反応速度が大幅UP。けど、もうすこし踏み込んだ機能が欲しかった。
実家は築50年(多分)ですべてが旧式、20歳からずっと海外暮らしで防犯のために二重扉にしなくちゃいけなかった私は、最先端なスマートホーム、スマートロック事情にトコトン疎かったです。今回の発表会に行くまで、スマートロックはドアの外側につけるんだと勘違いしていたほど。
そんな無知が服を着て歩いているような私が、Amazon.co.jpで売り上げトップを誇るスマートロック「Qrio Smart Lock」のニューモデル「Qrio Lock」の発表会に行ってきました。日本でスマートロックといえば最初にQrio(キュリオ)が挙がるくらいで、その定番商品が約3年ぶりのアップデート。Qrio Lockは2万3000円(税別)で、7月19日発売です。
5歳の息子をもつ在宅ライター主婦目線を混ぜつつ、Qrio Lockについて書いていきますよ。
そもそもQrioってなに?

Qrioは、ドアの内側の鍵(つまみ部分)に後付けで設置するモノ。これをつけることでスマートフォンのアプリ経由で鍵の開け閉めを可能になります。
メリットとして、鍵という煩わしい荷物が一個減ること(他のキーを常備している人は別ですが…)、アプリ間での鍵シェアや、解錠履歴が残せることがあげられます。何時に手動 or アプリで開けた、といったことがアプリで確認できるのでセキュリティチェックに便利。
旧式との違い・新機能

今回発表されたQrio Lockと、旧式のQrio Smart Lockとの違いはなんでしょう。
1)軽量・小型化
旧式より10パーセント低くして、40パーセント軽量化されました。ドアとの干渉を削減。

小さくなることのメリットは、ドアからより外れにくくなること。というのも、Qrio Lockも旧式のQrio Smart Lockもドアに両面テープで取り付けるんです。ドアを傷つけることなく工具なしでも設置できるように、という配慮からなんですが、いかんせん粘着力に不安がありました(実際、旧式ではドアから落ちて、家に入れない恐ろしい経験をした人も…)。

まあ、こうやってみると外れちゃうのも納得です。なにせ大きくて重いですから。
Qrio Lockは小型化されただけでなく、粘着テープもリニューアル。粘着面がペラ1ではなく4分割されているんです。こうすることで空気が入り込んで粘着力が落ちることを防げるんですって。

2)反応速度UP
スマホを操作してからドアが反応するまでの速度が8分の1になり、通信距離も電波強度が3倍に。
旧式は「下手すりゃ鍵さして開けたほうが早い」こともあったそうですが、Qrio Lockではスイスイ〜っと。
3)ひとつのドアに鍵がふたつ付いていても一度の動作で同時に開けられる
4)デザイン
向きを問わないオーバル形状になっただけでなく、つまみ部分に本物の金属を採用したので重厚感がでました。

また本体の色はシルバーからマットブラックにチェンジ。カラバリはありません。
5)アプリを刷新
アプリを立ち上げたら鍵が開いているか、閉まっているか表示されるそうです。空いていればすぐ下のボタンを押して閉めることができて、より直感的な操作が可能になりました。
Qrio Lockの動き。スマートフォンアプリから自宅の鍵を解/施錠できます。Qrio本体とスマホはBluetoothで繋がっています。 pic.twitter.com/5nJpMAQEPn
— ギズモード・ジャパン (@gizmodojapan) 2018年7月5日
6)スマホなしで解・施錠できる「Qrio Key」

