鎮痛剤の種類と心血管疾患リスクの関係を探る研究がデンマークで行なわれる

鎮痛剤の種類と心血管疾患リスクの関係を探る研究がデンマークで行なわれる
Photo: Doctor Autumnal sky (Wikimedia Commons)

確定ではありませんが、念のため。

先週、ある種類の鎮痛剤をずっと服用し続けることが危険だと示す研究が発表されました。イギリスの医学誌BMJに掲載された最新の研究によると、非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)であるDiclofenac(ジクロフェナク)を使用する人々は、他の非ステロイド性抗炎症薬やアセトアミノフェンを使用する人々よりも心血管疾患にかかる可能性が高いとのことです。

ジクロフェナクって?

ジクロフェナクはVoltaren(日本名:ボルタレン)、 CambiaやSolarazeなどさまざまなブランド名の元に店頭及び処方箋経由で販売されています。この薬は、米国内ではイブプロフェンといった他の非ステロイド性抗炎症薬と比べてあまり有名ではないものの、民間に普及、通常推奨されており、世界中(発展途上国と先進国の両方)で販売されている薬のひとつです。2013年の研究によれば、ジクロフェナクは70国以上で必須医薬品に分類されているとか。

しかしながら、何年ものあいだ医師たちはジクロフェナクの潜在的な心臓へのリスクを心配してきました。この薬が、今では撤収された非ステロイド性抗炎症薬Vioxx(一般名:rofecoxib)のように、心血管系の合併症リスクをあげる可能性を示唆する研究もあります。ちなみにVioxxは、承認されてから5年後の2004年に市場から撤収されました。

この疑問を確かめるのに大規模な無作為化試験を行うのは、非倫理的だし、コストもかかってしまいます。そのため、今回の研究を行なったデンマークの研究者らはユニークな調査方法を選ぶことにしました。

デンマークで行なわれた実験は、データ分析

研究チームは、国勢調査と処方登録からデンマークの成人600万人以上の1996年から2016年にかけての医療記録を調べました。このデータを使って、数百の臨床試験のデザインを一挙に模倣したのです。たとえば1996年にジクロフェナクを服用していた人々に注目し、その後の12か月間の健康状態を追いながら、他の非ステロイド性抗炎症薬やアセトアミノフェンを服用、あるいは何も服用しなかった人々と比較しました。

シミュレーションされた実験すべてから得られた結果としては、服用後の30日間でジクロフェナクを服用した人々は、何も服用していない人々と比べ、心血管疾患を抱える確率が50%も高かったことがわかりました。さらに、問題が生じる傾向は他の非ステロイド性抗炎症薬やアセトアミノフェンの服用者のおよそ倍でした。服用量の少ない人や心血管疾患のリスクの低い人々を含め、全体的なリスクの増加が見られたのです。

さらに、ジクロフェナクの使用は、他の非ステロイド性抗炎症薬のほとんどとアセトアミノフェンよりも、消化管出血のリスクが高く、これは非ステロイド性抗炎症薬のナプロキセン(Aleveとして販売されている)と似ていたということです。

研究の著者は「ジクロフェナクの潜在的な健康リスクを認めて、その使用を減らしていく時なのかもしれない」と記しています。

関連性があるとは言い切れない

「心血管疾患を抱える確率が50%増」と聞くと恐ろしく聞こえますが、絶対的なリスクは極めて小さいと覚えておくべきです。ジクロフェナクを服用した、心血管疾患のリスクが低い1,000人のうち、1年以内に重大な健康問題にかかるのはおよそ4人、そのうち1人が亡くなる(服用薬のない人との比較)と同研究は推定しています。いっぽう、心血管疾患のリスクが高い服用者の場合は、その数字が40人に跳ね上がり、その半数が死に至るという推定に。

この研究は観測データを基にしているため、ジクロフェナクが何らかの問題を引き起こしているということを直接的には証明できません。しかし、他の研究が同じようなリスクの増加を示していることを考えると、ジクロフェナクはもっと慎重に扱われるべきなのは明らか。使用が完全に廃止されることもあり得ると、著者たちは以下のように論じています。

非ステロイド性抗炎症薬での痛みと炎症治療は、その潜在的な副作用にもかかわらず一部の患者にとっては生活の質(QOL)を改善させる価値があるかもしれません
とはいえ、心血管と消化管への危険性を考えると、他の非ステロイド性抗炎症薬の前にジクロフェナクでの治療を始めることはあまり正当化できません

彼らはジクロフェナクが店頭販売医薬品として禁止され、警告ラベルを付けたうえでのみ処方されるべきだと提案しています。 さらに独自のリスクがあることを考慮し、科学者たちに対しても、安全性試験でのジクロフェナクの使用を避けるべきだと語っています。

Source: The BMJ, National Center for Biotechnology Information(1, 2

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