キヤノン、ニコン、ソニーの競争、ここに開幕です。
ついに出ました、キヤノンのフルサイズミラーレス「EOS R」。新たなRFマウントを引っさげての登場です。まずはひとこと。クセはあるけど、ステキなほどにコントローラブルです。
約3030万画素・6720×4480ピクセルのセンサーを搭載

すでにお伝えしていますが、あらためてEOS Rのスペックを見てみましょう。新設計のフルサイズセンサーの解像度は6720×4480ピクセル。十分な解像度とみるか、8K(横が7680ピクセル)には届かなかったかとみるかはアナタ次第。写真中心で動画は二の次の僕はアリアリ。トリミングしやすい解像度ですし。なおAPS-Cクロップ時は約1160万画素となります。十分使えるじゃないですか!
ISO感度は常用100~40000。撮影した画像は持ち帰れなかったために3.15インチのモニターで見たときの感想ですが、ISO40000でもノイズはあまり目立たなかった。暗い場所でも安心して使えそうな雰囲気ありますね。
グリップもいい。いいんだこれが。安心してホールドできます。またEOS Rとともに縦位置撮影&超重レンズ撮影がしやすくなるバッテリーグリップも登場です。そつない!
そしてお値段がいい。キヤノンオンラインショップでの販売価格は23万7500円(税別)。α7III、Z6というライバルより高性能でほぼ同価格。競争力ありますなー。シェアトップのキヤノン、見事な美しすぎる後出しジャンケンです。
速く、暗い場所にも強いAF。というか5655点のAFポジションって

AF速度は0.05秒と、確かに速い。そしてピタっと合焦してくれます。またレンズは選びますが、星空よりも暗いEV-6の景観にもピントを合わせてくれます。EVFは目で見たときよりも明るく表示することができる。そのメリットを活かしていますね。
瞳AFも搭載しました。F1.2のような明るすぎるレンズは被写界深度が浅く、ピントをあわせるのが大変ですが、EOS Rなら問題なし。ポートレートが捗るでしょうなあこれは。
そして凄まじいのが、 AFエリア任意選択時のAFポジションです。横87×縦65=5655ものポジションに、ピントがスッと自然に合うんですよ。背面液晶をタッチしながら合焦点を動かしていくと、とても滑らかにヌルヌルっとAFモーターが動いていく。おかげさまでマクロ撮影の楽しいこと楽しいこと! AFエリア自動選択時は143分割で、これもまた多くて安心です。
着実にピントを合わせてやろう、という意気込みを感じるAF性能ですね。
エルゴノミクスなグリップ&物理ボタン

ボディ全体のサイズはニコンZ 7/Z 6とほぼ同一&α7IIIよりちょい大きめ、グリップはちょっと上に伸びたカタチで深さもあります。上面ディスプレイはEOS 5D系より小さくなり、その代わりとして持ち手の人差し指で押しやすい位置に物理ボタンを配置しています。

モードダイヤルとサブ電子ダイヤルを一体化して右手に操作系を集中。これが想像以上に使いやすい。EVFをのぞきながら直感的に操作ができるUIです。
EVFをのぞいたまま設定変更しやすいマルチファンクションバー

右手親指の位置というベストプレイスにあるのがマルチファンクションバー。AF、ISO、ホワイトバランスなどの機能を割り当て、スライド&タップでコントロールできるタッチパッドです。EVFをのぞきながら特定の機能のセッティングを即座に変えることができます。
従来のデジカメにはない新たな入力インターフェースとなるために慣れは必要です。しかしマルチファンクションバーの操作をマスターしてしまったら、ほかのデジカメを使ったときに不満を感じてしまうんじゃないかって予感がムクリ。設定変更時にEVFから目を離して、メインディスプレイにメニューを表示してあれこれやって...というフローをなくすことができるのですから。
縦位置ローアングルもカンタンなバリアングルモニター

個人的にはほぼ横位置でしか撮影しないため、チルトモニター大歓迎派です。でも撮影領域を拡大してくれるのはバリアングルモニターですよね。縦位置ローアングルでもフォーカスがしやすいし、真上に、高く高く掲げてもモニターしやすいし。
RFレンズに備わったコントロールリング絶品

