行列がなくなるかも。
今月中旬、メジャーリーグベースボール(MLB)が、生物認証を使ったセキュリティシステム「Clear」との提携を発表しました。今後、野球のゲーム観覧にて、紙のチケットやスマートフォンでのデジタルチケットの表示がなくなっていくことに。代わりになるのは、来場者自身の指紋や顔です。
MLBとタッグを組んだClearのセキュリティシステムは、すでにアメリカの多くの空港などで導入されています。Clear(オンラインorリアル店舗)にて、IDを提示して自分のアカウントを登録すると、空港などでClearレーンを使用でき、指紋をかざすだけでセキュリティを通ることができます。登録は有料で月額15ドル(約1,700円)。ちなみに、アカウント登録に必要なIDは、現在のところ米国IDのみ(米国発行された免許証やパスポートなど)となっています。
Clear導入の利点は、来場者の動きをよりスムーズなものにするというものです。MLBの導入理由は、もちろん、スタジアム入場の列での待ち時間を解消させるため。Engadgetのインタビューにて、MLBのビジネスVPであるNoah Garden氏は「Clearと提携し、ID認証テクノロジーとチケットを一体化すれば、球場へのアクセスやセキュリティに大きく貢献できると考えます」と語っています。
予定としては、まずは球場のClearレーンにて、指紋認証入場からスタート。ゆくゆくは、顔認証を導入したい考えとのこと。Clearは生物認証支払いシステムの導入も視野にいれており、そのうち球場でビールやおつまみを購入するのも、指紋でピってな具合になるかもしれません。
ただ長い列をパスできるというこの上ない便利さと、生物認証データを差し出すのは、果たして測りにかけてもいいような問題なのでしょうか。指紋認証が普及していくことに、警鐘を鳴らす人々もいます。米Gizmodoの取材にて、ボストンにあるノースイースタン大学のコンピュータ科学&法教授であるWoodrow Hartzog氏は、データ漏えいが頻繁における世の中での生物認証の便利さは非常に危険だと訴えていました。
どれだけ危険だと叫ばれても、社会が痛い目をみない限りは便利さに流されてしまう。それが人間。もっと楽にビールを飲みつつ野球を見たいと思うのは、人間の性なのだ!
ま、今のところは、空港や球場にて、セキュリティ通過や入場の時の選択肢が増えるというだけです。従来の方法をなくす時は、データ保護にセンシティブな人にとっては、いよいよ大問題になるのでしょうけど。
Image: Joseph Sohm / Shutterstock.com
Source: Yahoo
Sidney Fussell - Gizmodo US[原文]
(そうこ)