NASA「ん? 火星を地球化するテラフォーミングは今の技術じゃ無理だよ」

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  • author 塚本 紺
NASA「ん? 火星を地球化するテラフォーミングは今の技術じゃ無理だよ」
Image: Aranami/Shutterstock

時に無慈悲なNASA。

イーロン・マスクを筆頭に、人々に夢を与え続ける火星植民計画です。もちろん、火星は地球とは環境がまったく違うため、ロケットを飛ばして着地してすぐそこで生活を始める...という具合にはいきません。火星長期滞在用の小型の原子力発電システム「Kilopower」開発ハワイの隔離ドームで1年間生活するという実験が行なわれているのはそのためです。

火星に住む方法その1:生活の拠点を作る

火星に着陸したのち局地的な生活インフラを作り、そこの中でだけで生活をする、というのが現在想定されている移住計画です。もちろん、アラブ首長国連邦による「火星2117年プロジェクト」のようなひたすら豪華な巨大ドームを想像しているものもあれば、小型ポッドだけの「Mars One」資金繰りに失敗して頓挫しているようですが)のようなものもあります。

こちらはUAE副大統領による「火星2117年プロジェクト」の想像図ツイートです。なんとも…大胆ですね。

火星に住む方法その2:テラフォーミング

しかし、火星植民のもうひとつの方法として話題にあがるのが「テラフォーミング」です。なかでも話題なのが、何らかの大爆発を火星上でおこして、火星に眠っている凍った二酸化炭素を大気中に放出、温室効果を生むというもの。つまり、火星に地球のような大気を作ってしまおう、というものです。

近年テラフォーミングにまた注目を集めているのが、イーロン・マスクです。「火星の2つ極の上空で、数秒ごとに核融合爆弾を爆発させる」という計画をテレビ番組、そして自社イベントで語ったことは大きく報道されました。

まさに映画「トータル・リコール」のような大規模かつドラマチックな構想ですが、先日NASAが「火星のテラフォーミングは現存のテクノロジーでは不可能」と発表しました。おおぅ、夢が砕けた音がしますね...。

NASA:「今はテラフォーミング無理っぽい」

しかし、火星には大気に戻された時に火星を温めるのに十分な二酸化炭素が含まれていない、ということがNASAがスポンサーした最新の研究によって判明しています。居住不可能な火星の環境を、生命維持装置無しに宇宙飛行士が生活できるような場所へと変えることは、現代の技術を遥かに超える能力を持った技術がないと、不可能です。

下の図では「火星に存在するすべての資源を処理しても、地球の大気圧の約7%程度までしか大気圧を上昇させることができません」とあります。

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Image: NASA

下の図では、地球のような大気を実現するために必要な温室効果ガスが100%だとしたとき、火星にはどれだけ存在しているのか、を説明しています。すべてを合計しても6.8%にしかならないと。なるほど、無理感ありますね。

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Image: NASA

しかし、こういった小さな(残念な)発見を繰り返して偉大な発明や進歩は生まれるわけです。「今の技術では火星のテラフォーミングは不可能」という気付きも、火星植民に向けての一歩であることに違いありません。

Source: NASA

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