法人向けの製品版です。
AcerとStarbreeze出資のVR企業、StarVRから新しいVR HMD「StarVR One」が発表されました。ただいまカナダで開催中のコンピューターグラフィクスの学会、SIGGRAPHにて!
StarVRといえば、企業名と同じ名前の「StarVR」というVR HMD(VRヘッドマウントディスプレイ)がありました。これは210°のすごく広い水平視野角もつVR HMDとして有名で、今回のStarVR OneはそのStarVRの改良版。これまでは開発版として一部の映画館やゲームセンター(体験記はこちら)に導入されていましたが、この度、製品版としてリニューアルしました。
StarVR One

StarVR One

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210°のリッチな視野角は引き継ぐ

StarVR One、企業向けの製品とのことで、まだ僕らが買えるものではなさそうですが、やはり今回も水平視野210°のリッチな仕様を引き継いでいます。比較までに、HTC Vive/Vive Proが水平110°、PS VRが100°です。
SIGGRAPH現地で取材しているMogura VRによると、両目に2分割された映像をさらに分割して、4分割の映像を出力するみたい。それをStarVR特許のレンズを通し、広い視野角のシームレスに出力するそうで、210°への努力は並大抵のものじゃないですね…。
見ている場所を検出するアイトラッキング・テクノロジー搭載

リフレッシュレートや垂直視野角など、仕様に細かな改良が見られるStarVR Oneですが、大きな進化はユーザーの視線を追跡する「アイトラッキング・テクノロジー」が組み込まれたこと。Tobii(トビー)社の技術が使われています。
Tobiiはこういうアイトラッキング・デバイスを開発している企業で、PCに繋げると「画面のどこを見ているのか?」ユーザーの視線を追従できます。そんなTobiiのアイトラッキング技術がStarVR Oneでも活用されます。

具体的には目の焦点が合った部分を検出して、そこだけ高品質レンダリングをするみたい。すごくない? いわゆるフォービエイテッド・レンダリングの仕組みを取り入れることで、接続先のPCによる処理を効率よく行なえるのです。
StarVR Oneは2種類

StarVR Oneは、「StarVR One」と「StarVR One XT」の2種類でリリース。それぞれの違いは位置トラッキングの方法にあり、それゆえハードウェアも若干違っています。
どちらも外部センサーが必要なアウトサイドイン方式ですが、StarVR OneはHTC Viveのトラッキングシステムに対応。すでにViveの環境を持っているならセンサー類を流用できます。
StarVR One XTはトラッキングの汎用性があるモデルで、光学マーカーによる光学トラッキングシステムに対応。初期状態では、PhaseSpaceのトラッキングシステムに設定されているようです。
プラットフォームはまだないが…
StarVR Oneはまだ僕らが買えるものではないと言ったのも、StarVRのHMDはプラットフォームに対応していません。つまり、SteamVRやOculus Storeのように、ゲームをすぐにダウンロードできる環境はありません。
しかしです。Unreal Engineを開発したEpic Gamesは、クロスプラットフォームAPI「OpenXR」を視野に入れてStarVRと協力しているようなので、プラットフォームに依存しない方向も期待できそう。
いやはや、我々も広大なVRの世界にいけるのも、あとは時間の問題ですな。