この可愛らしい小鳥は「透明」を理解できる

  • author Ryan F. Mandelbaum - Gizmodo US
  • [原文]
  • 山田ちとら
この可愛らしい小鳥は「透明」を理解できる
日本のシジュウカラ(Parus minor)

ツピー、ツツピー。

市街地でひときわ高く澄んだ鳥のさえずりが聞こえてきたら、それはおそらくシジュウカラです。

緑青色の美しい翼と尾羽を持ち、黒い頭に白いほっぺの凛々しいお顔が印象的。大人の手のひらにおさまるぐらいのコンパクトサイズながら、好奇心旺盛でエサ台にもよくやってきます。身近に見られる可愛らしい鳥ですが、じつはチンパンジー並みの自制心を持っているらしいことが最近の研究でわかってきたそうなんです。

鳥類は賢い。このことはこれまでの研究からも充分に証明されてきています。カラスは記憶をたよりに道具を作り出すことができますし(詳しくはこちらの記事も)、カササギは鏡に映った自分の姿をちゃんと認識できます。ちなみに、鳥よりはるかに大きな脳を持っているヒョウやゴリラでさえ、鏡の中の自分を敵だと思って攻撃してしまいます。

Video: STORYTRENDER/YouTube

動物に比べて何倍もちっぽけな鳥が、動物に匹敵する知性を持ち合わせている。スウェーデンのルンド大学所属の研究チームいわく、「シジュウカラにはチンパンジーやカラスにも匹敵する高レベルの自制心が備わっていることが初めて実験により証明された」そうなのですが、そもそも自制心ってどうやって測るのでしょうか?

透明なチューブに入れたエサに飛びつくか否かを見た

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ヨーロッパのシジュウカラ(Parus major)
Image: Francis Franklin/Wikimedia Commons

実験では、ヨーロッパの野生種のシジュウカラ(Parus major)を36羽捕らえ(※くれぐれもマネしないように!一般的には違法行為です)、まずは不透明の筒状のエサ台で餌付けをしました。その後、一部の鳥かごに透明の筒や壁を導入してシジュウカラに「透き通ったモノ」を理解させたそうです。

ここまで準備を整えた後でいよいよ行われた本番のテストでは、シジュウカラたちが今まで見たことのないタイプの透明のチューブの中にごちそう(=ミールワーム)を入れて、どのように反応するかを観察しました。

もしシジュウカラが直感的な運動反応で透明のチューブをつっついてしまったらアウト。つっつかず、冷静にチューブの端まで移動して中に入ってから見事ミールワームを捕らえられた賢い子は合格でした。直接的な運動反応を阻止する自制心の働きを確かめるテストだったと研究者側は学術誌『Behavioral Ecology and Sociobiology』で説明しています。

このようなテストを10回重ねた結果、テストの前に透明なモノを見せられていたシジュウカラの場合は80%、見ていなかったシジュウカラは61%の合格率だったそうです。

80%はかなり高い合格率です。カラスやカササギのレベルには達していなかったものの、他の鳥に比べるとずっと高い数値だったそうです。

脳が大きいほど知能が高いわけではない、を示したのかも

もちろん、この研究のやり方に疑問がないわけではありません。自然の環境下で行われていないし、調教という不確定要素も含んでいます。たったの36羽しかテストしていないのもちょっと物足りない感が否めません。

しかもこの実験の最大のウィークポイントは、テストされた鳥のほとんどがはじめのうちは不合格だったことでした。

実験に直接関わっていないカナダ・ブリティッシュコロンビア大学の博士研究員、ベン・フリーマンさんが米ギズモードに語ったところによれば、「実験ではシジュウカラたちに10回テストを受けさせて、10回のうち何回成功したかを測定基準に使ったようだ。ほとんどの鳥が最初は失敗したが、そのうち透明のチューブにくちばしをぶつけないよう学んでいったのだろう」と指摘しています。

ということは自制心を試したというよりは学習能力を測定したとも言えるかもしれません。

ともあれ、興味深い研究結果ではあります。フリーマンさんいわく、今回の実験データは脳が大きいほど知能が高いとは必ずしも言えないことを指摘しているそうです。容積たったの0.44㎤、まめつぶのような脳を持った小さなちいさなシジュウカラがメガネザルより上手にごほうびにありつけたわけです。鳥獣の知能を測る際、脳の大きさはさほどあてにならないのかもしれません。

他にも自制心を試すテストはいろいろあって、たとえば小さなごほうびをもっと大きなごほうびのためにガマンできるかどうかを見たりするそうなんですが、そもそも人間が合格できるかすら怪しいところではあります。たしか昔話に登場するケチなじいさん/ばあさんは、自制心がないばっかりに痛い目に遭っていたような…。あながち「したきりすずめ」の話も絵空事ではないかもしれません。

Source: Behavioral Ecology and Sociobiology

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