熱光学迷彩に使えそうな装置が登場! その材料は身近にある意外なものだった

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  • author 傭兵ペンギン
熱光学迷彩に使えそうな装置が登場! その材料は身近にある意外なものだった
Image: Anita van den Broek / Shutterstock.com

SFの定番アイテムとなっている光学迷彩(視覚的に対象物を透明に見せる技術)。中でも『攻殻機動隊』などに登場する、赤外線を制御することで透明になるだけでなくサーモグラフィー越しにも見えなくする熱光学迷彩が有名です。そんな夢にあふれる未来のSFガジェットを実現するのに一役買いそうな装置が登場しました。

その装置を手においた状態をサーモグラフィー越しに撮影した動画の一覧がこちら。スイッチを入れると、装置が外の温度と同じように青くなっているのがわかりますね。周囲との差がまったくわからないわけでもないですが、それでも十分すごい。実はこれ、実際に装置の温度が低くなっているわけではないんです。

赤外線の吸収・反射を電流で制御

その構造は、1原子の厚みしか持たない炭素原子のシート「グラフェン」を100~150枚重ねたものの下に、薄いイオン液体を敷き、透明のプラスチックの薄いシートで包んで、それらを金製の電極につないだというもの。 コーティングに使われているイオン液体は、塩を構成するイオンを置換して室温でも液状になるようにしたもの。おなじみの塩をちょっといじるだけで、SFガジェットの実現の鍵を握ることになるとは……!

一方グラフェンは薄く、軽く、強靭であり、電導性にも優れているため、いろいろな用途に応用されています。マーベル映画に登場する夢の素材「ヴィブラニウム」みたい。

装置は普段はイオン液体が赤外線を吸収していますが、電流を流すとグラフェンの層の間にイオンが流れ込み、赤外線の吸収が止まり、逆に赤外線を放射・反射するようになるのだとか。また、流す電流の量によって赤外線の吸収と反射のコントロールが可能なので、周囲に合わせることでサーモグラフィー上では透明になったかのように見せられるようになっています。

あとは人間の目ないしはカメラの映像から見て透明になる方法が(こちらも研究が進んでいる様子)が見つかれば、真の熱光学迷彩になりそう。

また、この装置は真空でも使えるようで、熱の変化が激しい宇宙空間での熱の管理などの応用も考えられているのだとか。

べつに熱光学迷彩が実現したって、SFを感じられてワクワクする以外に僕らの日常が変わることはなさそうですが、いろいろな用途が見出されて、より楽しい未来になるといいですね…!

Source: ACS Publications viaARS technica

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