EOS R専用レンズとなるRFレンズには、フォーカスリング・ズームリングに加えてコントロールリングが備わります。シャッター速度、絞り、ISO、露出補正など、マルチファンクションバーのように特定の機能を割り当てることができます。
Powershot系でその扱いやすさを知っていたつもりでしたが、径が大きく適度なクリック感があるので扱いやすい。これもまた、EVFをのぞいているときの操作性を高めているファクターです。
またフォーカスリングとコントロールリングは回転方向を変更できます。ニコン、ソニー、パナソニック、富士フイルム、ペンタックスのように、時計回りセッティングが可能です。細かいところですがこういうユーザーに優しい、だから今すぐ乗り換えても大丈夫デスヨというそつなさがキヤノンだなと思えるんですよね。
あとメモリカードがSDなところもユーザーファースト。シングルドライブですけどね。
初期リリースのRFレンズの半分が巨砲系

(EFマウントと同径とはいえ)大口径なマウント&ショートフランジバックで、いままでにない性能をもったレンズ設計が可能となりました。それを実証するべく、最初の段階で発売される専用のRFレンズの半数が本気スペックすぎてゴツい! なんですかフルサイズ対応のF2ズームレンズって!
・RF24-105mm F4 L IS USM(15万5000円・約700g・10月下旬発売)
・RF28-70mm F2 L USM(42万円・約1,430g・12月下旬発売)
・RF50mm F1.2 L USM(32万5000円・約950g・10月下旬発売)
・RF35mm F1.8 MACRO IS STM(7万5000円・約305g・12月下旬発売)
軽量で軽快さもウリの1つ。だとすると狙い目となるのはハンドリングに優れるハーフマクロのRF35mm F1.8。コイツには手ブレ補正のISも入っていますし、最初にEOS Rと合わせるべきレンズとなるかも。販売はボディよりちょいと遅れる12月なんですけどね。
おや? レンズに、手ブレ補正だって?
手ぶれ補正はレンズ側の光学式とボディ側の電子式のMIX

そうなんです。EOS Rは基本、レンズ側の手ブレ補正を重視したデュアルセンシングIS搭載カメラシステムなんです。デュアルセンシングISは、センサー側で検知したブレ情報をレンズに伝えることで、効率的な手ブレ補正を可能とするもの。EOS Kiss Mでも使われていますが、対応レンズと組み合わせると補正効果が大きく頼れるもの。
しかし、対応レンズはRF24-105mm F4 L IS USMとRF35mm F1.8 MACRO IS STMの2本だけ、となります。ここ、ぶっちゃけ、残念。レンズが増えてくれば不満は解消されるでしょうけど、ちょっとの間は我慢が必要そう。または純正マウントアダプタ&ISつきEFレンズの生活を余儀なくされそう。
マウントアダプタは驚きの4種類。されど1つ足りない気が

という背景を加味すると、豊富なマウントアダプタ展開は納得できるし大歓迎。シンプル、コントロールリングつき、円偏光フィルターつき、可変式NDフィルターつきと、一気に4種類も発売です。円偏光フィルター、可変式NDフィルターは後玉に共通のフィルターを使うカタチとなるので、コストダウンにつながりますね。
イチオシはコントロールリングつき。というかコントロールリングが至高。EF100mm F2.8L マクロ IS USMと合わせて使ってみましたが、一眼カメラのユーザビリティを2段飛ばしで高めてきた感じ。
なお一部をのぞき、従来のEFレンズの機能をほぼ使えるそうです。クロップされるけどAPS-CのEF-Sレンズにも対応します。ならばこそもう1つ。デュアルセンシングISに対応したEOS M系のEF-Mレンズが使えるマウントアダプタも欲しかった...。
それでもワクワクさせてくれるカメラであることには違いない

個人的に物足りないと感じたところもあります。それでいてなお、EOS Rは魅力的。キヤノンの考える次世代の大型カメラのあり方、哲学を感じ取れるボディ&マウントシステムですし、握りやすく扱いやすいという大いなるメリットもありました。EVFも綺麗ですし。あれ、これ光学じゃないんだっけ、と思ったくらいですよ最初。
フィルムカメラのEOS-1にも似たスタイルが、またいいのよね。
さあこれで、フルサイズミラーレスが出揃いました。P社の参戦もウワサされていますし、戦いのリングが熱くなることには違いありません。それに、いいモデルが増えればさらなる機能UPを目指したモデルも次々と登場するでしょう。最前列でかぶりつきで、見続けるしかないですね!
Source: キヤノン