救世主あらわる。
今年の6月に行なわれたApple(アップル)の開発者会議「WWDC 18」。例年Appleの提供しているOSのアップデートを中心にプロダクトなども発表されるイベントですが、今年は次期macOSの「Mojave(モハべ)」が発表されました。
Mojaveは今年の9月に正式アップデートが開始されますが、すでにベータ版が提供されています。ということで、今回は一足お先にMojaveを使ってみました。実際にMojaveで仕事をしてみると、いままで感じていたストレスがかなり軽減。僕のライフスタイルに寄り添ってくれる、そんな気遣いを感じました。
「スタック」機能はデスクトップを勝手に掃除してくれるお母さん

一番先にお伝えしたいのが、デスクトップ上のファイルをカテゴリ別に分けてくれる「スタック」です。仕事柄、写真や画像を使うことは多々あるのですが、こまめに整理したり削除しないとすぐにデスクトップがぐっちゃぐっちゃの状態に…果ては投げやりな気持ちになります。
スタックは、たとえばスクリーンショット、画像、書類データなどのデスクトップにあるファイルをカテゴリ別に自動で分けてくれる機能です。いろんな作業をした後にデスクトップに帰ってきても綺麗なまま。また必要なファイルを探すときにも、どこにあるのかがすぐにわかります。

正直、すべてのパソコンでデフォルトになってほしいくらいの機能で、「デスクトップを整理する」という精神的な負担がかなり減りました。あれです、家に帰ったら誰かが部屋を片付けてくれてるお母さん(=OS)です。こういう地味な作業ってチリも積もれば山なんで、ヘビーMacユーザーにとってはとてもありがたいはず。
ちなみにスタックをどういうカテゴリ分けをするかは設定から選ぶことができます。ただしすでに用意されたものの中から選ぶ形式なので、いつか自分好みにカスタマイズできるようになることを祈りましょう。
写真や動画の編集が「普通」には戻れなくなる

Macを使って写真や動画を編集するかたはとても多いと思います。僕自身、仕事だけでなくプライベートでも写真をいじったりすることがあります。たとえばPhotoshopを開いたり、iMovieでちょっとした動画編集をしたり。正直、その作業自体にとくに不満はありませんでした。それが普通だと思っていましたから。
Mojaveはそんな普通だった作業を、元には戻れないほど楽にしてしまいます。
まず便利だと感じたのが、ファインダーで画像データを選ぶとデフォルトでメタデータの表示される機能です。写真を編集する前からメタデータこみでアタリをつけられると、その後の作業へ移りやすくなります。

またクイックアクションで、iMovieなどを開かなくても動画を編集(トリミング)できるようになりました。できることはかなり簡易的ですが動画をちょろっと編集したい時なんかは重宝しそうです。わざわざソフトウェアを起動させるという作業ってかなりのタイムロスですからね。プロジェクトを作って、データを読み込んで、編集して、書き出す。この工程がなくなると思うと感謝の気持ちしか生まれません。

さらにスクリーンショット機能も進化。これまでのiOS 11で提供されていた編集可能なスクショ機能が、そのまんまmacOSにやってきました。 トリミングやメモなどがスクショ後そのままできるようになり、これまた編集の手間が減る仕様に。
ダークモードでわかる、純正の素晴らしさ

WWDC前の噂でも話題になっていた、「ダークモード」機能。これまでにTwitterアプリなどで実装されてきていた、インターフェースの見た目を暗めの色を基調としたものに切り替える機能です。
これに切り替えることの一番の利点は目の疲れの軽減でしょう。仕事では一日中ディスプレイを見続けることも多いのですが、目の疲れはもちろん、それを起因とした頭痛や、肩が凝りが辛くてしょうがないのです。試しにブルーライトカットのメガネを買っても普段裸眼の自分はすぐつけるのをやめてしまったり、色味を変えるアプリを使うと疲れが軽減されても写真の編集の時にオフにするのを忘れて変な色味のままいじってしまったり。

ダークモードは純正の機能だからこそ、変な煩わしさがまったくありません。写真などの編集の時はいままで通り、それでも目の疲れが軽減されます。あの目の奥が重たくなるような感覚がなくなることで、集中力も上がった気がします。
そして見た目がイケてるということも言っておきたいです。特にダークグレーのMacBook Proを使っていると、相性はぴったり。会社にいるとたまにMacを覗かれる時がありますが、そんな時にスタイリッシュさを演出することができそうです。
新しいApp Storeは人間を徘徊させる

AppStoreも大きく刷新されました。ストアの左側に、「見つける」、「創作する」、「仕事する」、「楽しむ」、「開発する」、というカテゴリ分けができました。アプリの具体的な目的別に分けられているので、自分が必要としているアプリへアクセスしやすい作りになっています。これも一種の効率化。

ある意味、目的がしっかりしているからこそ、Amazonを「なんかほしいものないかなー」と徘徊している時と同じような感覚で、ほしいものを見つけさせるんですよね。もちろん昔のようにジャンル別でのカテゴリも残っています。
全体的な作りは、とにかく「痒いところをすべて掻いてくれる」といった印象です。
そこまで大きな変更があるわけではないですが、当たり前だと思っていためんどくさい作業が解消されるのは、長期的な目で見たときに大きな効果がありそうです。とくに仕事などでMacを使っている人、ヘビーユーザーに優しい作りになっています。またこれが返ってヘビーユースのハードルを下げ、一般的なユーザーを知らず知らずのうちにヘビーユーザーにさせる可能性を秘めているように感じました。
それにしてもただでさえ使いやすいMacが、まだこんだけレベルアップするとは。めんどくさがり屋にとっては救世主。いつかAppleには世話焼きロボットでも作ってもらいたいところです。