車のリモコンキーのような「Qrio Key」がオプション発売されます。これを使えばスマホを持たなくても開閉可能に。子供やスマホ慣れしていない人でもスマートロックを使えるようになります。
7)ハンズフリー解錠
帰宅時にスマホも鍵も取り出す必要なく、ドアに近づくと解錠する新機能。Qrio Smart Lockではベータ版で使えた機能ですが、正式ローンチ。後述しますがこれはイイ!
8)オートロック機能
付属品のマグネットセンサーをつければドアが閉まったことを感知して自動で施錠してくれます。
率直な感想
玄関ドアより室内ドアにつけたい。具体的にはこんな場合なら導入を考えます。
1)書斎
我が家には夫と私の仕事部屋があり、そこには高額な機器や資料、私のホラーコレクションといったものが置かれています。今のところ、息子はその部屋で悪戯することがないので特に必要を感じていませんが、今後やんちゃ度が増したら考えるかも。
2)お手伝いさんがいる場合
ちょっと前まで住んでいたマレーシアでは通い/住み込みのお手伝いさんを雇うのが一般的でした。なのでお手伝いさんが来ることを前提に、防犯面を考慮して室内のドアには鍵がついています。多くのお手伝いさんはお金のために真面目に働きますが、中には雇い主の持ち物を盗んだりする人も。
そんな時にスマートロックが大活躍しそう。というのも、スマートロックは履歴が残るじゃないですか。なので家の中で貴重品がなくなっても履歴をチェックすれば、キーをシェアされていないお手伝いさんはあらぬ疑いをかけられる必要がなくなります。要らぬ問題を発生させずに済みそうです。
では、私はQrio Lockを買いたいか?
今は買いません。
私は今年で37才で、テクノロジーで人生が大幅に変わったのを目撃してきた世代です。パソコン、ポケベル、PHS、携帯電話、スマホといったテック・レボリューションを体感してきた上に、就職氷河期も知らないわけじゃないから財布の紐が硬い。正直言って「これを使えばちょっと楽になるよ」じゃ買わないんです(これで買っちゃうのは私の親の世代)。テクノロジー、特に家電には「これがあるからこんな苦労が劇的に減った!」っていう、テクノロジーが人のライフスタイルを変えるモノを求めます。
だからもう一歩、生活に踏み込んだ機能が欲しかった…。
では、どうなったら買うか?
1)見守り機能がもっと親のニーズにあってくれたら
2)認知症患者の深夜徘徊を止めれたら
この2つが可能になったらドアを取り替えてでも買うかもしれません。具体的にやってほしいバージョンアップを書きますね。
鍵を持たせなくてもいい鍵っ子機能

スマホなしでも解施錠できるオプション品、Qrio Keyは「スマートフォンを持たせられない子供向け」と言われましたが、世間は「スマホどころか鍵すら落としてくる可能性のあるやんちゃっ子」であふれています。鍵を持たせたいけど落として来るかもしれないから心配で持たせられない。だから子供が帰ってくる時間までに家にいないといけないという親は少なくありません。スマートロックにカバーしてほしいのはこの部分です。
たとえば、玄関にカメラを設置し、家族のデータを登録します。家族が帰ってきたらカメラから親のスマホに連絡が入り、遠隔で鍵を開けられるようになれば良いかもしれません。顔認証の精度が上がれば、自動で解錠されるようになっても良いかも。
ストップ! 深夜徘徊
認知症患者の介護はすべて大変ですが、その中でも悩みの種なのが深夜徘徊。深夜徘徊を止めるために、患者の横で寝る介護者もいます。この悩みを解消するのに、スマートロックに「内側から開けられない機能」をつけたらどうでしょう。
設定した時間内は「アプリの施錠、解錠ボタンを押さない限り開けられない」ようにするのです。手動で開けようとしたらブザーがなって知らせてくれるとなお良いかも。
では、人にオススメできるか?
オススメできます。一人暮らしの子供を心配する親御さんに断然オススメします。それはこんなケースが想定できるから。わかりやすく漫画にしてみました。
<夜の帰り道>

ハンズフリー機能がなければ…

ハンズフリー機能があれば…

ホラー映画あるある、切羽詰まった「鍵がない!」っていうシーンが過去の遺物になるわけです(編注:執筆者の中川さんは、ギズモードライター随一のホラー好きです)。
親はいつまでたっても子供が心配です。スマートロックはその心配を少しでも解消してくれる可能性があるアイテムだと思います。利便性を求めるなら2万3000円は高いけど、離れて暮らす子を心配する不安を軽減してくれるなら安い!
私的にはこれからのアップデートに期待しています。今は必要ないけれどライフスタイルが変化したときに導入を考えたい、そう思わせてくれるアイテムでした。もちろん、こういう最新のテックに触れておきたい方には最高だと思います。速くなったし、基本的な性能がアップしているので。
最後に、So-netユーザーにノスタルジックを感じさせるキャラ、PostPetのモモちゃんに思いがけない再会を果たしたので感動の瞬間をどうぞ(Qrioはソニーの子会社です)。
