不気味の谷現象を超えた脅威の「若返りVFX」技術は、もはやタイムマシン

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  • author Andrew Liszewski - Gizmodo US
  • [原文]
  • Kaori Myatt
不気味の谷現象を超えた脅威の「若返りVFX」技術は、もはやタイムマシン
Video: Rousselos Aravantinos/Vimeo

大物俳優の活躍が増えそうな予感。

ドラマや映画で、お年を召した俳優がいきなり若くなっている回想シーン、増えましたよね。2017年公開のマーベル映画『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー:リミックス』でも、還暦をとっくに超えているはずのカート・ラッセルがいきなり激若くなっているのを見て、「どうやって!?」と驚愕したものです。

映画の中でも若いころに戻れるって…いいな。

コホン。でもそんなんで驚いていてはいけません。これまでは決して完璧とはいえなかったこの映像技術を、ピクセル単位でとことん追求した人がいました。デジタル合成アーティスト、ルセロス・アラバンティーノス氏が作成した4K解像度のデジタルタッチアップVFXは、冒頭の動画の女優さんをゆうに30歳は若返らせてます。まるでタイムトリップしたかのよう。

これまでの方式は「入れ替え」

これまで映像の特殊効果では、手や顔の質感から髪の感じまで、すべてをコンピュータグラフィックス(CG)の3Dモデルと入れ替えることで老けた俳優を若く見せていました。ですが3DCGにも限界があり、ロボットが人間に近づくにつれて親近感を超えて不気味さが増すという「不気味の谷現象」に陥っていたのです。

いい例が『トロン・レガシー』で若い自分と老けた自分の一人二役を演じたジェフ・ブリッジスで、何とも言えない不気味さと作り物っぽさがありましたよね。ですが、『トロン・レガシー』が制作されてから実に8年経った今、非常にリアルなCGの本物に迫る質も大きく向上してきました。しかし、そんな中でもアラバンティーノス氏はレべルが違うんです。ビフォー・アフターを並べてもどっちが本物がわからないほど。

Video: rousselos Aravantinos/Vimeo

3DCGの道を避けるために使われたソフト「Nuke」

俳優のそっくりさん3Dレプリカを作るのはコスパのよくないプロセスです。それを避けるためにアラバンティーノス氏は、The Foundry Visionmongers社(ザ・ファウンドリー・ビジョンモンガー)が開発しているNuke(ニューク)というデジタル合成VFX(ビジュアルエフェクト)ソフトウェアを使っています。

これは、おなじみ画像加工ソフトPhotoshop(フォトショップ)が動画を加工できるように数百倍進化したものと思っていただければ。Photoshopで顔のしわなどを除去するのは、プロでなくても知識がある人なら試せば難しくはないと思います。ですがフレームレートが150fpsを超えるような動画のしわをいちいち取るのは、大変に骨が折れる作業ということは容易に想像がつくと思います。

合わせて使われたトラッキング・ソフト「Mocha Pro」

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Image: Boris FX
映像の作成に使われたトラッキングソフトウェア「Mocha Pro」

画像のレタッチや若返りエフェクトには、デジタルエアブラシとぼかしレイヤー、クローニング、カラー修正、ワーピングなどの技術が組み合わせて使われます。そして動画上で動き回る俳優の顔の特定箇所に修正を入れていくため、アラバンティーノス氏はBoris FX社が開発する平面トラッキング技術を採用したMocha Pro(モカ・プロ)も組み合わせています。Mocha Proは、動画クリップ上のオブジェクトの動きを計算して再現するソフトウエアですね。

いずれにせよこれは時間も労力もかかる作業であることに間違いはなく、アラバンティーノス氏が精魂こめた作品には目をみはるものがあります。このリアルさ! オリジナル画像と比較して粗を探そうったって探せないほどの凝りようです。3Dレタッチに業界がなびいているのもうなづけます。

ただ、AIの進化によりフォトレタッチの深層学習技術がさらにすすめば、今後は完全自動化されたデジタル若返りエフェクトが出てくるのも時間の問題かもしれませんが。

Source: Vimeo via PetaPixel via Retouchist

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