存在について示唆しています。この年代測定が正しければ、アフリカ以外でもっとも初期の人類の存在を証明することになるでしょう。

さらにHarvati氏は、ヒト族がより早期の段階でアフリカ以外の地域へ拡大していなかったことは意外だと述べています。

地理的または生態学的な障壁が存在したのか、あるいは認知的、解剖学的または文化的発展によって拡大が可能になったのか。今回の発見では、良好な気候条件と人間の存在が密接に結びついている可能性を示しているようです。

大陸移動をはじめた年代や、移動をはじめた要因、進化のきっかけなどを知る手がかりが少なからずアフリカにあることはまちがいないでしょう。人類がどのように、なぜ地球全体に拡散したのかを真に理解するうえで、今後さらなる研究が期待されます。



Image: Prof. Zhaoyu Zhu
Source: Nature

George Dvorsky - Gizmodo US[原文
(Rina Fukazu)

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