特にグラフィッカーには、遅くてイライラさせられる1台でした。
今から20年前の1998年8月15日、Apple(アップル)からカラフルでスケルトンな初代iMacこと「iMac G3」が発売されました。これは1997年にスティーブ・ジョブズがAppleに戻ったあと、ジョニー・アイブがデザインした最初のコンピューターでした。
センセーショナルで革命的なデビュー
でもAppleの可愛いコンピューターに目を細める前に、ちょっと思い出してください。最終的にiMac G3が素晴らしかったのは、プラスチックに焼き付けられた半透明の際立ったボンダイブルーのデザインでした。
とくに1998年当時のコンピューターは、どれもこれも薄グレーのような、ベージュのような事務的な色しかなかったので、このカラフルなiMac 3Gはなにか啓示的でした。Windowsの世界では、Gatewayの牛柄の箱がちょっとカワイイくらいだったので尚更です。
当時、私は高校生で、学校のPC教室がすべてiMac G3に変えられ、教室が明るくなったことを今でも覚えています。父が白黒画面のNeXTSTEPを使っていたからとくに。それにNeXTSTEPは、Appleを辞めたスティーブ・ジョブズが作った共通点もあります。
iMac G3の良さは見た目だけではなく、いくつもの革新的なオプションにありました。たとえば、ケーブル類をまとめる小部屋があったり、Apple独自の接続端子ではなくUSB端子が採用されたり、一体型なので、従来のデスクトップよりちょっと取り回しが楽だったりしました。でもそんなのは取るに足らないこと。ヒドいiMac G3を擁護するには至りません。
マウスがほんとダメ
重量が17.3kgもあるのにハンドルは頭頂部にひとつ(重量はモデルによって違いアリ)。とてもこれで移動しようとは思えませんでした。CPUは233MHzのPowerPC 750で爆速だなんてジョブズは言っていましたが、実際そんなに速いわけでもありませんでした。
最もヒドいのが付属の丸いマウス。本体にマッチしたデザインですが、人間工学に基いていないホッケーのパックみたいで、接続するUSBケーブルがとても短かったのです。やはり不評だったのか、発売から2年後には透明のApple Pro Mouseに取って代わられてしまいました。
それでも続いた

Appleはその後も、さらなるカラバリを増やしていきました。「ライム」、「ストロベリー」、「インディゴ」などなど。限定版の「ブルー・ダルメシアン」と「フラワー・パワー」はやっちまった感がありますが。
とにもかくにも、初代iMacの遺産が次のiPhoneを楽しくカラフルにしてくれるなら、それには好意を示せそうです。
最後に、iMac G3の姿を見て感傷的になるのはちょっと待ってください。コレはとても高価で、イライラの募る速くもない一体型で、革命的だったけど完璧に磨かれたデザインではなく、マウスがヒドくて、ステキな配色の一台だったのです。
この原文を翻訳した私も、L.A.で卒業後就いた職場にて、ボスがグラフィック・デザインの仕事用にボンダイブルーを買ってくれて2年半ほど使っていました。ですがメモリを増設しても、Illustratorを立ち上げたままPhotoshopでポスター用画像をPSDで保存したり、After Effectsで映像をレンダリングするのに時間がかかり、とにかくイライラさせられてMac嫌いの原因になってしまったのがコレだったんです。ヘタすると、家にあるMacintosh Quadra 950で仕事したほうが速いんじゃないか?って思えるほどでしたね。
笑っちゃうのが、会社のウェブ制作とメインのインターネット用に、これまたボスがiMac G3にソックリなデザインの「e-one(ソーテックで有名なあのPC)」を買ってきて隣に並べたこと。今思うとヘンな仕事場だったなぁと微笑ましくなります。
Source: CNN