Googleの次はAmazon。
巨大テック企業がまたまた欧州連合のやり玉にあがっています。写真はジェフ・ベゾスに扮する活動家ですが、これが撮影された4月24日、ベルリンではジェフ・ベゾスを未来の革新企業のリーダーとして表彰が行なわれようとしていました。その式場の外では欧州各国のAmazon(アマゾン)社員が集まり、賃金が安すぎることなどをAmazonに抗議したのは記憶に新しいところ。旗には「Zukunftsmodell Amazon(未来のロールモデルAmazon)」とあります。未来をつくりだすテック企業にも次々と難関が降りかかっているようですよ。米GizmodoのDell Cameron記者がまとめてくれました。
登録している外部販売業者のデータ使用について、Amazonに独禁法違反の疑惑を呈し、欧州連合(EU)の公正取引委員会が、どうやら非公式で調査を始めたようです。
Amazonは販売業者についてのデータを集めています。この集めた情報をサービス向上のために使用することは法的にも認められています。しかし今回EUが問題視しているのは、外部の登録販売業者の売上げなどを解析し、その解析データをAmazonが自社の収益を他社よりも優先させるために使用。その結果外部販売業者が不利益を被っている可能性があることです。
EU競争政策担当委員のMargrethe Vestager氏は、現在はまだ初期段階としたうえで、公式には調査自体はまだ開始されていないことも示唆しています。
本件についてはまだ情報を集めている段階であり、問題を理解するために本件に関与していると思われる多数の企業に調査票を送っている段階です。
Amazonはいまや巨大な販売ホスティングサイト。Amazonには多くの販売業者が登録しており、Amazonを通じてこの販売業者らは販売するチャンスを獲得して恩恵を享受しています。一方、それと同時にAmazon自体も製品を販売をしており、外部業者とAmazonの間には競合があることをVestager氏は動画で指摘しています。
Vestager氏は、Amazonにこう質問しています。
Amazonに登録している販売業者のデータをAmazonが集めているとしても、登録者に提供するAmazonのサービスを向上するのが目的だとしたら、それは当然であり合法です。ですが、そこから一歩踏み込んで、今売れているものが何か、消費者が欲しがっているのは何か、どんなキャンペーンが好まれているか、どんなことが販売につながっているのか、そういったことを知るためにもデータを使用しているのでしょうか?
Amazonは残念ながら米Gizmodoの質問には回答していません。
Vestager氏は一部で「シリコンバレーが恐れる女」とも呼ばれている鉄の女。なにしろ2017年には、米企業Alphabet Inc.傘下のGoogle(グーグル)に独禁法違反の疑いで計約77億ドル(約8000億円)にも上る制裁金を課しているのですから、テック企業が恐れおののくのも無理もありません。
Googleは、EUの消費者も多く利用するゲートウェイ。その立場を利用して同社が提供するショッピングページが優先的に表示されるようにするなど、競合他社が運営するショッピングサイトよりも有利になるようにし、正当な競争を妨げたことに関し、制裁金が課されました。
さらにその後、Androidオペレーティングシステムに、同社の検索エンジンとブラウザーのインストールを強制するなどして、競争で優位に立とうとしているとし、さらに制裁金が課されています。Googleはこの制裁金には抗議、両方の制裁金について争う姿勢を見せてはいますが…。
2017年10月、ヴェスタエアー氏はAmazonが拠点を置くルクセンブルグ政府に3億ドル( 約330億円)の追徴課税をAmazonに課すよう指示したばかり。ルクセンブルグはAmazonを税制面で優遇していると指摘されていますが、この指示に対しAmazonもルクセンブルグも反論しています。
さあ、Amazon、この質問にどう回答するのでしょうか。