1日に180年分の対戦をしてますから…。
イーロン・マスクが設立したオープンソースのAIを研究する機関「Open AI」。そこが開発したAIチーム「Open AI Five」が、MOBA系ゲーム『Dota 2』で世界ランクの上位0.05%のプロ級のゲーマーチームと対戦し勝利しました。
*『Dota 2』:2つのチームにわかれて戦うリアルタイムストラテジーゲーム
Open AI Fiveは、Open AIが開発した5つのニューラルネットワークで構成されたチームで、その賞金(昨年度は総額で3800万ドル=約41億円)の高さでも知られる『Dota 2』の世界大会「The International」でのプロチームに勝利することを目指し開発が進められており、今回開催されたのはそのベンチマークとしての対戦会。
実は5月にも対戦会を開いており、その時は、開発者チームやBlitz(元プロのプレイヤーの解説者)+最強観客チームには勝利したものの、チームとして練習を積んできたアマチュアとプロのチームには負けてしまっていました。
しかもその時は、お互いの使うヒーロー(ゲームで選べるキャラクター)を全く同じにしたミラーマッチで、他にもさまざまな能力・スキルを使用不可にした状態というかなりの制限を設けての対戦で、実戦とは程遠いものでした。
しかし、今回開催された対戦会ではOpen AI Fiveは大きな進化を遂げ、アイテムやスキルの制限がかなり減り、ヒーローも18体の中から選択するかたちとなり、完全とは言わないまでも、より実戦に近づいた形式に対応(詳しいレギュレーションはこちらにまとめられています)。
さらに今回の試合ではAIの反応時間を60ミリ秒から200ミリ秒に落としてより人間に近い状態で試合をしたとのこと。Open AI Fiveの強みは、反応速度ではなくチームワーク/連携にあるらしく、反応速度が速くても現状、ゲームプレイには差が認められないのだとか。
そしてその試合の映像はこちら。初戦はエキシビション的なお楽しみ要素として観客チームを相手にして勝利。続けて本戦として0.05%のプロ級のゲーマーチーム(元プロや解説者、アナリストなど『Dota 2』に関わる凄腕が集結)と3試合を行ない、AIが2勝で勝ち越しという凄い結果に。
敗北した第3試合でAIチームは、Twitchの視聴者からチャットを介してアンケートを取る形式で選ばれたヒーローを使用しており、かなり不利なチョイスだったので、それがなければ余裕で全勝していたかも……?
ちなみに試合中に勝率を計算しチャットで発言することも可能で、プロ級ゲーマーチームとの試合の冒頭に「我々の勝率95%を超えると予測している」という煽りとも思える発言をしているのが面白いところ。
というわけで、5月から目に見えて大きな進化を遂げてきたOpen AI Five。AI同士の対戦を1日に180年分の対戦を繰り返しながら成長を遂げていると言われているだけに、勢いが凄い。このままいくと、AIが対戦相手を「キサマらのいる場所は我々はすでに3000年前(相当)に通過した場所だッッッ」と煽ってくる日もそう遠くはなさそうです。
The International 2018は8月20日から開催予定。もう残り2週間ほどでありおそらく最終調整の段階だと思いますが、果たしてどこまでの成長を見せてくれるのか。当日の試合の様子はTwitch等でも配信予定なので注目しておきましょう……!