いや、これは売れますわ。
2016年に登場したMavic Proはインパクト大でした。折りたたみができる機体は旅先にも持っていきやすく、それでいて写真・動画画質もいい。お手軽に本格的な空撮ができるドローンとして大人気。はじめてのドローンとして手にする人も多く、1カ月を超えるバックオーダーにもなりました。
そのMavicシリーズの新モデルとして、「Mavic 2 Pro」と「Mavic 2 Zoom」が登場したのはみなさまご存知のとおり。そしてDJI JAPANから「飛ばしてみない?」と誘っていただいたので、ギズモード取材班は木更津無人飛行機試験場にお邪魔してきましたよ。
ZoomとProの違いはジンバルカメラのみ

Mavic 2 Zoom(左)とMavic 2 Pro(右)を並べてみました。上位・下位の設定はなく、どちらもMavic 2シリーズのバリエーション。Mavic 2 Zoomは光学2倍ズームレンズ搭載機で、Mavic 2 ProはHasselblad(ハッセルブラッド)製の1インチセンサー搭載機です。ProのカメラにはHasselbladの名前がキラリ。もっともお安く、面白いHasselbladのカメラとしても注目できますよね。
Mavic 2 Zoom

Mavic 2 Pro

Mavic 2 Zoom

Mavic 2 Pro

Mavic 2 送信機

Mavic 2 Pro+送信機

色彩豊かで細部もシャープなMavic 2 Pro
ではさっそく、Mavic 2 ZoomとMavic 2 Proの写真を見比べてみましょうか。
・Mavic 2 Zoom
まずはMavic 2 Zoomからどうぞ。ノイズは感じますけど、悪くはない。周辺光量落ちもありませんし、歪みも感じません。安心して使える画質です。
ただし、クロップするとディティールがつぶれてダマになっちゃっているところが見えてきちゃうのですが。
・Mavic 2 Pro
ううむ。これがコンシューマー用ドローンの画質か。そう言わざるをえないのが、Mavic 2 Proの写真画質。色味も豊かですし、細部のディティールも残っています。
1,920×1,080ピクセルで切り出してみました。空気の層が邪魔をしてぼやけやすい遠景部であっても、なかなかにシャープじゃないですか。
カメラに関するハッセルブラッドの知見は、写真・映像としての見栄えの良さにもつながっているのでしょう。10-bit Dlog-Mカラープロファイルにも、4K 10-bit HDRにも対応していますし、色彩の美しさを引き出したいならMavic 2 Proを選ぶしかありません。
ドリーズームが面白すぎるMavic 2 Zoom

画質面においてはMavic 2 Proの勝ち。しかしMavic 2 Zoomでしか撮れない映像もあるのです。それがクイックショットの新モード「ドリーズーム」です。カメラを引くのと同時にズームすることで、被写体の大きさはそのままなのに前景と後景の大きさが変わり、背景が迫ってくるかのような映像になります。
ホラー映画ではよく使われている手法ですが、ドローンの操縦、ズーム担当、ピント担当と、機材だけではなく多くの撮影スタッフも必要としていた表現方法。それが、Mavic 2 Zoomならば数タップでできちゃいますよ。
こんなように、ね!
ただし、ドリーズームには機体のうしろに数十mの空間が必要です。撮影できる場所は限られます。でも一人で撮影できるってすごくないですか?
Mavic Proよりちょっと大きくなった

作例を見ていただいたところで、Mavic Pro(左)と、Mavic 2 Zoom(右)を見比べてみましょう。全長がちょっとだけ伸びました。幅と高さはあまり変わらず。
そしてジンバルを支えているアームは強固さアップ。Mavic Proはいち墜落いちジンバル交換という華奢なところがありましたが、Mavic 2は万が一のときでももしかしたら…生きてる?という安心感があります。
モーターは一新です。スピードコントローラーも変わりました。

プロペラの形状も変更。飛行中の抗力は19%低減し、出力も静粛性もアップ。ということはペイロードもアップした? バッテリーは31分、最大飛行速度72km/hにアップ。

ACアダプターも新規一転。本体バッテリーケーブルに加え、プロポ用の充電ケーブルがつきます。代わりに、従来は2口あったUSB充電ポートが1口になりました。
送信機のスティック部は、Mavic Airのように取り外して収納できます。またMavic Proは操舵感が軽かったのですが、Mavic 2シリーズはわずかに重みを感じさせるものとなっています。微細なコントロールがしやすくなりましたよ。
また送信機のサイドでは、S(スポーツ)モード、P(ポジショニング)モードに加え、T(トライポッド)モードの切り替えが物理スイッチで行なえます。これがとてつもなく便利! SモードよりPモードのほうが遅く動き、Tモードはもっと遅くなります。
Mavic Proを使っているときは、Sモードにすると障害物検知機能が下がってしまうので、通常はPモードで動かすのですが、微細な位置決めをするとなると、Pモードでも敏感すぎるんです。かといっていちいち感度設定をするのは面倒でした。
Tモード、いいですよ。ギア付き雲台で画角を決めるかのように、じわり、じわりとMavic 2シリーズを操作できるのですから。Mavic Proオーナーとしては、カメラ機能・性能より、このTモード搭載こそシビれる憧れるポイントだったと記しておきます。
障害物回避センサーは全方位につく

Mavic Proの障害物回避センサーは前と下の2箇所でしたが、Mavic 2シリーズは前後左右上下の6方向につきました。後ろと上側にあるのがポイントですね。撮影しながら後退させるときや、屋内で飛ばすときでも安心できるということですから。
回避センサーによってMavic 2では回避機能(APAS)も進化。Mavic Proと比べてスムースになったという印象ですね。進行方向に障害物があった場合、操縦者はジョイスティックを前に入れっぱなしにしておくだけで、勝手に避けてくれます。
見えなくなった被写体の移動コースを予測
指定した被写体を追いかけ続けてくれるActive Trackも進化しました。Mavic 2シリーズに搭載されるActive Track 2.0は、被写体が障害物に隠れたとしてもいままでの移動パターンを学習し、見えないところでどう動いているかを予測してくれるのです。
被写体との距離が近すぎると見失っちゃうことがあるんですけどね。
ドローン撮影のストレスを大幅に低減してくれるMavic 2

安全性がアップ。撮影の幅も表現の幅も大幅にアップ。見た目はキープコンセプトですが、内面はまったく違います。進化しまくりです。
「Mavic 2 Zoom」が16万2000円、「Mavic 2 Pro」が18万9000円と、Mavic Proよりもアップしてしまいましたが、その価値はあります。Phantom 4 Pro V2.0よりも安全に動かせる、すなわち固定翼式の上位モデルも喰ってしまう性能を持っているのですから。
Source: DJI